冬至が近づき、空気が冷たく、きりっとしてくると遮るものが減って、星の光がきれいに届きます。
そろそろ貧血のおはなしを終わります。
最後に、二次的に引き起こされた貧血が、悪循環を起こしていた症例をお伝えしましょう。
歯肉からの出血は、多くの方が抱えている問題ですが、さしあたって食べることに支障がなければ、気にしつつも放置していることが多いようです。
貧血に結び付けることもほとんどありません。
歯医者さんで食事の指導をしてもらったという方にも、まだお逢いしたことがありません。
歯茎からの出血だけを取り上げると、歯肉のコラーゲン生成のためのたんぱく質不足や、ビタミンCの不足などが考えられます。
しかし、歯肉の組織の崩壊を予防または食い止めるには、食の全般を考えなければいけません。
肩凝りと頭痛の症状を訴えて、セサミにいらっしゃった患者さんの朝食をご紹介します。
彼女の歯茎は数年前から腫れていて、むずむずじくじくしていました。
フレンチトースト・カフェオレ・ヨーグルト・果物(オレンジやグレープフルーツ)。
食事の改善を始める前は、ほとんど一年を通してほぼ毎朝このようなメニューでした。
もちろん、ご本人なりに食べ物には気をつかっていらっしゃったのです。
例えば・・・
どの食品も嗜好品のグループに入れて欲しいものです。決して毎日の食事に位置付けられるものではありません。
少なめに見積もっても、甘味を出す調味料(砂糖・はちみつ)がティースプーン3杯。
これを代謝するだけのビタミンBはほとんど摂取できていません。

他のビタミン類は殆ど摂取できず、カルシウム以外のミネラルも十分ではありません。
また、ビタミンミネラルが不足していると、卵や乳製品のたんぱく質を分解し吸収したあと、体内で組み換えて利用する工程がスムーズにいきません。
歯茎の修復どころか、生命維持に手いっぱいといったところでしょう。
そして、どの食材も軟らかく、噛む必要のないものばかりです。
噛むという行為を行わないと、消化管における消化吸収能が低下することが判っています。
お聞きすると、もともと野菜は調理の手間がかかるのであまり食べていなかったそうです。
さらに、硬い物を食べると歯茎から出血するので、だんだんと硬い物といっしょに野菜を避けるようになったのだそうです。

まず、がんばって頂いたのは、甘いものを摂らないこと。特に、食事には組み込まないこと。
そして粉食を避けること。
つまり主食になる穀類を粉にせず、粒状のまま食べること。
できるだけご飯を炊いてもらい、小麦やトウモロコシなどの穀物を粉にした食品を避けてもらいました。
そして、少しづつでも旬の野菜を食べること。
初めのうちは、思うようにいかなかったり、がまんできずに甘いものを食べてしまったりと、四苦八苦なさっていました。

次第に出血もしづらくなりました。
歯茎からの出血が減ることで、血液の損失が減ります。
よく噛むことができるようになると、ビタミンミネラルが豊富な食材を、しっかりと噛んで食べることができるようになります。
十分な栄養の吸収がなされると、赤血球の生成が正常になり、不足していた赤血球の数と質を補います。
この方は、血液検査に大きな変化はまだ観られていませんが、身体症状が変わっていくことを感じ、自分の体を創り動かす食べ物を、とても大切なものだと実感できたと、話してくださいました。
甘いものが欲しくなったら、
かぼちゃやさつま芋を蒸しています。
りんごや柿をかじります。
ごはんとみそ汁
旬の野菜を毎日しっかり