奄美世のごはん#048:基本の6(食物繊維 その2)

今月の奄美世は、小暑と大暑のちょうど真ん中。
百日紅が満開になって、日輪草が夏を告げます。

食物繊維は大きく分けて2つ、不溶性のものと、水溶性のもの。
お腹の掃除をするための、不溶性食物繊維は「竹ぼうき」で、水溶性は「ぬれ雑巾」と、教えてもらったことがあります。
とてもわかりやすい例えです。

きゅうりとなす(奄美世のごはん by 古田朋子)不溶性の食物繊維は、主に植物の細胞壁を構成する物質です。
野菜や穀物など、植物性の食べものを食べたときに、口の中でもそもそする部分です。

よく噛まなければ呑み込めないので、不溶性食物繊維が多いと、おのずと噛む回数が増えます。
すると、脳への刺激がなされたり、唾液の分泌や胃酸の分泌が促されて、消化不全を予防します。
また、胃の中で膨らむので食べ過ぎを防いだり、腸壁を刺激して蠕動運動をすすめる役割も担います。

お腹の動きが少なかったり、排便の回数が少ない方には、気をつけて摂って欲しい食物繊維です。

歳をとってから気になりだした便秘には、歯の衰えによる不溶性食物繊維の摂取の減少が関係することもあります。
食べるものが、口触りの良い、軟らかいものばかりに偏らないよう、気をつけましょう。

精製度の低い穀物は、不溶性の食物繊維の宝庫です。
精製度の低い穀物を主食に選ぶと、定期的に不溶性の食物繊維を摂取することができます。

白米を、発芽玄米に変えただけで、長年のしつこい便秘が治った方もいらっしゃいます。
咀嚼の刺激と、膨らむことによる満腹感、高い栄養価によって身体が満足するのでしょう。
食べ過ぎることも減って、痩身にも効果がありました。

夏野菜(奄美世のごはん by 古田朋子)たっぷり摂ってほしい不溶性の食物繊維ですが、急激に増やしたり、いちどに摂り過ぎたりすると、お腹がはったり、不快感を起こすこともあります。
便秘を悪化させることもあります。

摂取の量やタイミングは、人それぞれです。
よく噛む習慣をくり返しくり返し、その時々の自分にあった量やタイミングを確認しながら、ちょうど良い塩梅を探してください。

 

水溶性の食物繊維は、果物に含まれるペクチン、こんにゃくのグルコマンナン、キノコや大麦のβグルカン、ごぼうのイヌリンも話題になりましたね。海藻類にも水溶性の食物繊維は多く含まれています。

水溶性食物繊維は、食べものの水分を吸収してゲル化することで、小腸への移動を穏やかにしてくれます。そのため、胃にとどまる時間が長くなるので、満腹感を得やすくなります。吸収の速度が落ちますから、食後の血糖値の急激な上昇が抑えられます。

百日紅(奄美世のごはん by 古田朋子)便秘と下痢をくり返したり、不溶性の食物繊維を多めに摂るとお腹がはる方は、水溶性の食物繊維を多くとりましょう。

 

水溶性食物繊維は、有害な物質を包み込んで排除する反面、カルシウムと結合して、吸収を邪魔する作用も確認されています。
しかし、カルシウムのために不溶性食物繊維を避けるのではなく、食材を選び組み合わせることで、どちらも豊富に摂取してください。

 

食物繊維をたくさん含む食べものは、

穀類、お芋、豆、野菜、果物、海藻、分搗き米、雑穀米、野菜のみそ汁、海藻の酢の物、煮物、漬物、煮豆、いり豆、ふかし芋

 

植物の恵、自然の恵

ひまわり(奄美世のごはん by 古田朋子)

奄美世のごはん#047:基本の6(食物繊維)

今月の22日は夏至。
少しずつ短くなった夜が、この日を境に少しずつ長くなります。

炭水化物の締めは、食物繊維です。

食物繊維は、私たちが消化酵素で消化吸収できない成分です。

消化吸収できないので、栄養学的に役に立たないものと考えられてきましたが、ご存じのとおり、食物繊維の持つさまざまな有用性がわかってきました。

食物繊維は、食べたものの消化吸収を穏やかにしてくれるので、血糖値の安定にひと役かいます。
よく噛む必要が増え、胃で膨らむので、食べ過ぎにくくなり、肥満予防につながります。

消化管の中では、水分を吸収してふくらみ、腸壁を刺激して蠕動運動を促してくれますから、お通じを快適にしてくれます。
同時に、汚染物質などが体内に吸収されないよう包みこんで、速やかに排泄します。

高台から(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.comまた食物繊維は、腸管で私たちに有益なバクテリアを助け、有害なバクテリアの成長を抑えて、細菌叢のバランスを整えてくれます。

個人差はありますが、このバクテリアは、私たちが消化酵素で分解できない食物繊維を、発酵によって部分的に分解してくれます。
その際に発生する短鎖脂肪酸は、エネルギー源として私たちが吸収し利用することができます。
食後、しばらく経ってからの、エネルギー維持に役立ちます。
幾つかの種類のビタミンB群も、バクテリアが腸管で作り出してくれます。

 

砂浜(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.com私たちの身体にとてもありがたい食物繊維ですが、日本における食物繊維の摂取量は、年々減っているそうです。

日本人は食物繊維の多くを、お米を主にした穀物から摂っていました。しかし、精製によって穀物の食物繊維を除去すること、また動物性食品の摂取が増え、対して植物性の食品が減るような、食生活全般の変化によって、食物繊維の摂取が減ってきたと考えられています。

 

砂浜(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.com食物繊維の減少に合わせて、大腸がんの増加が取り上げられます。

これらが原因と結果であるという確定はなされていませんが、大腸の機能には食物繊維の存在が必須ですから、何かしらの関連はあるのでしょう。

なんにせよ、食物繊維の有用性を利用しない手はありません。

 

畑から海(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.com食物繊維は、植物の細胞内にある物質や、植物の細胞壁を構成する物質です。
精製度の低い穀類を主食に、豆製品、お芋、野菜、海草、などなど、植物性の食べものを増やしましょう。

ただし、食物繊維の摂取は急激にではなく、消化管に負担をかけないよう徐々に増やします。

 

食物繊維を含む、いろいろな食べ物から摂取します。
食物繊維の摂取が一時に偏らないよう、食事ごとに食べましょう。

食物繊維は、他の栄養成分と相乗的に働きますから、サプリメントやドリンク剤ではなく、食べものから摂ることを勧めます。

 

夏至が往くと、いよいよ夏がやって来ます。

ごはん みそ汁 夏野菜

夕陽アダン影(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.com

『奄美世のごはん#004』

新米の季節です。
玄米や胚芽米、分搗き米を始めるのに、ちょうど良い季節です。
採れたてのお米はやわらかく食べやすく、長く吸水させなくても大丈夫です。
精製度の低い穀類を主食にすると、ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維もしっかりと摂ることができます。

日本では、動物性の食品であるお肉や肉の加工品の摂取が増えた反面、野菜や植物性の食品の摂取が減ったため、食全体にしめる食物繊維の割り合いがとても少なくなっています。
食物繊維は、人が身体の中で消化できない成分ですので、ひと昔前は栄養素を含まない、食べ物の残りカスと考えられていました。
5大栄養素のうちの炭水化物の一部として分類されていましたが、食物繊維の様々な働きがわかってきて、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルに続く、6つめの栄養素となりました。

奄美の海(奄美世のごはん#004-1)奄美世の奄美の島々では、主食に芋類を多く食べていたそうです。
海で採れるあおさやもずくなどの海藻、日本海を下ってくるこんぶなどもよく食卓に上ります。
海草類や芋類からたくさんの食物繊維を摂っていたことが、島の人々の健康と長寿に一役かっていたのかもしれません。

食物繊維が腸管の蠕動運動を活発にして、排泄を促すことはご存じのとおり。
これはとても大切なことです。
腸管からの排泄ができない状態は、たとえば住まいの下水管が詰まっている状態と同じです。
下水管に詰まった廃棄物からひどい悪臭や、汚水の逆流などが起こります。雑菌も繁殖するでしょう。
身体の中でも同じように、停滞した廃棄物が腐敗したり、腸内細菌のバランスが崩壊します。
身体は老廃物を廃棄しようと、休むことなく働き続け、疲れ果ててしまいます。
腸壁は接触している廃棄物を吸収することもあり、それは血流にのって全身に循環してしまいますから、身体は呼吸や皮膚など他の組織を通して排泄しようと試みます。
疲弊や故障は全身に広がってしまいます。

お米の消費が減ったこと、お米を精製して食べるようになったことも、食物繊維が不足する原因のひとつです。
急速な増加傾向にある大腸のがんと食物繊維の不足は、相関関係が確認されています。
主食の精製度を少し抑えるだけで、食物繊維の摂取を増やすことができるのです。
食物繊維が腸からの排泄をスムーズにしてくれると、トイレで力む必要もなくなりますから、大腸の憩室や静脈瘤、痔の改善と予防にもつながります。

また、大腸のがんは、動物性の脂肪の摂取と関連があるとするデータもたくさん発表されています。
伝統的な食事では、動物性の食品は食物繊維が豊富な食材と一緒に料理します。
お肉の入った煮物には、だいこん、にんじん、ごぼう、こんにゃく、さといも、しいたけ、こんぶなどが入ります。
鍋料理には、季節の新鮮な野菜がたくさん使われます。
豊富な食物繊維が動物性の食品のデメリットを抑えてくれます。

伝統食の組み合わせに外せない一品、みそ汁やお吸い物の具にも、根菜類、きのこ類、海藻類と、やはり食物繊維が豊富な食材が使われます。
みそは発酵によってビタミンが増えたり、その他の栄養素が消化しやすくなっていたりと、とてもありがたい調味料です。
このみそと、こんぶやかつお節、煮干しのだしでみそ汁を作ります。
アミノ酸のバランスも整います。
食べ盛りの子どもたちには、汁の実にお豆腐や厚揚げを。お漬け物も食物繊維がたくさんです。
シンプル、でも満たされるごはんです。

ある日の夕ご飯(奄美世のごはん#004-2)この写真はある日の夕ごはん。
玄米と胚芽米のご飯、青菜とじゃこのみそ和え、豆腐とにんじんとあおさのみそ汁、なすのぬか漬け。

 

 

 

 

でも、あまり禁欲的にならないように。
本来、食べるということは楽しいものです。
食べものがあるということは、幸せなことです。

心の状態は、食べものの消化・吸収に影響します。
吸収した後の作用にも影響します。
食べものの生命に感謝して、楽しく食べるのが一番。

心の栄養も大切に。