奄美世のごはん#031:貧血と野菜不足

お正月、ハレの日のごちそうをたっぷりと頂いて、身体と心を満たしたら、また新しい生命の始まりです。

10月の『奄美世のごはん』でお伝えした、頭の中のお弁当箱ですが、
「”主菜と副菜(の割合)を1:2にする”は、なかなか出来ない」という感想をたくさんいただいています。

外食が主になる方には、主菜に対して2倍量の野菜の摂取が難しいのです。
特に一人暮らしの若い方。
性別は関係ないようですね。

ほうれん草|奄美世のごはん by 古田朋子(DoctorsSuggestion.com)貧血を考えるとき、野菜不足で気になるのはカロチンと葉酸です。
どちらも、赤血球の幹の細胞が分化して、成長を始めるころに必須の栄養素です。

特に葉酸は、前回お伝えした亜鉛と同様、DNAの合成に欠かせません。
不足すると赤血球は十分に成長できないのです。

葉酸はビタミンB群の仲間で、水溶性のビタミンですから、身体に蓄えておくことができません。
すでに貧血の数値が出ている方や、症状が顕著に表れている方は、サプリメントで複合タイプのビタミンB群を摂取することをお勧めします。
添加物の少ないものを利用してください。
 

もちろん、それだけで野菜不足を解消できるわけではありません。
貧血対策には他の栄養素も必要です。

 

週に一回、まとめて野菜の下ごしらえをしましょう。
すぐに使える状態にしておくだけで、野菜の使用頻度が増えます。

 
まずはハードルを上げずに、野菜を洗って保存するだけです。

  1. 小松菜|奄美世のごはん by 古田朋子(DoctorsSuggestion.com)葉酸を豊富に含む野菜を選びます。
    菜の花、わさび菜、ほうれん草、春菊、小松菜、ブロッコリー。
    これに続くのが、大根葉、かぶの葉 水菜です。
      
  2. 野菜を洗います。
    菜の花、わさび菜、春菊、ブロッコリーは、根元に土がついていないので、小分けにして、水をはったボールの中でざぶざぶ洗いをします。
    ほうれん草と小松菜は、根元に十字ブロッコリーわさび菜|奄美世のごはん by 古田朋子(DoctorsSuggestion.com)の切込みをいれて、流水でしごきながら土をていねいに流します。
    余力があれば、最後に野菜を熱めのお湯にさっと通しましょう。
    日がたっても野菜がパリッとしています。
    ほうれん草はあくが強いので、1分ほどゆでて冷水にとって冷やします。
      
  3. 野菜の水気を切ってざるやかごに広げて、しばらく乾かしましょう。
    水気が無くなったら、ジッパー付のビニール袋に入れて、冷蔵庫で保存します。
    ゆでたほうれん草も冷凍しません。
    冷凍してしまうと解凍する手間ががかるので、利用率が下がります。
      
      

       

大根とかぶの葉|奄美世のごはん by 古田朋子(DoctorsSuggestion.com)この野菜を一週間、毎日毎日食べましょう。
目安は主菜の2倍。
たっぷりと料理に使って、一週間で食べきりましょう。

みそ汁や、カップスープ、インスタントめんを食べるときは、はさみを使って直接うつわやお鍋に切り入れると、まな板や包丁を洗う手間がはぶけます。

うどんやパスタをゆでるときは、めんのゆで上がりに野菜を入れて一緒にゆで上げます。
野菜は切らずにそのままでも大丈夫です。

炊きあがったごはんに、細かく刻んで混ぜ込んでも美味しいですよ。
お好みで軽くお塩とゴマをふりましょう。

蒸したブロッコリーを、お昼ごはんの付け合せに持って行くのもいいですね。

 

無理をすると続きません。
無理なく続けられることを始めましょう。

 

年が明け、奄美のさとうきび畑も、次の収穫に向けて、生命をつないでいます。

うぎばて赤尾木14.1|奄美世のごはん by 古田朋子(DoctorsSuggestion.com)

奄美世のごはん#024:おべんとう

亜熱帯のシマの梅雨は、空気がまとわりつくような湿気です。

昔ながらのシマの家々は、壁を少なく、床をうんと高くして、湿気を逃がします。
子どものころは、開け放った部屋の畳に寝ころんで、雨の庭を見ているのが大好きでした。
除湿機など無くても、家の中の空気は落ち着いていたように思います。

 

 

さて、今回の奄美世のごはんは『おべんとう』。

多くの子どもたちは、小学校に入って学校給食を食べる前は、お弁当を持って幼稚園に通っています。
中学まで給食で、卒業したらまた、おべんとう。
カップ麺や、ハンバーガー、コンビニ食に寄り道したい年頃もありますね。
でも最近は仕事をしている方にも、おべんとう派が増えているとか。

お昼のごはんは、とかく軽く扱われがちですが、3度の食事のうちの1食です。
もし朝ごはんを食べ損ねたとしたら、お昼ごはんが一日の食事の半分を占めることになります。
そう考えると、侮れないのがお昼ごはん。

ご飯を炊いて、季節の野菜を料理して、おべんとう箱につめてみてください。

 

ご存じのとおり、私は大雑把なので、おかずは1品。
どうしても出来てしまう隙間には、切干し大根や野菜の塩漬けなど、常備菜を埋め込んでお茶を濁します。
端境期には、煮物とおかかだけの、茶色いおべんとうの時もありますが、娘たちは文句も言わず、嬉しそうに持っていってくれます。
ごはんが玄米なので、みごとに茶色です。
主人も私も同じおべんとうを持って出勤します。
おかずが足りなくて、おむすびだけの時もあります。

 

かなり手抜きの我が家のおべんとうですが、基本的には素材から手作りします。
おやつと同じで、添加物が入ってこないこと、化学調味料の味に慣れてしまわないこと。
そして子どもたちは成長に、大人は修復・回復に、それぞれ必要な栄養を。

あ、素材からと言っても、豆腐やお揚げ、ちくわ、は使ってますがね。

 

写真は友人たちのおべんとう。

 

自分の身体を気遣った、お手製のおべんとう。

自分の身体を気遣った、お手製のおべんとう

 


漢字のテストの日、息子さんに照り焼きべんとう。

漢字のテストの日、息子さんに照り焼きべんとう

 


83歳のおばあちゃんが、山に入り海に潜って採ってきた、
筍とわかめのおべんとう。

山に入り海に潜って採ってきたばあちゃんの筍とわかめのおべんとう

 


夜は仕事で遅くなるからと、娘さんに毎日野菜たっぷりのおべんとう。

夜は仕事で遅くなるからと、娘さんに毎日野菜たっぷりのおべんとう

 


お昼を挟んだ集まりに持参したおべんとう。

お昼を挟んだ集まりに持参したおべんとう。

 


これは学校のお祭りに出店した、
小学5年生の子どもたちのお弁当屋さんのおべんとう。

小学5年生の子どもたちのお弁当屋さんのおべんとう。

 

共通するのは、すべて素材からの手作りということ。
作る人が、食べる人を想って、作ったということ。

野生動物は、どんなに飢えていても、毒が混ざった物を食べないと言います。
ひどく苦い味を付けても、身体に必要なものを選び取るそうです。
甘味でごまかしても、同じです。
そして必要な栄養を満たしたら、それ以上食べることをしないと言います。

 


生きるために 食べる。

生命をつなぐために 食べる。

 

そうありたいものですが、私たち人間には、心を満たす食べものも必要です。

でも、不自然な食べものに気づく力、感じる力は、誰もが持って生まれてきたはず。
梅雨の晴れ間のシマの海は、もう夏の色です。

梅雨の中休み海(ドクターズ・サジェスチョン 奄美世のごはん)

奄美世のごはん#022:春野菜の栄養

奄美では、旧歴の三月三日(サンガツサンチ)に海開きです。
今年のサンガツサンチは今月の13日でした。

シマでは海に下りて、磯遊びをして、海水で身を清めます。

浄化作用を持つヨモギの新芽をたっぷり混ぜこんで、月桃の葉やバナナの葉に包んで蒸したヨモギ餅も、サンガツサンチのお楽しみの一つです。

 

よもぎ | Doctors' Suggestion(古田朋子 奄美世のごはん)ヨモギは、中国やヨーロッパでも邪気や毒気を払うものとして、古くから利用されています。
お茶にして飲んだり、玄関につるしたり、ボタン穴にさしたり、靴に入れたり。
月桃 | Doctors' Suggestion(古田朋子 奄美世のごはん)栄養価も高くて、ほとんどすべてのビタミンを含みます。
カロチンが特に多いそうです。

 

 

 

ヨモギを始め、春先の野菜には、栄養素がぎっしりと詰まっています。

この植物の栄養素をいただいて、寒い冬の間、身体を守るためにため込んだ脂肪を、少しずつ燃やしていきましょう。
身体を軽くして、循環を促し、活動的な環境を創ります。

 

さて、この時期にお勧めの、シマの野菜をご紹介しましょう。

はんだま | Doctors' Suggestion(古田朋子 奄美世のごはん)ハンダマの葉は、表が緑で裏がきれいな紫色です。
生命力が強い植物で、シマでは野生化しています。
血液を創ると言われていて、以前は妊娠すると、ハンダマをお粥に入れて食べたのだそうです。
特にカルシウムと鉄を豊富に含みますから、妊婦さんにはもってこいの食材です。
月経のある女性にもおすすめです。
ビタミンCも一緒に含んでいますから、吸収しにくいカルシウムや鉄などミネラルの吸収を助けてくれます。

ハンダマは加熱するとぬめりが出ます。
汁物の浮き実にしたり、炒めたり、我が家の子どもたちはハンダマの卵焼きが大好きです。
少しクセのある味なので、少しずついろんな料理に入れています。

濃い緑の色素を持つのはβ―カロチン、紫はアントシアニンです。
眼の疲れにもいいんですよ。

三色ふだん草 | Doctors' Suggestion(古田朋子 奄美世のごはん)フダンソウも、鉄、カルシウム、亜鉛などのミネラルが豊富です。
不足しやすいマグネシウムをたくさん含んでいるのが嬉しいところです。
マグネシウムは私たちの身体の中で、300を超える化学反応の触媒の役目を担っています。
ですから少し不足するだけでも、身体のあちこちで不調が起こります。

もちろん、この濃い色にはカロチンが含まれています。

私は煮物に入れるのが大好きです。
特に豚肉の煮物の付け合わせにすると、うま味を吸いこんで、とても美味しく仕上がります。

小松菜 | Doctors' Suggestion(古田朋子 奄美世のごはん)ハンダマやフダンソウに比べると、含有量は少し劣りますが、小松菜が同じような栄養価を持っています。
小松菜は北の方でも手に入りますね。
濃い緑の葉の小松菜は、カルシウムの供給源として重宝されます。

こむら返りや、痙攣など、筋肉の過剰な収縮が起こりやすい方は、問診で食生活を確認すると、カルシウムやマグネシウムの摂取が不足していたり、カルシウムやマグネシウムを排泄してしまうような食事をしていることが多くあります。
そのような場合は、構造だけではなく、生理学的な診断が必要となります。

ニラも美味しくなりますね。
濃い緑のカロチンと、カルシウム、鉄、亜鉛といったミネラル。
ミネラルの吸収を助けるビタミンC。それに、若返りのビタミン、ビタミンEも含みます。
ビタミンEは、血液を酸化から守って流れを良くし、また血管そのものの柔軟性も高めてくれます。

元気を創るビタミンB群も含みます。
ビタミンB1、B2は脂質や糖質の代謝に欠かせないビタミンです。
脂肪を燃やし、エネルギーに変えてくれます。

ビタミンEが、加齢とともに血流の悪くなりがちな、末梢の細い血管の流れを良くし、その先の細胞にビタミンBが届けられ、組織が元気になります。

 

フルンガブ | Doctors' Suggestion(古田朋子 奄美世のごはん)ニンニクもこの時期に収穫です。

シマではニンニクの葉も料理します。
ニンニクの葉は方言で“フル”。
炒めものに入れることが多いですね。

球茎は“フルンガブ”と言います。
“ガブ”はビタミンB群の宝庫です。
ビタミンB1・2・3・5・6・葉酸を含みます。
なかでもB6は、飛びぬけて豊富です。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝に重要なビタミンです。
たんぱく質は身体の主な構成成分で、成長期には次々に入れ替えが行われます。
成長期を過ぎていても、組織の入れ換えや、ケガや病気の回復期の修復に、たんぱく質の代謝は欠かせません。
免疫力を担う抗体も、たんぱく質で構成されますから、ビタミンB6をしっかり摂ることは、病気を防ぐことにもつながります。

にんにくしょう油漬け  | Doctors' Suggestion(古田朋子 奄美世のごはん)ニンニクは、塩漬けにしたり、しょう油に漬けたり。
黒糖焼酎に漬けたニンニク酒は、古くからのシマの元気の薬。
オリーブ油にスライスしたニンニクを入れたニンニク油も、炒め物やサラダのドレッシングに重宝します。

 

 

 

 

植物は、その時に必要な栄養素を創り出します。

その成分は、たぶん、同じ時の私たち人間にも必要な栄養素です。

それは 植物の智慧 太陽と海と土の恵





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