『奄美世のごはん#014』

古田朋子:DoctorsSuggestion.com真夏の奄美の海は本当に素晴らしく、一日中でも眺めていたいのですが、太陽が昇りきる少し前から傾き始めるまでは、砂浜はとてつもなく熱くなります。
サンオイルを塗って肌を焼こうなんて、とんでもない行為です。

亜熱帯の太陽の陽射しから身を守るために、植物はたくさんのビタミンや、フィトケミカル(植物栄養素)を創り出します。
なかでも、奄美で採れる果物には、ビタミンCがたっぷり含まれています。
特に、とけいそうとばんしろは、ビタミンCの含有率が高く、他の抗酸化物質もたくさん含んでいます。

島の畑にはとけいそう(パッション:↓)。庭木に、ばんしろ(グアバ)やパパイア、家の裏にはバナナが生っていたり・・・。

パッション(時計草)の青い実 パッション(時計草)の花

ニガウリそうですね、関東でいうなら庭先に柿が生っているような感覚でしょうか。

最近は、全国区になった緑のカーテンのにがうりも、ビタミンCの宝庫です。

 

 

 

 

パパイアの実パパイア(←)やパイナップルには、酵素も豊富に含まれています。
たんぱく質を分解してくれる酵素で、料理にも活用されます。

たとえば酢豚に入れるパイナップルは、豚肉を軟らかくするためのものです。
もちろん、加熱しますから、お腹の中に入ってからの酵素活性は期待できません。

パパイアは、熟したものもおいしいのですが、奄美では青いうちに野菜として調理することも一般的です。
生のまま漬け物にしたり、和え物にしたり。
生のままだと、酵素の働きが活発だからでしょうか、食べ過ぎないようにと言われます。

大根は、糖質を分解してくれる酵素を含む食材の代表格。
大根をおろしたものをお餅にからめて食べたことありますよね。
大根に含まれる酵素が、お餅の糖質の分解を助けてくれるので、胃もたれしないのです。

酵素が発見されるずっと前から、伝え行われてきたことです。
私たちの祖先が自ら感じとって、そして選んで来たことです。

 

酵素は、アミノ酸がつながって出来たたんぱく質ですから、加熱すると変性します。
また、腸の中で消化されて、アミノ酸に分解されてしまいます。
酵素の分子構造はとても大きいので、そのままの形で吸収されることはありませんし、腸壁や皮膚から血中やリンパ流に入ることはありません。

コラーゲンもアミノ酸がつながって出来たたんぱく質の仲間です。
私たちの身体の中で、3種類のアミノ酸を組み合わせて作られます。
身体の中でコラーゲンを作る時に、遺伝子情報を書き写すのですが、その時に材料のアミノ酸を少し作り変えます。
作り変えたアミノ酸でコラーゲンを合成するのです。
残念ながら、この作り変えてコラーゲンとなったアミノ酸は、分解してもコラーゲンの材料にはなりません。

ややこしいですね。

つまり、新たにコラーゲンを作る時は、アミノ酸を少し作り変えるという工程を経ないとならないのです。
すでにコラーゲンに含まれる、作り変えられてしまったアミノ酸は、その工程を通過してしまっているので、コラーゲンの材料にはならないのです。
ですから、コラーゲンを食べたり飲んだりしても、そのほとんどはコラーゲン合成には使われないというわけです。

コラーゲンは身体を支える支柱のような働きをします。
骨の強さも、肌の弾力も、コラーゲンのおかげです。
身体が必要とする、充分な量のコラーゲンを作り、補うには、材料となるアミノ酸をバランスよく摂取することです。
コラーゲンの合成に必要なアミノ酸は、リジン、グリシン、プロリン。
中でも、リジンは食べ物から取り入れないとならない必須アミノ酸です。

小麦はこの必須アミノ酸のリジンが少ないので、パスタやパンを主食にすると、豆類のたんぱく質では補いきれません。
ですから動物性のたんぱく質の摂取が必要となりますが、できれば、デメリットの多い肉や肉加工品ではなく、添加物の少ない卵や、汚染されていない魚介をおすすめします。

お米のリジン不足は比較的に少なく、豆類や大豆製品で充分に補うことができます。
そうです、ごはんとみそ汁です。

 

コラーゲンを合成するには、アミノ酸の他にビタミンCが不可欠です。
海の恵みのたんぱく質と、果物や野菜のビタミンCは、奄美世の人々の健康の礎。

私たちは今生に、身体を持って生まれてきました。
たったひとつの身体です。
宇宙のどこを探しても、その身体ひとつっきりです。
心がおだやかでいられる身体、魂のいごこちがいい身体。
それを感じとることができるのは、自分自身だけ。

 

奄美の海の日没の瞬間海水浴は朝のうちか、午後の少し陽が傾く前から夕方がベスト。

海に沈んでいく夕陽もきれいですが、島に入っていく夕陽を、海の中から見るのもまた、いいですよ。

『奄美世のごはん#013』

我が家では初めて、実のなる野菜を育てています。

いつもは小松菜やねぎ、バジルといった葉物野菜をベランダの植木鉢やプランターに植えてあるのですが、それは根っこが付いた野菜を買ってきて、根っこの部分を長めに切って土に挿すという、なんとも手抜きな栽培方法なのです。
しかしもとの野菜が元気だとこれがなかなかしっかりと根付いてくれて、肥料もあげていないのに汁の実ぐらいには成長するんです。

 

小松菜プランター(奄美世のごはん)by DoctorsSuggestion.comそんな調子でいたら、ピーマンに次々とつぼみがついて花が咲き始めたのです。
このままでは栄養の取りっこで全滅してしまうと思い、家庭菜園でおいしそうなトマトを鈴なりに育てている友人に尋ねてみたら、茎や葉に充分に栄養がいくように、一番花と二番花はつむのだと教えてくれました。

 

小松菜ざる(奄美世のごはん)by DoctorsSuggestion.com植物の世話が上手な人は緑の手をもっているのだそうです。
そういう人はきっと、言葉ではない、いろんなものを感じ取ることができるのではないかと思うのです。
根っこが苦しそうだとか、水を欲しがっているなとか、それは見たり触れたりすることだけではなく、植物を“感じている”のではないかと。

このように“感じる”ということは、生き物として基本的な判断力とでもいうのでしょうか。
本来は自然に持っているもの、たとえば風邪で具合が悪い時に揚げものを食べたくないと感じたり、二日酔いの朝はたくさん水を飲みたくなるとか・・・。

頭でこれこれこうと考え判断するだけではなく、自然と“感じて”その“感じたこと”に従う。
疲れてるな~と感じたら、がんばりすぎないこと、休んでみること。
困ったときは、助けてと言ってみること、誰かに手伝ってと言ってみること。

 

私たちは感じることをおろそかにしてきたのでしょうか、歳を重ねるとともに少しずつ忘れてしまっているように思います。
たとえば腐っていることが分からずに、お腹を壊してしまったり、身体からの信号や痛みに気付かずに、病気になってしまったり。

徳仁トマト(奄美世のごはん)by DoctorsSuggestion.com食べ物やサプリメントの摂り方も同じです。
外の環境だけではなく、自分自身の身体の中、心の中を確かめながら、考えたり、感じたり、してみてください。
健康に良いらしいというだけではなくて、どう良いのか、自分の身体が必要としているものなのか。
考えても分からない時は、専門の知識のある人に聞いてみたり、調べてみる。
そして感じてみる。

たとえばサプリメントや食べ物の原材料の欄に、カタカナの聞いたことも見たこともない化学物質が書いてあったら、なんとなくイヤだなと感じる。
遺伝子組み換え作物が使われていたら、やっぱりなんとなくイヤだなと感じる。
そして、どうしてイヤなんだろうと考えたり調べたりしてみる。

ひとつずつ、少しずつ、試しながら、確かめながら、習慣になるといい。

続けられる方法、自分に合った方法、自分の考え方や、感じ方や、暮らし方に合った方法があります。
それを探し出したり、創りあげるお手伝いをしていきたいと思います。



トマト(奄美世のごはん)by DoctorsSuggestion.com緑の手をした友人の子どもたちは、帰ってくるとこのトマトをぺろっとたいらげるのだそうです。

でもそれは、紫外線で消耗した皮膚のビタミンCや水分の補給、身体活動によって発生した活性酸素を中和するためのカロチンやリコピンの摂取、なんていうことを考えてではありません。

子どもたちは必要なものを必要な分だけ取り入れます。そして、子どもたちのそれは、かなり確実な選択です。

そのトマトには化学的な栄養素だけではなく、心の栄養もたくさん入っていることをしっかりと感じ取っているのでしょう。

 

 

自分を感じることができると、人を感じることもできます。
人を思いやることもできます。

奄美の原生林のなかで生命の気配を感じるという友人がいます。彼の話を聞いていると、本来人間は、植物をも、動物をも、“感じる”ことができるのかもしれないと、そう思うのです。

ひかげへごと太陽(奄美世のごはん)by DoctorsSuggestion.com

『奄美世のごはん#011』

亜熱帯の奄美では、一年中色鮮やかな花々が咲いていますが、梅雨の頃には雨に洗われ鮮やかさを増します。
関東でもひどく暑くもならず、冷えこむこともないので、とても過ごしやすい季節なのですが、ご存じのとおり連休明けのこの時期には、どなたが名付けたのか5月病という“こころの病”が流行します。

そんな気分を一新するために、目覚めのために、気分をすっきりさせるために、私たちがよく利用するのがコーヒーです。

一日に10杯以上も飲んでいた方がいらっしゃいました。
デカンタにたっぷりコーヒーをおとし、マグカップを片手に飲みながら仕事をすることが習慣になっていたのです。

でも、子どもにコーヒーを無制限に飲ませる大人はいないようですが、なぜでしょう?
なんとなくコーヒーは身体に悪いものだと感じているのではないでしょうか?

なんと“カフェイン”は劇薬に指定されている物質なんです。

ブーゲンビリア | 奄美世のごはん(DoctorsSuggestion.com)劇薬というのは、つまり、毒薬の次に毒性が強いということになります。
この劇薬指定のカフェインが含まれている飲み物の代表格がコーヒーです。
でも劇薬が含まれているというのに、コーヒーを購入する時に身分証明はいりませんし、年齢制限もありません。
カフェインを含む飲み物や食べ物を購入して利用することも、子どもであっても違法ではありません。

カフェインは私たちの脳を興奮させるので、眠気が覚めたり、疲れを感じなくなります。
集中力もアップしますから、仕事もはかどるわけです。
この効果の適量はコーヒーの濃さにもよりますが、多くて数杯といったところでしょうか。
ですがカフェインに対する耐性には個人差がありますから、人によってはコーヒー1杯であっても、脳が興奮し続けて眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなったりします。
尿の量も増えますから、一晩に何度もトイレに行かなければならないこともあります。
たった1杯しか飲んでいませんので、睡眠の問題や頻尿と、カフェインの作用が結び付いていないことがほとんどです。
カフェインの摂取で、みぞおちの少し右の肋骨にそって痛みや熱感が出たり、右の肩甲骨と背骨の間にコリや痛みを感じる方もいます。
このような場合は臓器に対する治療と、原因であるカフェインの制限が必要になります。
むやみに揉みつづけるだけでは、筋線維を傷めることにもなります。

諸鈍でいご並木 | 奄美世のごはん(DoctorsSuggestion.com)コーヒーを飲み続けると、カフェインに対する耐性ができてきます。
すると同じすっきり効果を得るためには、飲む量を増やさなければならなくなります。
カフェインの量が増え過ぎると、アドレナリンなどの興奮性の物質が分泌されて、脳だけではなく全身の興奮が起こります。
心拍が増え血圧が上がるので、心臓に負担がかかります。
筋肉が興奮しすぎると痙攣などが起こります。
疲労物質もたまります。
カフェインは胃酸の分泌を刺激するので、胸やけや炎症、不快感の原因にもなります。
イライラしたり、不安を感じることもあります。

夜の睡眠の質が悪くなると、朝の目覚めが悪くなったり、昼間に眠気や疲労を感じますから、またカフェインの作用が必要になります。

摂取したカフェインの分解解毒は肝臓で行われます。
たばこに含まれる化学物質も、アルコールのアセトアルデヒドも、肝臓が分解してくれます。
筋肉に発生する乳酸の代謝とリサイクルも肝臓の役目です。
肝臓の仕事が多いとカフェインの分解にも時間がかかります。
分解の時にビタミンCなどが必要ですから、栄養素の不足があると分解は進みません。
正常で4~6時間といわれますが、肝臓の健康状態と仕事の量と質によっては、12時間も24時間もかかるようです。

夜間の睡眠の状態や、トイレに行く回数などで、コーヒーの量を加減してみて下さい。
分解に要する時間を考慮して、コーヒーを飲む時間帯は午前中から遅くても午後3時ぐらいをおすすめしています。
睡眠障害と夜間の頻尿を訴えて治療にいらっしゃった患者さんで、カイロプラクティックの施術と、コーヒーの量と時間のコントロールで、日中の尿漏れが治まった方もいらっしゃいます。
分解産物は尿として身体の外に排泄しなければならないので、水を飲むのを止めるのはおすすめできません。

カフェインの許容量は、トータルの摂取量を把握しなければならないのですが、やっかいなことに気付かずカフェインを摂取していることも多いのです。
お茶やコーラ類、ココア、チョコレートなどはご存じのことと思いますが、風邪薬、鎮痛剤、解熱剤、睡眠抑制剤などにもたくさん含まれます。
もちろん子ども用にもカフェインは使われています。
ドリンク剤にも強いカフェインが入っています。
一時的に元気になりますから、疲れた時や眠気覚ましに常飲している方も多いようです。
このようなドリンク剤は、スポーツドリンクとともに子どものクラブ活動や試合に、差し入れとして届くことがあります。
カフェインも運動による疲労物質も肝臓で分解しなければなりません。
筋組織を修復する成長ホルモンは肝臓で活性化されて始めて働きます。
パフォーマンスの安定には、目の前の一時的なパワーアップより、基本的な健康管理のほうが確実です。

三色ふだん草 | 奄美世のごはん(DoctorsSuggestion.com)さて、奄美で鮮やかなのは花々だけではありません。
写真(→)は3色のふだん草。

色合いから想像するにビタミンやミネラルに加えフィトケミカルもたっぷり含まれているでしょう。

 

 

にんにく | 奄美世のごはん(DoctorsSuggestion.com)つやつやの紫色をしたものはフルンガブ(にんにく)です。

この紫色で小ぶりのにんにくは奄美の在来種で、とても良い香がします。
島では塩漬けやしょう油漬け、黒糖漬けにしてよく食べます。

 

 

 

 

梅雨の晴れ間の海も、またひと味ちがった味わいです。
朋子26 | 奄美世のごはん(DoctorsSuggestion.com)

『奄美世のごはん#009』

梅はのんびりと開花しましたが、桜は順調に咲いてくれるでしょうか?

奄美の桜は2月に咲きます。
花びらが大きく開かない桜なので、ソメイヨシノのような豪華さはありませんが、緋色の花が山間にぽつぽつと咲いて、早い春を知らせてくれます。
亜熱帯の土地に合った桜なのでしょう。

奄美の土壌はカルシウムを始めミネラルを多く含むそうです。
サンゴ礁が隆起してできた島であることと、毎年やってくるできたての台風が、海の水を空から撒いてくれることも手伝っているそうです。
おかげで、島の在来種の野菜、野草には、カルシウムやミネラルの含有率がとびぬけて高いものがあります。
土地が奄美世の人々の長寿と健康を支えてくれていたのですね。

さて、カルシウムの摂取には、まず乳製品が頭に浮かぶことが多いでしょう。
牛乳、乳製品の摂取には賛否両論ありますが、さまざまな理由から私はお勧めしておりません。

古くから伝わる日本の伝統食には、カルシウムを豊富に含む食材がたくさん使われます。
DoctorsSuggestion.com 奄美世のごはん#009-1 切干し大根なかでも、値段も手ごろで一年中どこでも手に入るのが切干し大根。
栄養価が高い食材とは思えない見た目ですが、栄養素がぎゅぎゅっと濃縮されているんです。

切干し大根には、ふだん不足しがちなカルシウムだけではなく、過剰なナトリウムを排出してくれるカリウムや、貧血を防ぐ鉄分などのミネラル、そして細胞内で脂肪や糖質を燃やしエネルギー産生を促すビタミンB1、B2、B3、パントテン酸など主なビタミンB群も豊富です。
特に食の西洋化にともなって、摂取量が減少しているといわれる不溶性の食物繊維が多く含まれます。
水溶性の食物繊維とともに有害物質を排泄してくれたり、腸内の細菌のバランスを整えて、腸内の環境を良好に保ちます。

不溶性の食物繊維が豊富だと、必然的に噛む回数が増えますから、消化器の働きを活発にしたり、胃酸の分泌を促してくれます。
噛む回数の減少や老化にともなって胃酸の分泌が減少すると、消化不良や胸やけの原因にもなります。
また、胃酸は鉄分などのミネラルの吸収にも必要ですから、切干し大根を常備して、噛む習慣を繰り返すことは、全身の栄養状態の向上につながります。
ゆっくり噛んで食べることで副交感神経が刺激され、緊張しっぱなしの状態がリラックスモードに切り替わります。

関東では、千切りにして干したものをよく見かけますが、奄美(徳之島)でよく食べる切干し大根は、短冊に切って真中に切り目を入れたものです。
ズボンのような形です。
そのズボンの股のところをひもに引っかけて干します。
子どものころ、物置の壁にひもがたくさん張ってあって、大根がずらっと干してありました。
ええ、もちろん、端っこには洗濯物もです。

切し大根は水でもどします。
昆布でだしをとりますが、その昆布もそのまましょう油味で切干しと炊き合わせます。
DoctorsSuggestion.com 奄美世のごはん#009-2 1cmに切った昆布すぐ使えるように1cmほどにハサミで切って、容器に入れておくと便利です。
昆布はカルシウムとのバランスが重要なマグネシウムを豊富に含みます。
フコダインなどの水溶性の食物繊維も摂ることができます。
おすすめの組み合わせです。
そこに人参のカロチンを足して、油揚げの大豆たんぱくを加えたら、なかなかの栄養バランス。

3月半ばから4月にかけては、進級、進学、就職、引っ越しなどなど、落ち着かない日が続きます。
イライラしたり、不安で眠れなかったり、くたびれたり、そんな時にはたっぷりのだし汁で、のんびり、ゆっくり、切干しを炊いてみてください。
カルシウムや食物繊維、ビタミンB群がイライラを鎮め、疲れをいやしてくれますよ。

 DoctorsSuggestion.com 奄美世のごはん#009-3

『奄美世のごはん#008』

豆をまいて立春を迎えたら、次にやって来るのは三月三日の桃の節句。
奄美では、お墓参りをしたり、よもぎもちや島料理を持って海におりて、浜遊びや潮干狩りをします。
海に入るにはまだまだ寒そうな気がしますが、奄美はすでに20°をこえる気温です。
奄美世はたぶん旧暦ですから、新暦の4月半ばでしょうか。
汗ばむような日もあったのかもしれません。

 

 

奄美世のごはん#008-1 | DoctorsSuggestion.comよもぎもちは奄美の方言で「ふちむち」といいます。
よもぎをたっぷり入れた、餅米粉と黒砂糖の餅菓子で、殺菌作用がある月桃やバナナの葉っぱで包んであります。

できたてのよもぎもちの香りは、亜熱帯の奄美の草むらを想わせます。

 

よもぎもちは、日が経ってかたくなったら軽く蒸しなおします。
きな粉をまぶすと、また違う味わいです。
でも、黒砂糖がしっかりきいていますから、きな粉には甘味を足しません。

軽く蒸したよもぎもちを、娘たちがわざわざ串にさしてくれました。

 

春先の、木の芽時には様々な病気が芽吹くといわれます。
寒い冬の間に、身体の中に溜め込んでしまった脂肪や老廃物を、分解して、解毒して、身体の外に排出する大掃除の時期です。
そのためには、たくさんのビタミンやミネラルなどの栄養素が必要です。
栄養素が充分でないと、解毒、排出がうまくいかず、いろいろな症状が現れます。

同じころ、よもぎのように苦味のある植物の若葉や新芽が店頭に並びます。
たらの芽、ふき、たけのこ…。
植物の新芽には、私たちの身体の大掃除に必要な栄養素がぎゅぎゅっと詰め込まれています。
ビタミンやミネラル、フィトケミカル(植物が作る化学物質)です。
桃の節句に出される菜花などのあぶら菜科の野菜は、がんのデザイナーフードの先頭にリストアップされるほどです。

この植物の新芽や若葉に詰め込まれた栄養素は、ほんとうは、植物が成長するために、植物が作り出した成分です。
植物が次世代に生命をつなぐための栄養素を、新芽に詰め込んだのです。

つまり私たちは、植物が生命をつなぐための新芽をいただくわけです。
私たちは、他の生命をいただいて、私たち自身の生命をつないでいきます。

 



翌日のお弁当のおかずに魚をさばいていたら、娘が学校から帰ってきました。
ちょうど、魚の頭を落として、お腹を取り出した後だったので、まな板の上はスプラッタな状態でした。

奄美世のごはん#008-2 | DoctorsSuggestion.com肩ごしにのぞきこんだ娘の第一声は「うわっ、おいしそう!」
切り身の形を見て「あ、粉つけて、焼くやつででしょ!?」
明日のお弁当に入れるのだと言うと、「やった〜!」と大喜び。

食べ物を丸ごと食べるということは、栄養学的にバランスが良いというだけではなくて、生命を大切にいただくということ。
生命の形があるものを料理して食べていると、生命をいただいているということに気がつくということ。

 

古くから受け継がれて来た伝統的な食や行事には、大切な智慧が盛り込まれています。
三月三日の節句に、よもぎをたっぷり入れたふちむちを食べ、海水で心身を洗い浄め、身体と心の大掃除。

奄美世のごはん#008-3 | DoctorsSuggestion.com

『奄美世のごはん#006』

今月の22日は冬至です。一年のうち昼が最も短く、夜が最も長い日です。
この日は太陽が最も低く昇ります。

日本では、かぼちゃを食べて、ゆず湯に入ります。
かぼちゃと小豆を一緒に炊いた“いとこ煮”も、この時期の定番ですね。
かぼちゃのカロチンと、小豆の加熱に強いビタミンCは、風邪予防にはもってこいです。
小豆の良質なたんぱく質は、ウイルスを押さえ込む抗体の産生につながります。

奄美世のごはん#006-1かぼちゃにはビタミンEもたっぷり。
ビタミンEは血液と血管のビタミン、老化防止のビタミンです。
冷えて縮こまって流れが悪くなった血管を整備して、血流を促してくれます。
不足しがちな亜鉛も、かぼちゃと小豆に入っています。
亜鉛はDNAの分裂と再生に欠くことのできないミネラルです。
成長や修復に大事な栄養素です。

いとこ煮の組み合わせの素晴らしいところは、ビタミンEとビタミンCを一緒に摂ることができること。
ビタミンCは酸化したビタミンEを還元してくれますから、ビタミンEは再び働くことができます。

“昔の人は知っていた”長く受け継がれてきた伝統食は、本当に素晴らしいものなのです。

 

でも、かぼちゃの旬って夏なんですよ。
かぼちゃは夏の太陽をたっぷり浴びて育っているので、冷えきった身体をお腹の中から温めてくれるんです。

奄美世のごはん#006-2夏の太陽をたっぷり浴びた奄美の海も、夏の太陽のぬくもりを蓄えていますから、意外に水温は高いんです。

常夏の冬の海(?)はひと味ちがった優しい色になります。
わざわざ冬場をねらって、ダイビングやサーフィンに訪れる方もいるそうです。

 

 

 

 

 

血中にブドウ糖がたくさんあると、せっかくのビタミンCが細胞内に入りにくくなりますから、かぼちゃを炊くときは糖分を入れないでください。
もの足りないなら、塩かしょう油を少し足します。
我が家では蒸し煮にします。
厚手の鍋に1センチぐらいの水をはり、一口大に切ったかぼちゃを皮を下にして入れ、蒸します。
水が蒸発して無くなるころに、かぼちゃが蒸し上がります。
ときどき焦がしてしまいますが、ちょっと焦げたところがまた美味しい。
かたい場合は、お湯を足してもう少し蒸しましょう。

中が見えるようにガラスの容器に入れておくと、子どもが発見しておやつに食べてくれます。
子ども達はかぼちゃの甘味で充分に満足します。
小豆ご飯のおむすびやみかんで、ビタミンCも追加しましょう。
お菓子のいらないおやつです。

奄美世のごはん#006-3台所で、ビタミンCたっぷりの大根葉を水栽培しています。
葉付き大根の育った葉っぱを取りはずして、芯の若い葉を水に差します。
育ってきたら刻んで、汁の浮き実や、雑炊の青みに

大根の浅漬けに混ぜ込んでもきれいです。
昆布と塩味で炊きあげたご飯に混ぜたら、青菜ご飯のできあがり。

 

 

 

 

暮れに向けて、食べ過ぎ、飲み過ぎ、寝不足で、疲れがたまっている時は、小豆のお粥や大根葉の雑炊を、ゆっくり、よく噛んで、食べてください。
お腹を少し休めましょう。
お米は精製度の低いものを使うこと。
消化剤を飲んで、一時的に消化を助けてスッキリしても、くたびれた胃腸の調子が回復するわけではありません。

 

ではまた来年
みなさま、良いお年をお迎えください。