最近は何故か再び「栄養学」に関わる本に出会うことが増えてきました。
栄養学の勉強は、もうそろそろ控えても良いんじゃないの?と思っていたのですが・・・。
もう10年以上、栄養学に携わり、読んできた本も軽く200冊は超えたと思います。
ですから、もう良いだろうと内心思っていたのです。
もちろん栄養学の勉強を放棄するのではなく、これからはマイペースでゆっくりとジワジワと継続して行けば良いだろうと考えていたのです。
しかし最近出会った本『老けたくないなら「AGE」を減らしなさい』(牧田善二著 ソフトバンク新書)や、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(藤田紘一郎 著 だいわ文庫)、『「やわらかい血管」で病気にならない』(高沢謙二 著 ソフトバンク新書)、『「砂糖」をやめれば10歳若返る』白澤卓二著 ベスト新書)に出会い、読んでいたら、またまた炭水化物(主にですが)の問題に行き着いてしまいました。
また近年は、尊敬している新潟大学大学院医学部の教授を務め、免疫学の大家でおられる安保徹先生も、最近はミトコンドリアに注目し、解糖系ではなく、ミトコンドリア系にしなさい、糖分依存から脱却しなさいと勧めておられます。
まだ全てを把握したのではなく、少しだけ新たに理解してきてことがあります。
つまり、炭水化物(グリコーゲン)から得られたブドウ糖を土台にして、ミトコンドリア内のクエン酸サイクルでエネルギー産生する方法に依存するのではなく、脂質(脂肪酸)から得られたケトン体を用いたクエン酸サイクルを利用して、エネルギー(ATP)を得なさいということらしいのです。
もちろんタンパク質(アミノ酸)をブドウ糖に変換させ、エネルギーを産生する方法もあります。
取り敢えず炭水化物、特に精製された炭水化物は止めなさいと、全ての著者が口を揃えて声高く唱えているのです。
詳しくは著書に譲りますが、自分も以前から、まずは“精製”された白砂糖を黒砂糖やハチミツ(乳児以外)に、白米を胚芽米や玄米に、小麦粉を全粒粉にと提唱してきました。
またピーター・ダダモ博士を筆頭とする血液型ダイエットの立場から、血液型がO型の人は、小麦粉に含まれるグルテンというレクチン(タンパク質)が合わないから、止めた方が良いとも提案して来ました。
どうも最近の本を読んでいると、特に“砂糖”に対するバッシングが増えてきている傾向がみられます。
何故でしょう?
歴史的観点から見直してみると、日本では1870年代は1日に摂取していた砂糖の量は、たった4グラム程度でしたが、100年後の1970年代には、何と約20倍の80グラムにまで増えたそうです。
2016年の今では100グラムを超えていると容易に想像できます。
つまり150年足らずで、25倍以上の摂取量に増えたという計算になります。
多くの科学者は、人間の体は1万年前から、殆ど進化していないと提唱しています。
実際に私たちの体内の機能を探ってみると、低血糖になると血糖値を上げるシステムは幾つも備え持っているのですが、高血糖に合せて血糖値を下げるシステムは1つしかなく、膵臓から分泌されるインスリンが血糖値を下げるのが唯一の方法であり、備え持つ機能です。
つまり本来は血糖値を上げる必要が殆どで、血糖値を下げる必要は皆無に近かったことになります。
日本に砂糖が伝わったのは8世紀のことだと伝えられています。
当時は高価なものとして扱われ、“薬”として用いられていたようです。
調味料としては使われず、当時の甘味料は米を発酵させた甘酒や、麦芽を発酵させて作ったアメが用いられていました。
日本で砂糖が甘味料として使われるようになったのは16世紀のことで、国内での砂糖キビの栽培もこの頃から始まりました。
それでも1900年代までは、それほど量は増えなかったのですが、高度経済成長期から一気に日本の食生活が変わり、豊かになり、欧米化が急速に広がったのです。
どうして、そんなに砂糖に依存するようになったのでしょう。
それは砂糖は依存性というマイルド・ドラッグの要素があったのです。
砂糖を始めとするジャンク・フードは高い依存性があることが判明しています。
これは幾つもの研究で証明されています。
例えばマウスを3つのグループに分類し、1つのグループには通常のエサを与え、2つ目のグループにはジャンク・フードを与えますが、一定量しか与えません。
そして最後のグループには食べられるだけの砂糖やトランス脂肪たっぷりのジャンク・フードを与えます。
すると普通のエサや、一定量のジャンク・フードを与えられたグループは、体重の変化や体質の変化は少ししか認められませんでしたが、食べたいだけジャンク・フードを与えたグループは、摂取を止めようとせず、体重もドンドン増え、体質も変わり、色々な疾患が生じやすくなったのです。
まさしくマイルド・ドラッグの依存性だと言えます。
また恐ろしいのは、体重過多になったマウスのグループの食事を、普通のエサに変えても、食べられなくなることです。
また2004年代に映画監督自身が実験材料となり、毎食ジャンク・フードを摂り続けたドキュメンタリー映画を思い出します。
彼は30日間の実験予定でしたが、確か20日過ぎでドクター・ストップがかかり、実験は中止になったと聞いています。
著しい体重の増加と、血圧や体脂肪が異常に増えてしまったのを憶えています。
どうやら、砂糖は依存性に富んだ、“マイルド・ドラッグ”だと認識すべきです。
ちょっと疲れたら“チョコレート”や“甘い物”という考え方を変えませんか?
日本では隠れ糖尿病を入れると、2200万人以上の人が各当するそうです。
“日本人総砂糖依存症”にならないためにも・・・
栄養と日常生活#059:少し怖い話し(1)
奄美世のごはん#046:基本の5
忙しさに、見上げることを忘れていたら、とうとうこいのぼりを見損ねてしまいました。
さて、糖質の摂取で気になるのが血糖値。血糖値とは、血液中のぶどう糖の量を示す値です。
食べ方や生き方に合わせて、私たちのからだはこの血液中のぶどう糖の量を、さまざまな方法で一定に保とうとします。
まず、血糖値を下げる作用をもつのがインスリン。
インスリンは、血中にぶどう糖が増えると分泌されます。
そして、身体の中の細胞や組織に働きかけ、血液中のぶどう糖量を調節します。
肝臓はインスリンの作用で、運び込まれたぶどう糖を貯蓄型に変えて貯めておきます。
ぶどう糖の貯金が上限を越えてしまうと、残りのぶどう糖は脂肪に変えられ脂肪細胞に運びこまれます。
脂肪細胞では脂肪の蓄積が進み、分解は抑制されます。
インスリンが存在するうちは、貯蓄型ぶどう糖を転換して血中に放出し血糖値を上げないように、肝臓が抑制されます。
どれも血糖値を下げる効果を持ちます。
筋肉は、静止時や激しい運動をしていない時で、インスリン分泌がない時は、脂肪をエネルギー源として利用していますが、食後に血糖が増えインスリンが分泌されると、ぶどう糖の取り込みと利用を優先します。
必要以上のぶどう糖が運び込まれると、筋肉は肝臓と同様にぶどう糖を貯蓄型に変換して貯えます。
筋肉もインスリンの作用で、血中のぶどう糖量を少なくするよう働きます。
他のほとんどの組織も、インスリンの作用でぶどう糖を取り込みエネルギー産生に使って、血糖値を下げます。
その中のひとつ、副腎の皮質が分泌するコルチゾル(糖質コルチコイドの一種)というホルモンは、感染症や暑さ寒さ、過剰な運動などの身体的なストレスや、精神的ストレスに適応するために働きます。
身体の細胞がぶどう糖を利用するのを抑制して、血液中のぶどう糖を増やします。
ストレス下で、脳が他の組織と競合せずにぶどう糖を利用するためです。
脳は他の細胞組織と違い、インスリンの作用がなくても、血中のぶどう糖を取り込んで利用することができるのです。
コルチゾルの作用で、肝臓は貯蓄型のぶどう糖を転換して、血中にぶどう糖を放出します。
ほとんどの組織では、細胞内のぶどう糖の利用速度が低下し、代わりに脂肪組織が放出した脂肪や、たんぱく質を分解したアミノ酸の利用が促されます。
また筋肉は、コルチゾルによりたんぱく質の合成を抑えて、たんぱく質を分解してアミノ酸を放出します。他の組織でも同様にたんぱく質を分解し、アミノ酸を放出します。
たんぱく質の合成の抑制は、特にリンパ節や筋肉で起こります。増加した血中のアミノ酸は、組織によるエネルギー代謝と、肝臓の酵素に利用されます。
分泌され続けるコルチゾルの作用で、たんぱく質や脂肪が分解され利用されます。
血糖値の上昇には、インスリン分泌がなされ、血糖値を下げて一定に保つよう身体に働きかけます。
ストレスに対応するために血糖の増加が必要になれば、コルチゾルが血糖値の上昇に働きます。
こころ や からだ をていねいに
上げすぎず 下げすぎず
良い加減に暮らすのは
なかなか ちょっと むずかしい
奄美世のごはん#043:基本の2
立春に生まれた春が、あちらこちらに顔をのぞかせています。
花が咲き、新芽が出ます。
植物が陽の光を利用して創り出した炭水化物から、食物繊維を区別したものが糖質です。
糖質は、つながっている糖の数によって分類します。
糖ひとつが単糖類、ふたつが2糖類、オリゴ糖は学問的な定義はないようですが、一般に2~10個程度のものを指すようです。
そして、多糖類は糖が数十個から数百万個つながっています。
台所にある砂糖の主成分は“蔗糖”です。
ぶどう糖と果糖がひとつずつつながった2糖類の仲間で、化学名が“蔗糖”です。
砂糖のうち、蔗糖の含有量が95%を超えるものが、上白糖や三温糖。
高純度の糖液を結晶化させたグラニュー糖や氷砂糖は、99.9%が蔗糖です。
商品にもよりますが、てんさい糖は85%で黒砂糖は75~86%です。
蔗糖は、単糖類がふたつつながっただけですから、消化吸収が速く、血糖が急激に増えます。
砂糖の中でもっともミネラルの含有量が多い黒砂糖もやはり、その主成分の蔗糖が急激に血糖値を上げてしまいます。
血糖値とは、血液中のぶどう糖の量です。
果糖は、消化管もしくは肝臓でぶどう糖に変えられ血中に入りますから、やはり血糖の上昇につながります。
私たちが口に入れ消化吸収し身体に入ってくる糖質は、その量が同じであっても、ゆっくり入ってくるのと急に入ってくるのとでは、身体の対応の仕方がずいぶんと違います。
例えば、階段を2階まで昇るとします。
一段ずつゆっくり昇るのと、一気に駆けあがるのとでは、ぜんぜん違うでしょう。
血中の糖の量の増減も、その速さによって、身体の反応が違うのです。
急激な血糖の上昇は身体にひどく負担がかかるので、これを遅らせる工夫が必要となります。
摂取後に否応なく、駆け上がらなければならなくなるものが、“ぶどう糖果糖液糖”です。
トウモロコシのでんぷんを化学的に加工したコーンシロップから作られる、“異性化糖”のひとつです。
多くのペットボトル飲料、スポーツドリンク、スタミナドリンクなどに使用されている、液体状の単糖類です。
液体ですから咀嚼の必要がありませんし、単糖なので消化の時間もかかりません。
酸味料や香料などで、飲みやすくなっているので、ごくごくと一度にたくさん飲めてしまいます。
砂糖よりも安価で、加工に手間がかからず、消費期限も長いので、あらゆるソフトドリンクに使われています。
この“ぶどう糖果糖液糖”の素、輸入コーンシロップの原料となるトウモロコシは、遺伝子組み換えトウモロコシがほとんどであり、栽培時に大量の農薬が使用されます。
つまり、この液体状の単糖類は、私たちの身体だけではなく、土地の状態も大きく変えてしまうものなのです。
選んでほしい食べものは、
身体が喜ぶ食べもの
心が喜ぶ食べもの
地球が喜ぶ食べもの
