奄美世のごはん#058:基本の16(酵素の働き)

雨の月が過ぎると半夏生。
一年のちょうど半分のころです。

西の方では、たこを食べる習慣があるのだそうです。
良質なたんぱく源ですね。

 

さて、たんぱく質は酵素について続きます。

私たちはひごろから、知らず知らずのうちに食べ物に含まれる酵素の働きを利用しています。

最も身近で頻繁に使われているのが大根でしょう。
大根には100種類を超える酵素が含まれているのだそうです。

食べ物と混ざることでその成分を分解して、腸管から吸収できるように細かくしてくれるのが消化酵素です。
そのうちアミラーゼは、炭水化物のでんぷんやグリコーゲンを単糖類のぶどう糖や二糖類に分解する酵素です。

私たちの身体が作るアミラーゼは、膵臓や唾液腺から分泌され、口の中や消化管の中で炭水化物と混ぜ合されてその分解を進めます。

食べ物と混ざりやすくするために、大根をすりおろして炭水化物と混ぜておけば、私たちの自前の消化酵素の代りに、大根のアミラーゼが炭水化物の分解を進めてくれるのです。

お餅のおろし和えや、おろしそばは、大根のアミラーゼを利用して、お餅やそばの糖質分解を進めています。

プロテアーゼはたんぱく質を分解する酵素です。
私たちが生合成するたんぱく分解酵素は、他にも幾つかありますが、大根のプロテアーゼは、酵素が働く環境や分解できるたんぱく質の構造の種類が広範囲なため、働き者の酵素と言えます。

刺身のつまの定番は千切り大根。
刺身のたんぱく質分解をすすめ、消化を助けてくれるので、ぜひ残さず一緒に食べましょう。

鯵の塩焼き | 奄美世のごはん(ドクターズサジェスチョン)焼き魚には大根おろし。
この時期は、あじ、いわし。
大根おろしと一緒にいただくと、魚のたんぱく質を消化吸収しやすくしてくれます。

そしてリパーゼは脂肪の分解に働きます。

焼き魚にそえた大根おろしは、たんぱく質と一緒に焼き魚の脂質の分解もすすめてくれます。

 

 

てんぷらまた大根おろしは、天ぷらにもつきものですよね。
とんかつやフライもさっぱりといただくことができます。

大根のリパーゼが脂肪を分解して、消化を助け胸やけを防いでくれるのです。

 

 

 

 

たこおろし和え | 奄美世のごはん(ドクターズサジェスチョン)たこはタウリンを多く含みます。
タウリンは身体の中で作ることができる成分ですが、不安やストレスの軽減に働くので、需要が高いときは食べ物から摂って補充してあげたいですね。

また、たこに含まれるタウリンは、マリアアザミと同じ肝細胞の再生を促進する作用も持ちます。

大根おろしで消化吸収しやすく、半夏生にたこのおろし和えはいかがでしょうか。

奄美世のごはん#057:基本の15(酵素の働き)

セサミの周りは緑が多く、お使いに行く時は木の葉の下を通りぬけて行きます。
わざわざ遠回りをして、ハーブの植え込みを歩きます。

小満のころは桑の葉も大きく広がって、蚕の食欲を満たし、たらふく食べた蚕は繭をまといます。
この繭からいただく絹の糸は、蚕が桑の葉を食べて創り出すたんぱく質の糸です。

私たちは、吸収したりリサイクルしたアミノ酸プールのアミノ酸を使って、たんぱく質を作ります。
たんぱく質はアミノ酸が一本の鎖のようにつながって、さらに折りたたまれて立体となります。
どの種類のアミノ酸が、どういう順番で、いくつつながるかで、たんぱく質の性質が決まります。

どこでどんなたんぱく質を作るかは、おのおのの細胞の核に在る、遺伝子情報にコントロールされていて、遺伝子の設計図をきちんと転写複製して、必要なたんぱく質を作るのです。

私たちの身体の中にどのくらいの種類のたんぱく質が存在するのかは、まだまだわかっていません。
少なくとも10万種類以上はあると考えられています。
中でもっとも名の通ったたんぱく質といえば、酵素とコラーゲンでしょう。

 

3酵素は大きく2つに分類されます。

身体の外(口腔や消化管の中)に分泌されるのが消化酵素です。
私たちが食べた物を分解して、吸収しやすくする働きを担います。

もう一つは身体の中、細胞内部やその周囲で働く酵素です。
一般に代謝酵素と呼ばれるものですね。
身体の中で行われる、化学反応を促す触媒の役目をしています。

 

通常、酵素は必要な種類が必要なだけ作らます。
しかし、原料となるアミノ酸の不足や、酵素産生に必要なビタミンやミネラルの不足などがあると、必要な酵素が作られにくくなります。

また、病気やけが、激しい運動や精神的なストレスがあっても酵素の需要が増えるため、供給が追いつかなくなることもあるようです。

 

4私たちは、酵素の働きによって生きているようなものですから、必要な酵素の不足は様々な不調の原因となります。

そうなると、不足分の酵素を外から補給したくなるのが人情というもの。

でも、酵素はたんぱく質の仲間です。

前回お話ししたように、食べたり飲んだりしたたんぱく質は、唾液の中のたんぱく分解酵素、胃酸、膵臓や小腸表皮の細胞から分泌されるたんぱく分解酵素のはたらきでアミノ酸に分解されてしまいます。
酵素のまま、その働きを持ったまま、身体の中には入っていきません。

ですので、代謝酵素に関しては、外から取り入れることは叶いません。

 

 

6では、消化酵素はどうでしょう。

消化酵素は、咀嚼や、消化管の蠕動運動により食べものとよく混ざり合うことで、その作用が発揮されます。
混ざり合った食べ物を消化管で吸収できるサイズにまで細かく分解します。

食べすぎてお腹がはったり不快感があるときに、消化薬を飲むとすっきりします。
それは、消化薬に含まれる消化酵素が、胃腸で停滞していた食べ物と混ざり合って分解してくれたり、胃酸分泌を刺激して消化を助けるからです。

このように、外から補給する消化酵素は、食べものを分解吸収のために摂取するのであれば、その働きを活用することができます。

 

 

7清涼飲料水として市販されている酵素ジュース。

これは、製造過程の加熱処理で酵素活性が抑えられている可能性が高いので、酵素を摂取するということを目的に置くのではなく、嗜好品として、またはジュースの成分の補給と考えるのが妥当でしょう。

自家製の酵素ジュースだったらどうでしょう?

酵素が活性化しているのであれば、酵素がジュースの材料となる食材の分解に働きます。
ジュースに含まれる酵素により、ジュースの材料内のたんぱく質はポリペプチドやアミノ酸に、炭水化物は2糖類や単糖類に、脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されているので、食材そのままよりも楽に吸収することができます。
ジュースの酵素が働いたぶんだけ、自前の消化酵素を節約できるわけです。

しかし、ジュースの材料を分解し吸収した後に、身体の中で利用したり壊したりするための代謝酵素は外から補給できませんので、消化酵素を節約しても、吸収したジュースの成分を体内で代謝するために代謝酵素を使わなければなりません。

プラスになるのでしょうか、マイナスになるのでしょうか…。

 

やはり、酵素の摂取と思うよりは、ジュースの栄養素を摂取するため、お楽しみのため。

 

こころの栄養

身体の栄養

栄養と日常生活#024(仲井DC)

今回で24回目になりますので、丸2年のおつき合いになります。

2年もの長い間、おつき合いして頂いて本当に感謝の気持で一杯です。

ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

そしてやっと今回からビタミンのお話しになります。

 

 

ビタミンとは一体何なのでしょう。

24-1ビタミンは体に必要となる有機化合物で、体内では合成することが出来ない物質です。
ミネラルは体に必要な体内で合成できない無機化合物と説明されます。

もちろん幾つかのビタミンは体内で作られますが、それは腸に含まれるバクテリアが作っているのが殆どですから、正確には体が作っているとは言えません。
「ビフィズス菌などの善玉筋を沢山摂ろうね」というのは、彼ら(善玉菌)が体の中でビタミンKや幾つかのビタミンB群を作ってくれるからです。
またビタミンDも体内で作られますが、これも皮膚が紫外線を浴びないと作れないので、正確には全てを体の中で独自に作っているとは言えません。
乱暴な言い方をすると、紫外線さえ浴びていれば、ビタミンDを摂取する必要はないとも言えますが、皮膚に含まれるコレステロールとの複雑な関係もありますので、一言で紫外線さえ浴びていれば、ビタミンDを摂取する必要はないとは言い切れないのです。

別の表現をしてみましょう。
体の中では、酵素と呼ばれる大切な物質が作られています。
酵素は消化を含めて、体内の物質を化学的に合成したり、合成を助けてスピードを速める物質です。
体内に摂取された3大栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質)は酵素がないと消化/吸収できません。
酵素は重要な部分(酵素の前駆体となるアポ酵素)までは、肝臓などで作ることは出来るのですが、体外から摂取したビタミンがないと完成した酵素には成りません。
ビタミンは体内に入ると加工され、補酵素となります。
そしてアポ酵素と結合して、初めて“酵素”活性が起こり、3大栄養素を消化/吸収することが可能になります。

 

24-2分かりやすい例がありますのでご紹介します。

皆さんご存知の糖尿病を思い浮かべて下さい。
糖尿病は膵臓でインスリンが作れなくなり、摂取した糖分が吸収できなくなって、血糖値が異常に高くなってしまい、白内障や末端壊死、腎不全などを引き起こす恐ろしい疾患です。
しかし、そのインスリンを製造している膵臓は、もう一つ大きな仕事をしています。
実は3大栄養素を消化する時に必要な“消化酵素”を作っているのです。
ですから膵臓が衰弱してしまうと、3大栄養素を消化するときに必要となる酵素が作ることができなくなってしまうのです。
つまりどれだけ栄養を摂っても消化できなくなります。

多くの人は「アーそれでかあ」と頷くと思います。
多くの糖尿病(特にII型)の人を観察してみると、最初は太っていたのに、糖尿病になったら段々痩せてしまう人を見た経験があると思います。
そうなのです。
多くの糖尿病の人は膵臓が衰弱して、栄養素を消化する酵素が作れないため、どれだけ食べても消化/吸収できない状態に陥ってしまうのです。

時々「俺はどれだけ食べても太らない」と豪語する人や、「少しでも食べると太ってしまうの」と嘆く人に会いますが、自分にしたら、後者の方が健康だと思います。
食べた栄養分が、きちんと消化/吸収されているのですから、膵臓がしっかりと消化酵素を分泌していることになります。
反体にどれだけ食べても太ることができない人は、膵臓の機能が落ちている可能性がありますから、一概には言えませんが、どちらかといったら不健康だと言えるかも知れません(もちろん消化/吸収された栄養素をどんどんエネルギーに変換してエネルギッシュに動き回っている人は例外です)。

 

ビタミンの話しに戻ります。

ビタミンは大きくA、B群、C、D、Eに分類されます(Fもありますが、少々複雑なので後で説明します)。
よく尿の色が黄色になると、ビタミンCの摂り過ぎだと思う人がいますが、ビタミンCは黄色ではありません。
色のついたビタミンは黄色のビタミンB2と、僅かに赤色になるB12だけで、他は殆ど無色です。

24-3尿の色の話しを少しだけ加えておきます。
健康な尿は僅かに黄色がかった色だと言われています。

ほとんど無色の場合は、糖尿病や多尿、尿崩症が疑われ、赤色だと血尿(鮮明な血に近い赤は尿路に近い部分で、濃い土色に近い場合は、腎臓などもっと深い部分)や溶血性貧血や薬物の影響が疑われます。
中には細菌感染による緑色や、投薬(エパンスブルーやメチレンブルーなど)による青色などもありますからご注意下さい。

 

 

またよくビタミン剤には「所要量」という説明があります。
所要量とは、”最少必要量”プラス”安全量”のことで、欠乏症にならないための最低限の目安です。
また「薬用量」と提示されていることもありますが、薬用量とは病気や予防や治療のための量です。
「保険量」と提示されることもありますが、これは「所要量」と「薬用量」の間の量で、良い健康状態を保つ為の量のことです。
私たちは「所要量」の2~3倍を目安にしたら良いと思います。

またビタミンを体内で貯蔵できる量や有効に利用できる量を「飽和量」と呼びますが、これは個人で異なるので、余り目安にはなりません。
ちなみに飽和量を超えて水溶性のビタミンが体外に排泄される現象は洪水現象と呼んでいます。

ビタミンが発見されてから、まだ100年余りしか歴史がありません。
つまり分かっていない部分が多々あるのが現状です。

次回からは現時点までで分かっている部分を一つ一つ説明して行きます。
次回はビタミンAから始めます。