栄養と日常生活#040:マグネシウム

前回までカルシウムの話しでした。

意外や意外、今でもカルシウムの摂取“神話”を信じる人が多いようです。
飲みたくもない牛乳を毎日飲み、好きでもない小魚を無理やり食べている人たちをよく見聞きします。

 

実際に自分も20年前までは、その一人でした。

「牛乳を飲まなければ大きくなれない!」、「カルシウムを摂らなければ、骨が弱くなって、歪んだ身体になる!」・・・等々と、周りの人に色々と忠告され、嫌な気持ちを抑えて一生懸命に牛乳を飲んだり、干した小魚を食べた経験があります。
しかし自分は牛乳を飲むとお腹を壊してしまうので、小学校、中学校の給食で出された牛乳は、何時も友人にあげていました(今では大正解!アンタは偉い!)。

じつは体に悪い19の食習慣 (ワニブックスPLUS新書)それでも175cmまで成長したのですが、「ひょっとしたら、牛乳を飲んでいたら、180cm以上に大きくなれたのかもなあ」と考えたことも何回もあります。

丈夫な体になるためには“カルシウム”が欠かせない、というのが過去半世紀の常識だったように思えます。

もちろん、カルシウムが重要なのは間違いない事実です。
カルシウムの摂取が重要であることは前回と前々回にご紹介しました。

ただ牛乳である必要はありません。

 

この数十年で分かってきた事実があります。
それはミネラルの相性とバランスです。

“偏り”という言葉がありますよね。
まさしくミネラルの摂取には、バランスが大切になります。
その中でカルシウムは、マグネシウムとのバランスが重要です。
実はカルシウムを摂取する際には、マグネシウムも摂取する必要があるのです(同時に摂取する必要はありません)。

マグネシウムは、正常な心臓と筋肉の機能、神経機能、脂肪の正常な代謝に必要であることが分かってきました。
しかし、まだまだマグネシウムの存在は、カルシウムよりも軽視されているように思えます。

“硬水”の時にもご紹介しましたが、マグネシウムはカルシウムと同様に、身体に必須なミネラルであることが実証されています。
以前はカルシウム”2”に対して、マグネシウム”1”のバランスと言われて来ましたが、今では”1対1”のバランスを提唱する人たちが増えています。

 

じつは危ない食べもの ~健康志向・安全志向の落とし穴~ (ワニブックスPLUS新書)マグネシウムは魚介類、大麦、ホウレン草などに多く含まれます。

マグネシウムはカルシウムと互いに協力し合い、また拮抗して働くことで、身体の機能を維持したり、調整することが分かってきました。
この2つのミネラルは、神経や筋肉に影響を与えています。

特に筋肉の収縮は筋内細胞の中にカルシウムが入り込むことで生じますが、マグネシウムは、その筋内細胞に入り込むカルシウムの量を調整しています。
この調整を行うマグネシウムが不足すると、筋肉の収縮がうまく行われずに、痙攣や震えの原因となることも判明しています。

またマグネシウムは、乳酸が溜まった状態での“こむら返り”の緩和などの効用があることは以前から報告されています。
糖尿病や、うつ病との関連性も多く報告されていますし、体内で起こる炎症反応もマグネシウムの摂取量で軽減すると言われています。
また、不整脈や高血圧、PMS(月経前症候群)、妊娠中毒症を減少させることも認められており、慢性疲労症候群や喘息にも効果があるとして処方されています。

成長期に必要とされるカルシウムは、12~14歳男性は1日に900mg、30~40歳では600mgですが、マグネシウムは成長期に240mgが必要とされます。
30~50歳では320mgが必要であると言われています。

ドクターズ540-3体重が70kgの人の体には約35gのマグネシウムが含まれます。
その内60~70%は骨組織に含まれ、残りの30%は血漿、赤血球、筋肉内にあります。
そして血清中のマグネシウムの約20%はタンパク質であるアルブミンと結合して存在しているのです。

アルブミンはリンパ液に多く含まれる少し分子量の大きいタンパク質です。
それは体内に含まれる毒素や老廃物を排除する重要な物質であり、浮腫である“ムクミ”や“セルライト”と深く関するリンパ循環や血液循環(特に静脈)との関係があると指摘されています。

何!ムッムッムッ!、と考えてしまいます。

栄養と日常生活#038:カルシウム

今までご紹介してきたビタミンの他にも、身体に作用する気になるビタミンがまだ沢山あるのですが、色々と紹介して行くとキリがないと考え、またの機会にご紹介することで涙を呑む決心をしました。

ここ(ドクターズサジェスチョン)は栄養学の基礎を主な目的に置いていますので、個人的に興味がある部分は、なるべく控えなければと考えたのです(とは言え、今回で38回目になってしまいましたが・・)。

 

今回からミネラルの話しに入ります。

ミネラルとは“元素”のことです。
昔は元素こそが我々が住む世界の最も小さな物質であると考えられていましたが、今では原子が見つかり、更にクウォークの世界にまでに突入しています。
また元素の数も自分が大学で無機化学を学んでいた頃(80年代)の元素表には7~80個だったと覚えているのですが、今では118個にまで増えています。
この急速な変化にいつまでついて行けるのかドキドキです。

最新ミネラル読本もちろん、これから118個の元素をご紹介するのではなく、身体に必要とされることが、ある程度まで証明されているミネラル(必須元素)に限定してご紹介したいと思います。

 

まずはカルシウムから始めます。

カルシウムは自分たちの生活で聞き慣れている身近なミネラルだと思います。
実はカルシウムと密接な関係を持つマグネシウムと一緒にご紹介しようかと考えていたのですが、ごちゃ混ぜになると思い、カルシウムを先にご紹介してから、次回マグネシウムの時に、お互いの相互関係を説明することにします。

カルシウムは、土類金属の一種で、人を含む動物や植物に必要となる必須ミネラルです。
セメントの材料となるカルシウムは、9000年前からイスラエルで使われていたことが知られています。
今では精糖を始め、食品添加物、乾燥剤、発熱剤などなど私達の生活に欠かせない物質として活躍しています。

人体にとってのカルシウムは、構成成分として成人男性には、約1kg含まれ、主に骨や歯や筋肉などに広く分配されています。
骨(99%)以外のカルシウムイオンは、筋収縮、神経インパルス、ホルモン調節、血液凝固などの多くの代謝機能に重要な働きを持ちます。

色々な働きを持つカルシウムですが、今回は骨粗鬆症などのカルシウム不足についてご紹介します。

男女を問わず、カルシウムの吸収度は、加齢に伴って減少しますが、特に女性は男性よりも吸収度が低下する傾向があります。
以前は閉経後に吸収度が低下して、骨粗鬆症になりやすいと言われていましたが、今では閉経する10年以上前から、吸収度が減少することが判明してます。
そこでカルシウムに関連する因子を探ってみると、砂糖、カフェイン、肉、タンパク質、リン含有炭酸飲料の取り過ぎが、カルシウムの吸収度を低下させるか、または排出を増大させることが分かりました。

なぜ以前にもご紹介しましたが、牛乳に含まれるカルシウムは、牛乳に含まれるカゼインと呼ばれるタンパク質が胃や腸の粘膜に膜を張り詰めて、カルシウムの吸収を妨げてしまいます。

数多くの研究データが発表されていますが、それぞれ幅が広く、吸収率が0%と報告されている研究もありますが、多くて40~50%、平均すると20%前後のようです。

では小魚を食べるのはと考えてみましたが、干物の小魚は塩分が多いため、やはりカルシウムの吸収を妨げてしまうそうです。残念です。

 

当オフィスでは、カルシウムが減少していたり、閉経前の女性には、日中に硬水を飲むように勧めています。
自分にカルシウムが不足しているか、していないかを知る上でも、簡単な方法があります。
まず少し濃度の高い硬水を購入してください。
1リットルに200mg/dl以上のカルシウムとマグネシウムが含まれた水を硬水と呼びます。
反対に200mg/dl以下ですと、軟水と呼ばれます。
日本の水は殆どが軟水ですが、温泉が湧き出る場所で硬水が出る場所があるようです。

その硬水を飲んでみて、「マズイ!こんなの飲めるかよ!」と感じた方、おめでとうございます。
あなたの身体には充分なカルシウムが蓄積されています。
反対に「別に、普通のただの水じゃん」と感じた方、おそらくあなたの身体はカルシウムが不足しています。
まずいなあと思えるまで、カルシウムを多く含む食べ物や、日中に硬水のお水を飲む習慣を作ってください。
水に溶けたカルシウムは、100%吸収されます。

これは以前に九州に住む友人に1600mg/dlも含むミネラル水を送って頂き、まず試しに自分が飲んでみると、「オエッ」となり、半分に薄めて飲んでも、まずくて飲めませんでした。
そこで当時の勉強会に参加していた先生方全員に飲んで頂くと、2~3名の先生は「普通の水と変わらない」とおっしゃるのです。
驚きました。
そして先生方の共通点は“独り暮らし”であることも判明したのです。
独り暮らしでは、栄養が偏っていることは明白です(もちろん誰もがではありませんが)。

この方法は、元々亜鉛の含有量を調べる時に使う検査方法を利用しています。
特に男性に必要な亜鉛が体内に充分に蓄積されているかを調べる方法として、亜鉛の錠剤を口の中で砕いてもらいます。
足りている人は「オエッ」となり、不足している人は味がしません。
この方法を利用しています。

何を食べるべきか現在、1日に必要なカルシウムは700mg(骨粗鬆症予防では800mg)を勧めています。
一般で売られているエビアンなどは200mg/dl程度です。
ですので、あくまで目安として硬水をお飲みください。
まずいなあと思えるときは、体内のカルシウム量が足りていること示します。

食べ物としては、小魚、魚介類、豆類、野菜(特に大根やカブの葉)、海藻類、穀物にも含まれているそうです。

 

1週間に数回は硬水を飲んで、体内のカルシウム値が足りているかチェックしてみてください。
最近イライラしているなあと思ったら、是非、硬水を飲んで試してみるのも良いと思います。

奄美世のごはん#030:貧血その4

ミネラルのひとつ亜鉛は、細胞が分裂して増える際の、重要な働きを担っています。

成長や修復、新陳代謝のために、細胞が分裂して増える時、細胞の核の中の遺伝子も分裂して写し取られ、新しい細胞の数だけ増えます。
この時、十分な亜鉛がないと、遺伝子の分裂と再生が正常に行われません。
細胞分裂の速度が遅くなったり、細胞が正常ではない遺伝子を持つことになります。
遺伝子に異常があるとその細胞は自滅してしまいます。
異常な遺伝情報が他へ広がらないように、自己防衛する機能が備わっているからです。

クルミはよく噛んで(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.com生殖子(卵子や精子)の分裂の時にも、亜鉛が無くてはなりません。
特に細胞分裂が盛んな男性の生殖器には、高濃度の亜鉛が存在します。
生殖子の分裂の時に、遺伝子の転写が正確に行われなければ、受精の確率は激減し、受精してもその後の分裂に支障がでる可能性が高くなります。

細胞の再生が遅れたり、せっかく誕生した細胞が自滅してしまうと、その組織に必要な細胞が足りなくなります。
ですので、細胞の入れ代わりが速い部分は、亜鉛不足の影響がすぐに表れます。

するめとリース(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.comよく知られているのが味を感じる味覚細胞です。
インスタント食品やファストフードに偏った食生活をしていると、亜鉛を含むミネラルの不足から味覚障害が起こって、さらに濃い味付けをしている加工食品の嗜好へと、悪循環に入り込んでしまいます。

毎日伸びる爪や髪の毛の状態も、亜鉛の不足を反映します。
亜鉛はコラーゲンの生成にも必要なので、肌の調子にも影響します。
抜け毛や爪の曲がり、また傷や肌荒れの治りが遅れたりします。

口の中や胃腸の粘膜の上皮細胞も、1週間ほどで入れ代わります。
ブロッコリーのツリー(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.com鉛の不足があると、消化器の表面の再生がスムーズに行われず、消化吸収に問題が起こります。
食べたものをしっかり消化吸収できなくなります。
せっかく鉄分の豊富な食事を摂っていても無駄になってしまいます。

また、消化器の潰瘍や炎症がいつまでも修復されないと、長期間にわたって出血が続くかもしれません。
どちらも貧血を悪化させる原因となります。

ミネラルは、とても複雑な関係を持って、私たちの身体を維持しています。
お刺身(奄美世のごはん by 古田朋子)|DoctorsSuggestion.com鉄と亜鉛と銅も、相乗作用と相殺作用を持っています。
亜鉛だけをサプリメントで補充し続けると、銅の吸収が抑えられてしまいます。
銅は鉄とともに赤血球の形成に働くので、鉄の代謝を邪魔して貧血の原因になる可能性があります。
バランスよく摂取することが大切なのです。

細胞の入れ代わりが速い組織は、バランスを整えておくと、治癒のスピードも速いのです。
いつものお弁当箱のバランスです。

 

お酒の席が増えるこの時期、おつまみには、
良質のたんぱく質と、ビタミン・ミネラルと、必須脂肪酸

するめ 赤身の魚 野菜もしっかり
くるみ ごま チアの種

楽しく送り
楽しく迎える

どうぞよい一年を

チアの花|DoctorsSuggestion.com