奄美世のごはん#052:基本の10(油その2)

朔風と一緒に、北から紅い季節がやってきました。

脂肪酸を「食べものから摂らなければならないもの」と「そうでないもの」に分類すると、必須脂肪酸と非必須脂肪酸。
必須脂肪酸はα-リノレン酸とリノール酸。

次は、脂肪酸を分子構造の違いで分類しましょう。

分子構造に「炭素の二重結合が有る脂肪酸」と「無い脂肪酸」です。
無いものが飽和脂肪酸で、有るものが不飽和脂肪酸です。

飽和脂肪酸には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、などがあります。

飽和脂肪酸は、肉類や乳製品など動物性の脂肪や、ココナッツ油やヤシ油などの熱帯植物の油脂に多く含まれます。
また、食べものからではなく、私たちの身体の中で生合成することもできる脂肪酸です。

ステーキこの脂肪酸は摂り過ぎると、脳梗塞や動脈硬化が促進されると考えられてきました。
ところが、いろいろな研究データから、飽和脂肪酸の摂取量増加と、脳梗塞や動脈硬化のリスク増加の関連は打ち消されたようです。

しかし、飽和脂肪酸の摂取量を減少させると、虚血性心疾患の罹患率、動脈硬化度やLDLコレステロール値が減少することは、多くの研究で報告されています。

つまり、「飽和脂肪酸の摂取を増やすことが、必ずしも脳梗塞や動脈硬化を増加させるわけではないけれど、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことによって、心疾患にかかる確率や動脈硬化の程度やLDLコレステロールの値を下げることが可能性ですよ」ということです。

バターでは減らせば良いのか、というわけでもなく、1日の摂取量が5g未満だと脳出血の罹患率が増加するというデータがあります。
しかしこれも、飽和脂肪酸摂取の減少にともなう、たんぱく質摂取の減少が原因となるとも考えられています。
飽和脂肪酸を制限しても、必要なたんぱく質を摂取していれば、脳出血を予防できる可能性があるというわけです。

飽和脂肪酸の摂取量は、肥満との関連も示唆されています。
これもまた、身体活動量とエネルギー摂取量との関連性が不十分なため、結論づけはまだなされていません。

簡単に言うと、「肥満の原因が飽和脂肪酸の摂り過ぎかもしれないけど、単に運動によるエネルギー消費量以上に、摂取エネルギーが多いだけかもしれなませんよ」ということです。

 

生クリーム糖尿病罹患と飽和脂肪酸の摂取量との間には、正の関連があります。
飽和脂肪酸摂取量が増加すると糖尿病罹患も増加するということです。
これもまた、他の因子の関連を考慮すると打ち消されるのですが、飽和脂肪酸の摂取量とインスリン抵抗性の正の関連は認められています。
「飽和脂肪酸の摂取量の増加により、糖尿病罹患の原因となるインスリン抵抗性が増加する」ということです。

肥満も糖尿病罹患の因子のひとつです。
飽和脂肪酸の摂取増加による肥満の可能性と、飽和脂肪酸の摂取増加によりインスリン抵抗性(肥満とは無関係のインスリン抵抗性)が生じる可能性により、糖尿病の罹患が増加する可能性がある、ということです。

さて、なにがなんだか判らなくなってきましたが、

  • 必要なものを必要なだけ摂るということ。
  • 摂りすぎないということ。
土地の恵 旬の実り かき りんご

柿

栄養と日常生活#010 (仲井DC)

前回は炭水化物は精製されていない状態で摂りましょうとご紹介しました。
今回は「何故、精製された炭水化物は体に良くないの?」を考えてみます。

まず最初に自分が子どもの頃の生活を振り返ってみます。
もう40年以上も前の話しです。
考えてみると、オイオイ随分と年とったなあと実感してしまいました(少し寂しい・・)。

 

 

自分は生まれてから小学6年生まで静岡市で過ごしました。
昔の静岡といえば、「ミカン」です。
冬から春にかけては、学校から帰ると、いきなりミカンを毎日4~5個は食べていました。
春から夏は漬け物のダイコンの尻尾をもらったり、削り節(これも静岡名産でした)の小さくなった残りを食べたり、物置き小屋に置かれたぬかづけの樽に手を延ばして、ひからびたキュウリやナス、またはダイコンなどを隠れて食べていたことを思い出します。

余り自慢にならない昔話ですが、何を言わんといいますと、自分達が子どもの頃は、おやつに糖分を摂る習慣がなかったことです。
ケーキは誕生日のお祝いの時と、クリスマスの時だけだったと思います。
飲み物も、夏は麦茶か水、冬は緑茶か番茶でした(そういえばコブ茶もあった)。
夏にカルピスがあったこともありましたが、何かのご褒美で飲ませてもらえるだけで、常飲させてはもらえませんでした。
チョコレートやキャラメルなどのお菓子は普段は買い与えられず、遠足の前日に数百円もらって、駄菓子屋に買いに行ったものです。
遠足よりも一緒に持って行くお菓子の方が楽しみだったことを覚えています。
数十円持って駄菓子屋に行くのが自分達子供の頃の一番の楽しみでした。

可哀想だと思わないで下さい。
それがごく当たり前で、一般的だったのです。
おやつにケーキやチョコレートを食べることができるとは、当時は想像もしませんでした。
たまにお客さんが来ると、お茶菓子が用意され、一緒に食べることができたことも楽しみの一つでした。
それだけ、おやつイコール糖分という環境ではありませんでした。



白米(左上) 小麦粉(右上) 砂糖(下)本題に戻りましょう。
精製された炭水化物が自分達の体に与える影響を考えてみましょう。
まず分解された炭水化物は殆どブドウ糖に近い状態にまで精製されていますから、小腸から簡単に、しかも短時間で吸収されて血中に送られます。
すると急速に流れ込んだブドウ糖が血糖値を急速に上昇させます。

つまり、この時点で高血糖になります。
するとお腹の真ん中辺りに位置する膵臓が、血液内の血糖値の上昇を察知します。
ここで気をつけて欲しいのは、血糖値の高低を察知するのは脳ではないことです。
高血糖に気付いた膵臓はβ細胞からインスリンを放出して、血液内のブドウ糖を体の細胞に運んで、血液内の血糖値を下げようと一生懸命に働きます。

急速な血糖値の上昇に対する、大量のインスリンの放出は、今度は反対に低血糖を引き起こします。
急激に血糖値が上昇したのですから、膵臓も驚いて、高血糖に対応して大量のインスリンを放出します。
すると一時的ですが、血液内の血糖値が急速に下がり、低血糖になってしまいます。

前回ブドウ糖はエネルギー源であるガソリンだと説明しましたが、そのエネルギー源を一番必要とする臓器は“脳”です。
“脳”のエネルギー源はブドウ糖だけです。
体内に吸収された炭水化物の20%以上が、脳のエネルギー源になると言われています。

低血糖になって困るのは、当然ながら“脳”です。そこで怒り狂った“脳”は指令を出します。「何やってんや、早くブドウ糖を摂らんかい!」と・・・。

指令を受けた体は素直に炭水化物を求めます。
目の前には白砂糖たっぷりのショートケーキ。
“脳”の指令を受けたあなたは、ガブリとケーキを貪ります。

デジャ・ブって聞いたことありますか。
以前に経験した同じ体験や、以前に見た光景が偶然に再現することを指します。
まさしく体の中でデジャ・ブが繰り返し起こります。

 

精製された炭水化物が大量に体内に入る

急速に小腸から吸収され、血糖値が急上昇する

脳に関係なく、膵臓から大量のインスリンが放出される

大量のインスリン放出は低血糖を引き起こす

脳が怒り狂って炭水化物を摂取する指令を出す

「以下、デジャ・ブが永遠と続く」

 

果たして最終的に勝利を収めるのは、“脳”でしょうか、それとも“膵臓”でしょうか。

“脳”が勝利を収める場合は、あなたの膵臓機能は著しく低下または衰弱してインスリンを放出できなくなります。
血糖値も常に上昇した状態になりますから、“脳”は常にエネルギー源が豊富な安泰な時を過ごせます。
しかし嬉しくないおまけがつきます。
大量のブドウ糖が血液中に常在しますと、正常であれば腎臓で再吸収されるはずのブドウ糖が正常範囲を越えて濾過しきれなくなり、溢れたブドウ糖を尿に排出してしまいます。
この状態や空腹時の血糖値が高かったり、ヘモグロビンA1cが高い状態を、医療関係者は“糖尿病”と呼びます。

では激しい戦いにあなたの逞しい“膵臓”が勝利したらどうなるでしょう。何度ともなく繰り返される高血糖と低血糖による“脳”への影響は、あなたの気分をアップさせたり、気分をダウンさせます。
つまりアップダウンの繰り返しです。
極限まで進行すると、医療関係者はこれを“躁鬱病”と呼びます。

近頃よく聞きますね。
子供がじっとしていられない。
落ち着きがなく、直ぐに興奮したり、泣き出す。
切れやすく、喜怒哀楽が激しくなる・・・。
これは今まで説明した炭水化物の過剰摂取が主な原因の一つだと確信しています。

あなたのお子さんは大丈夫ですか?

これだけではありません。まだまだ次回も続きます・・・