栄養と日常生活#033(仲井DC)

自分がビタミンCの重要性を確信したのは、十数年前だったと思います。
たしか栄養学を本格的に勉強し始めた頃で、体内で発生する“酸化物質”が多くの疾患の原因であると報告され、栄養学界隈では“抗酸化剤”が大きな話題になりました。
その抗酸化剤となる代表的な栄養素の一つがビタミンCでした。

以前ご紹介したように、自分が栄養学の勉強を始めたのは、ジョナサン・ライト博士が著した「新・栄養療法」が最初でした。
次に挑戦したのはライト博士の本を翻訳した丸元康夫さんの父親であり、日本の栄養学のパイオニアの一人でおられる丸元淑生 先生の「図解 豊かさの栄養学」でした。

33-1両書共にビタミンCの重要性を数多く紹介してあったのです。

まずビタミンCを体内で産生出来ない動物は、ヒトと一部のサルとモルモットだけであること(他の動物は肝臓でビタミンCを産生します)。
そして動物がストレスに対応するためには、副腎で作られるホルモンが必須であり、その産生の為にはビタミンCが不可欠であること。
お酒を飲むと体内のビタミンCの排出が増えてしまうこと。
タバコを吸うと、これも体内のビタミンCが失われてしてしまう(1本吸う毎に0.25mgが消失)こと等々です。

33-2そしてライナス・ポーリング博士の存在も大きかったと思います。

ポーリング博士は1970年代にビタミンCの重要性を説いた科学者で、二度に渡る化学賞と平和賞のノーベル賞受賞者としても有名です。

ポーリング博士は1970年に「ビタミンCとカゼ」という本を出版し、さらば風邪薬!(ポーリング博士)世界中でベストセラーになりました(邦訳は講談社から「さらば風邪薬」として1971年に刊行されたそうです)。

勢い付いたポーリング博士は、1979年にスコットランドのエワン・キャメロン博士との共著で「ガンとビタミンC」を刊行しています。
しかし、医師ではなかったポーリング博士(化学者)は医学界にとっては受け入れがたい存在だったようで、名実共に世界的な医療機関であるメイヨ-・クリニックで追跡調査が成され(経口投与だけで静脈点滴はしなかった)、ガンに対するビタミンCの効果は全く証明されなかったと発表されてしまい、世界中が興醒めしてしまったのです。
自分も確か中学生の頃に、カゼにビタミンCが効くと聞いたことを覚えています。
ビタミンCは薬ではありませんから、製薬会社にとっても邪魔な存在だったのかも知れません。

33-3しかしポーリング博士は、自分自身で1日に大量のビタミンCを摂取し続け、92歳まで人生を全うして他界しています。
ポーリング博士のことは、「ビタミンCがガン細胞を殺す」柳澤 厚生 著(角川SSC新書)に詳しく紹介されていますので、是非ご参考にして下さい。

そしてポーリング博士の意志を継いだ科学者達が研究を続け、今では大量なビタミンCの摂取によるガンへの治療効果が証明され、今アメリカでは、1万人以上の医師がガン患者にビタミンCを投与しているそうです。
日本でもアメリカに“右に習え”で、ビタミンC療法を用いる医師が増えています。

実際にもうすぐ5年になりますが、当オフィスに腰痛でメンテナンスでいらしていた女性が、乳癌と診断を受けました。
胸のシコリは10年以上前からあったのですが、検査を受けてもらった時は陰性という診断でした。
しかし5年前に再検査を受けた際に、乳癌だと診断を受け、直ぐに手術を受けるように医師に勧められていると教えてくれました。
それを聞いて驚いた自分は、動揺を隠して何とか冷静を装い、「少なくても幾つかの医療機関でセカンド・オピニオンを聞くべきだと思います」と伝えました。
その意見に同意した彼女は、乳癌の治療で有名な合計4名の乳癌専医の意見を聞いて回ったそうです。
すると4人共に治療方針が異なり、どの医師を信用して良いのか分からないと言います。

タイミングよく、その頃の自分は何冊かのガンに対する本や、ガンに対する大量のビタミンC摂取治療の本を読んでいたので、「こんな本もあるから参考に読んでみたらみたらどうですか」と数冊の本をお貸ししました。
彼女は熱心に本を読み、「超高濃度のビタミンC点滴療法を試してみたいと思います」と決心しました。
しかし当時は、ビタミンCだけの単発で治療を受け入れてくれる医師は多くはありませんでした。多くの医師は、ガンに対する三大治療(抗癌剤、手術、放射線)に併行した形で、ビタミンC療法を取り入れていました。(現時点でもそうかも知れません)

imageしかし「超高濃度ビタミンC点滴療法」(PHP)を著した水上 治 先生のクリニックが、ビタミンC単独の療法を受け入れてくれました。
自分は水上先生が、以前働いていた病院で栄養学を取り入れた治療をしていたことを知っていたので、きっと聞き入れてくれると思ったのです。

治療を始めた最初の3ケ月は大きな変化がありませんでしたが、6ケ月目頃から縮小が認められ、今では半減した状態を維持しています。転移も認められないので、今では自分は彼女のガンは、“ガンもどき”状態になっていると考えています。
完治することを願っていますが、診断を受けてから5年経ちますので、余り焦らずに温かく見守って行こうと考えています。

まだまだビタミンCの威力を完全に受け入れているわけではありませんが、抗酸化剤としての威力は認めても良いと考えています。
彼女に聞いて驚いたのは、大量のビタミンCの静脈点滴を受けていると、途中で喉が渇き、大量の水分を補給する必要があるそうです。
今までは、喉が渇いたらビタミンC入りのスポーツドリンクを飲むというイメージがあったので、反対にビタミンCの点滴を受けると、喉が渇くとは想定外でした。驚きの情報でした。

これからも新たな情報が発表されることでしょう。
聞き耳を立て、しっかりと受け止めたいと思います。

次回は今までに判明しているビタミンCについてご紹介して行きます。

栄養と日常生活#013(仲井DC)

栄養療法に目覚めて15年以上経ちますが、振り返ってみると、随分と頑張ってきたなあと思います。

それ以前の自分の栄養学は、対症療法としての栄養学でした。
細かい理由も分からず、例えば風邪を引いたらビタミンC、口内炎が出来たらビタミンB群、胆嚢の機能低下があればビタミンFといった感じでした。

でもその頃、「なぜ同じ治療を施しているのに、直ぐに反応してくれる患者さんもいるのに、中々反応してくれない患者さんもいるのだろう?」というシンプルな疑問に悩んでいました。
本当に辛い日々だったのです。
もちろん今でも全て解決した訳でなく、毎日のように悩んでいますすが、以前程ではなくなり、栄養療法で症状が改善する患者さんも増え、治癒率は随分と高くなったと感じています。

ジョナサン ライト2栄養療法に深く関わるきっかけを与えてくれたのは、帰国したカイロプラクティック大学の後輩が、お土産としてくれたジョナサン・ライト博士の“Dr.Wright’s Book of Nutritional Therapy”という本でした。
その頃の自分は国際アプライド・キネシオロジー協会(以後AKに省略)の会員で、栄養学は全てAKの情報に基づいて使っていました。
そのAKが栄養学の基本としていたのが、ジョナサン・ライト博士の考え方だったのです。
しかし「もう英語はうんざり・・」状態(しかも分厚い本)だったので、中々手をつけずに暫く本棚に眠っていました。

ジョナサン ライト1よく思い出せないのですが、ある時、誰かに「ジョナサン・ライト博士の本は翻訳されてますよ」と聞いたのです。「エッ本当!?」って感じで、その日の仕事の帰りに紀伊国屋本店に出向き、迷わず注文しました。
数日後に「届きました」と連絡を受け、ワクワクしながら受け取りに行ったのを覚えてます。

本は現在、廃本扱いになっていますが、「ジョナサン・ライト博士の新・栄養療法」(廣剤堂出版)はまだ在庫があると思いますので、購入を希望する方はドクターズ サジェスチョンの担当者にお尋ね下さい

そして翻訳した丸元康夫さんのお父さんである丸元淑生さんは、日本の栄養学のパイオニアの一人であることも判明しました。
そして「豊かさの栄養学」(新潮丸元淑生3文庫)に出会ったのです(こちらも廃本になっています)。
それ以来、色々な素晴らしい出会いも重なり、数百冊にも及ぶ栄養学の本との格闘が始まったのです。

90年代の栄養学は「脂肪学」と言っても過言ではありませんでした。
それまで悪役だった“脂肪”が見直されていました。
自分も日本に帰国する当時(90年代)は、AKではフラックス シード オイル(亜麻仁油)に注目していました。

今では大きなスーパーでも購入できるまでに至った亜麻仁油(アマニ油)ですが、帰国当時は全く知られず、知っている人がいても「あの火傷の時に貼る油紙の成分でしょう?」程度でした。

最近では、白身魚の眼の周りに多く含まれるDHA(ドコサへキソエン酸)や、EPA(エイコサペンタエン酸)のサプリメントも目立つようになりました。
DHAもEPAも脂肪です。
一般には魚油とも呼ばれます。
やっと脂肪も栄養素として受け入れられるようになりましたが、まだまだ情報が乏しいような気がしますし、正しく理解されていないとも感じます。
またオリーブ油がどうして身体に良いのかが判明したのも、この10年程度です。
まだまだ正しい知識が広がっていないと思います。

 

そこで今回は、まず脂肪についての簡単なネタばらしから始めます。

皆さんはどうしてブタや牛、または鶏の油は体に害を与え、DHAやEPA の油は体に良いと思いますか?
実は簡単な理由です。

それはブタや牛、そして鶏の体温と、魚の体温の違いなのです。

ブタや牛、または鶏の体温は38度以上です。
そして魚の体温は20度前後です。
もうお分かりですね。
つまりブタや牛の脂身は、人間(人は36.5度前後)の体内に入ると、当然ながらブタさん達よりも低い体温なので、油から脂肪の塊に変わってしまうのです。
それが血液をドロドロにしたりする大きな原因です。

ところが魚の体温は人間の体温よりも低いので、体内に入っても決して塊にならず、常に血液サラサラの状態を維持してくれるのです。

次におぼえて欲しいのは、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いです。
細かいことまで知る必要はないので、簡単に説明します。

★飽和脂肪酸は腐りにくい油!
★不飽和脂肪酸は腐りやすい油!

とおぼえて下さい。
このように説明すると、腐りにくい飽和脂肪酸の方が体に優しいような印象を受けますが、実は反対で、自分達の体は不飽和脂肪酸を必要としています。
また不飽和脂肪酸は必須脂肪酸とも呼ばれます。
必須と名前が付くのは、体が必要とするという意味です。
反対に飽和脂肪酸は必須ではありませんので、必ず摂る必要はない油ということになります。

もちろんDHAやEPA、前述したオリーブ油やアマニ油は全て必須脂肪酸を含みます。
つまり自分達の体に必要な油ということになります。
詳しい話は次回に譲りますが、今回おぼえて欲しいのは、自分達が栄養源として必要としている油は、飽和脂肪酸ではなく、不飽和脂肪酸と呼ばれている油です。

飽和脂肪酸は一般に使われているサラダ油や、多く市販されているドレッシングに使われている殆どの油に含まれています。
もちろんバターやマーガリンも飽和脂肪酸です。

つまり一般に使用されている油の殆どは飽和脂肪酸で、自分達の体には余り必要ない油だということをおぼえて欲しいのです。

では次回から少しずつ詳しく説明して行きます。