奄美世のごはん#049:基本の7(糖質制限食)

立秋を過ぎると日暮れに涼しい風が吹きます。
空にはうろこ雲が広がります。
夏のくだものと、秋のくだものが出逢います。

炭水化物の最後に、触れておきたいのが糖質制限食です。

糖質制限食は、糖尿病の食事療法です。
内科医の江部洋一郎さんが実践指導し、顕著な成果を挙げたものです。
糖尿病の患者さんや糖尿病予備軍の方を対象としています。
糖質を食べ過ぎてしまって急上昇した血糖値に対処するために働き過ぎて疲れきってしまった膵臓を、糖質の摂取を制限することで、休ませて回復させようとする食事方法です。

輸入果物|奄美世のごはん by 古田朋子(Doctors' Suggestion)複雑な計算法などを必要としません。
特別な食材を利用するわけでもありません。
比較的に実践しやすい食事方法です。
基本は、糖質を多く含む食品の摂取を控えていくという、シンプルなものです。

主食を抜く食事法が向かない方もいらっしゃいますが、考え方の基本には、糖尿病ではない方にもメリットがたくさんある食事方法だと思います。

しかしこのところ気になっているのは、都合のよいところばかりをつまみ取った“なんちゃって糖質制限食”です。

ケーキ|奄美世のごはん by 古田朋子(Doctors' Suggestion)例えば、20代の女性です。
「主食を抜けば、あとは好きな物を食べていいんです」というフレーズを掲げた彼女。
食事の時のごはん(お米)やパスタ、パン、などは一切制限しているのですが、午後のおやつの定番は洋菓子とカフェオレです。

彼女の中では、クリームたっぷりの洋菓子もミルクと甘味料たっぷりのカフェオレも、糖質の多い食品ではなく、たんぱく質の多い制限しなくてもよい食品として分類されていたのです。

「だって先生、和菓子やおせんべいの材料はお米でしょ。糖質の塊りなんですよ」と。

 

糖質オフアルコール|奄美世のごはん by 古田朋子(Doctors' Suggestion)主食を食べない代わりに、から揚げばっかり食べている男性もいらっしゃいました。

「肉類のなかで、鶏肉は糖質が最も少ない」のだからだそうです。
野菜の摂取は極々少量、夜は糖質オフの発泡酒です。

 

 

 

 

菓子パン|奄美世のごはん by 古田朋子(Doctors' Suggestion)江部さんの糖質制限食では、朝夕は主食(でんぷん)を避け、昼食の時のみ主食を食べます。
その時選ぶのはGIの低い玄米や日本そば、全粒粉のパンやパスタを好ましいとしています。
砂糖は一切不可です。
メープルシロップや黒砂糖も同じです。
野菜・海藻は3食ともに摂取します。
スポーツドリンクを含む清涼飲料水と牛乳は控えなければならない飲み物です。
レトルトや缶詰などの保存食品なども、原材料に糖質が使用されているものは控えます。
調味料も材料を確認し、糖質が多く使用されているものは、控えます。
間食で食べていい食品はナッツとチーズや干物。
旬の果物|奄美世のごはん by 古田朋子(Doctors' Suggestion)時々なら、少量の生の果物。
お菓子を口にするのは基本的に不可。

本家が出版したと思われる書籍には、「糖質制限食」の考え方や実践法、また、注意しなければならないことや、この食事法が勧められない場合などもしっかりと説明してあります。
手元にある本は、どれも活字がメインで200ページを越えます。

しかし、江部さんの「糖質制限食」とは異なる内容のものや、簡略した内容の本もたくさん出版されています。
雑誌などの特集では、数ページにしか満たないものがほとんどです。
見出しには、思わず手に取ってみたくなるようなキャッチコピーが使われています。
これでは、自分に都合のいい文言だけをピックアップした“なんちゃって糖質制限”がはびこるのも、仕方ないのかもしれません。

 

今週は「なんちゃって糖質制限」をして、次の週は「なんちゃってベジタリアン」・・・・。

 

何を食べるかを決めるのは自分自身です。

健康的ではない生活を送る罪悪感を、なんちゃって健康法で埋めていませんか?
ストレスを食べることで埋めあわせた罪悪感を、なんちゃって食事制限でごまかしていませんか?

必要なものを食べていますか?
必要なだけ食べていますか?

栄養と日常生活#010 (仲井DC)

前回は炭水化物は精製されていない状態で摂りましょうとご紹介しました。
今回は「何故、精製された炭水化物は体に良くないの?」を考えてみます。

まず最初に自分が子どもの頃の生活を振り返ってみます。
もう40年以上も前の話しです。
考えてみると、オイオイ随分と年とったなあと実感してしまいました(少し寂しい・・)。

 

 

自分は生まれてから小学6年生まで静岡市で過ごしました。
昔の静岡といえば、「ミカン」です。
冬から春にかけては、学校から帰ると、いきなりミカンを毎日4~5個は食べていました。
春から夏は漬け物のダイコンの尻尾をもらったり、削り節(これも静岡名産でした)の小さくなった残りを食べたり、物置き小屋に置かれたぬかづけの樽に手を延ばして、ひからびたキュウリやナス、またはダイコンなどを隠れて食べていたことを思い出します。

余り自慢にならない昔話ですが、何を言わんといいますと、自分達が子どもの頃は、おやつに糖分を摂る習慣がなかったことです。
ケーキは誕生日のお祝いの時と、クリスマスの時だけだったと思います。
飲み物も、夏は麦茶か水、冬は緑茶か番茶でした(そういえばコブ茶もあった)。
夏にカルピスがあったこともありましたが、何かのご褒美で飲ませてもらえるだけで、常飲させてはもらえませんでした。
チョコレートやキャラメルなどのお菓子は普段は買い与えられず、遠足の前日に数百円もらって、駄菓子屋に買いに行ったものです。
遠足よりも一緒に持って行くお菓子の方が楽しみだったことを覚えています。
数十円持って駄菓子屋に行くのが自分達子供の頃の一番の楽しみでした。

可哀想だと思わないで下さい。
それがごく当たり前で、一般的だったのです。
おやつにケーキやチョコレートを食べることができるとは、当時は想像もしませんでした。
たまにお客さんが来ると、お茶菓子が用意され、一緒に食べることができたことも楽しみの一つでした。
それだけ、おやつイコール糖分という環境ではありませんでした。



白米(左上) 小麦粉(右上) 砂糖(下)本題に戻りましょう。
精製された炭水化物が自分達の体に与える影響を考えてみましょう。
まず分解された炭水化物は殆どブドウ糖に近い状態にまで精製されていますから、小腸から簡単に、しかも短時間で吸収されて血中に送られます。
すると急速に流れ込んだブドウ糖が血糖値を急速に上昇させます。

つまり、この時点で高血糖になります。
するとお腹の真ん中辺りに位置する膵臓が、血液内の血糖値の上昇を察知します。
ここで気をつけて欲しいのは、血糖値の高低を察知するのは脳ではないことです。
高血糖に気付いた膵臓はβ細胞からインスリンを放出して、血液内のブドウ糖を体の細胞に運んで、血液内の血糖値を下げようと一生懸命に働きます。

急速な血糖値の上昇に対する、大量のインスリンの放出は、今度は反対に低血糖を引き起こします。
急激に血糖値が上昇したのですから、膵臓も驚いて、高血糖に対応して大量のインスリンを放出します。
すると一時的ですが、血液内の血糖値が急速に下がり、低血糖になってしまいます。

前回ブドウ糖はエネルギー源であるガソリンだと説明しましたが、そのエネルギー源を一番必要とする臓器は“脳”です。
“脳”のエネルギー源はブドウ糖だけです。
体内に吸収された炭水化物の20%以上が、脳のエネルギー源になると言われています。

低血糖になって困るのは、当然ながら“脳”です。そこで怒り狂った“脳”は指令を出します。「何やってんや、早くブドウ糖を摂らんかい!」と・・・。

指令を受けた体は素直に炭水化物を求めます。
目の前には白砂糖たっぷりのショートケーキ。
“脳”の指令を受けたあなたは、ガブリとケーキを貪ります。

デジャ・ブって聞いたことありますか。
以前に経験した同じ体験や、以前に見た光景が偶然に再現することを指します。
まさしく体の中でデジャ・ブが繰り返し起こります。

 

精製された炭水化物が大量に体内に入る

急速に小腸から吸収され、血糖値が急上昇する

脳に関係なく、膵臓から大量のインスリンが放出される

大量のインスリン放出は低血糖を引き起こす

脳が怒り狂って炭水化物を摂取する指令を出す

「以下、デジャ・ブが永遠と続く」

 

果たして最終的に勝利を収めるのは、“脳”でしょうか、それとも“膵臓”でしょうか。

“脳”が勝利を収める場合は、あなたの膵臓機能は著しく低下または衰弱してインスリンを放出できなくなります。
血糖値も常に上昇した状態になりますから、“脳”は常にエネルギー源が豊富な安泰な時を過ごせます。
しかし嬉しくないおまけがつきます。
大量のブドウ糖が血液中に常在しますと、正常であれば腎臓で再吸収されるはずのブドウ糖が正常範囲を越えて濾過しきれなくなり、溢れたブドウ糖を尿に排出してしまいます。
この状態や空腹時の血糖値が高かったり、ヘモグロビンA1cが高い状態を、医療関係者は“糖尿病”と呼びます。

では激しい戦いにあなたの逞しい“膵臓”が勝利したらどうなるでしょう。何度ともなく繰り返される高血糖と低血糖による“脳”への影響は、あなたの気分をアップさせたり、気分をダウンさせます。
つまりアップダウンの繰り返しです。
極限まで進行すると、医療関係者はこれを“躁鬱病”と呼びます。

近頃よく聞きますね。
子供がじっとしていられない。
落ち着きがなく、直ぐに興奮したり、泣き出す。
切れやすく、喜怒哀楽が激しくなる・・・。
これは今まで説明した炭水化物の過剰摂取が主な原因の一つだと確信しています。

あなたのお子さんは大丈夫ですか?

これだけではありません。まだまだ次回も続きます・・・

栄養と日常生活#009 (仲井DC)

概要や解毒の話しで随分と前置きが長くなりましたが、やっと栄養学の本題に入ります。

今回から六大栄養素を基に、色々とご紹介して行きますが、三大栄養素とも、七大栄養素と表現されるので、誤解しないように少し説明を加えます。

元々は三大栄養素と呼ばれていました。
それは「炭水化物」、「脂肪」、そして「タンパク質」です。
そこに更に3つ「ビタミン」、「ミネラル」、そして「水分」が加わり、六大栄養素と呼ばれるように成りました。
今では炭水化物の一つである「食物繊維」を別の栄養素として考え、七大栄養素とも呼びますが、ここでは食物繊維は炭水化物の仲間として扱うことにします。

この六大栄養素の基本は、体の中では作れない、身体に必要な栄養素と定義されています。
ですが今では体内で多くの栄養素が作れたり、私たちの体内で共存共生しているバクテリアからも作られることが判明しています。
詳細は追って説明して行きます。

まず「炭水化物」の話しから始めます。

炭水化物は体の“エネルギー源”または体の“ガソリン”だと考えて下さい。
つまり自分達が体を動かすためには、炭水化物が必要になります。

そしてその体に必要なガソリンの正体は“糖質(ブドウ糖)”です。
つまり炭水化物とは糖質のことです。
糖質と言うと、頭の中で真っ先に浮かぶのは、お菓子やケーキを想像するかも知れませんが、ここで紹介する糖質(炭水化物)は、米や小麦または芋類などの主食を指します。
主食がエネルギー源であり、体を動かすガソリンなのです。

しかも自分達がガソリンとして必要な糖分は、精製されて透通った黄金色のハイオクのガソリンではなく、精製されていない“原油”だと理解して欲しいのです。

今回強調したいことは、自分達のエネルギーとなる糖質は、決して精製されたものではないということです。
何故なら、自分達は主食を精製して摂取するようになったことで、非常に多くの問題(多くの病気の根元)を引き起こしてしまったからです。

信じられないかも知れませんが、反対に生活の一部を少し修正するだけで、多くの病気から身を守ることができるのです。

どうやって?

簡単なことです。これは当オフィスにいらしている患者さん全員に勧めていることです。

それは;

“白米を胚芽米か玄米に、白砂糖を黒糖かハチ蜜(赤ちゃんはダメ)に、小麦粉は全粒粉に変えましょう!”

©2012 DoctorsSuggestion.com

玄米4

 

ネッ簡単でしょ、これだけで多くの病気を防ぐことができるのですから・・・。

精製された糖質が引き起こす代表的な病気は、今や日本で隠れ族を入れたら2,000万人に達すると言われている“糖尿病”です。

ただ白米を胚芽米や玄米にして、白砂糖を黒砂糖やハチ蜜にして、なるべく小麦粉を使った料理を避けるだけで、不治の病とされる糖尿病から身を守ることが出来るのです(もちろん既に糖尿病と診断されている人も同じですが、糖尿病の人は更に有酸素系の軽い運動も必要です)。

決して“甘いものを食べてはいけない!”と言っているのではありません。
“食べ方を変えて”と勧めているのです。

確かにお年寄り(特に戦争経験者)の多くは、「絶対白米は止めない。私たちは白米を食べることを夢見て頑張ってきた。それをまずい玄米に戻すなんて、絶対にイヤだ!」と言います。

分かります。

でも玄米は炊き方次第で、とっても美味しく食べられますし、慣れてくると、逆に白米は味気がなく、ベタベタして不味く感じるようになります。
玄米の美味しい炊き方は専門家である朋子先生にお任せしますが、本当に美味しいですよ。

次に白砂糖を避けるのは大変です。
外食したらまずアウトです。
また加工食品にも殆ど白砂糖やコーンシュガー(ブドウ糖、米糖、液糖)が入ってます。実は最近、自分が愛飲しているビールにもコーンスターチが入っていることを知り、愕然としてしまいました。

519BG3jeTLL__SL500_AA300_コーンシュガーについては映画「キングコーン」をご観賞下さい。
自分もビデオ屋さんで借りて観ましたが、深く考えさせられる内容でした。

しかし自分次第でなるべく注意していれば、白砂糖はかなり避けることが可能です。
黒砂糖は携帯することも可能です。
絶対ダメ!と考えずに、なるべく避けるというスタンスが重要だと思います。

後は小麦粉ですが、これも外食する人が避けるのは不可能に近いと思います。
皆さんはどこでも売られている食パンにも砂糖やコーンシュガーが入っていることを知っていましたか?

51BYBJSQ6TL__SL500_AA300_そうなんです。
本来のパンは少し苦いのです。
しかも食パンの原料は小麦粉です。
粗食のすすめ”で知られる幕内秀夫さんは著書で、「食パンはお菓子、お菓子を朝から食べる人はいないでしょ」と、とてもわかりやすく説明されています。

こう考えると、自分達の生活は“いらない糖分”で溢れていることが分かります。
自分の体は自分で守る、もちろん家族や友人も守るという気持が大切なのではないでしょうか。

では何故、白米、白砂糖、小麦粉がダメなのでしょうか。
それを次回からゆっくりと説明して行きます。