栄養と日常生活#055:“脂肪”再考

先月はお休みを頂いてしまいました。申し訳ありませんでした。

今回は、90年代頃から以前は “悪者” と思われていた考え方や、摂られ方が大きく変わった “脂肪” について再考してみたいと思います。

まずは日本ではシンプルに脂肪は;

  • 固まっていない状態を “油(OIL:オイル)” と呼びます。
  • 反対に体内で固まった状態を “脂肪(FAT:ファット)” と呼びます。
どうやら私たちの体とって重要なのは “油” であって、“脂肪” ではないと考えても良さそうです。
私たち人間の体温は36.5度前後です。
一方、豚や牛の体温は38度前後ですし、鶏の体温は40度以上ですから、私たちの体内に入った “油” は固まって “脂肪” になってしまいます。
しかし魚の体温は20度前後ですから、魚に含まれる “油” は、私たちの体内に入っても “油” のままの状態を維持します。
つまり体内で固まって “血液ドロドロ” にならず、“血液サラサラ” でいることになります。

 

次に大切なことは;
  • 私たちの体内で作ることができ、または簡単に得ることができる “脂肪酸” を “飽和脂肪酸” と呼びます。
  • 一方で、私たちの体内で製造できない、体に必要となる “脂肪酸” を “不飽和脂肪酸” または “必須脂肪酸” と呼びます。
つまり私たちが必要とする “脂肪” は、“不飽和脂肪酸” であり、またの名が “必須脂肪酸” であることが分かります。

90年代、自分がアメリカに滞在していたころは、”フラックス・シード・オイル” が注目を集めていました。
日本名で “亜麻仁油(あまにゆ)” です。
93年に帰国した頃の自分は “亜麻仁油!” “亜麻仁油じゃあ!” と大きな声を出して騒いでいました。
しかし、当時の日本は “亜麻仁油?って何?” という状態でした。

 

それでも90年代半ば頃から日本でも “必須脂肪酸” の重要性を唱える人たちが増えてきました;
  • “オメガ3(リノレン酸)”、“オメガ6(リノール酸)” の登場です。
当時はオリーブ油に含まれる “オメガ9(オレイン酸)” も注目を集めましたが、その効用が発見されたのは、2000年代に入ってからだと思います(今ではオレイン酸は、悪玉コレステロールとして有名なLDLに含まれる脂肪酸と入れ代ることで、LDLが直ぐに壊れて酸化してしまうことを防ぐことが解明されています)。
また90年代までは “オメガ6” は “必須脂肪酸” として注目されていたと記憶しています。

2000年当初は、“酸化物質” が注目され、“抗酸化剤” が注目を集めました。

体に悪い影響を与える “酸化物質” が敵対され、“抗酸化剤” であるベータ・カロチン、ビタミンC、Eなどが注目されたように覚えています。

次第にオメガ6であるリノール酸は、体内で炎症を増やしてしまうプロスタグランジンIIの基であるアラキドン酸(肉類に多く含まれる脂肪酸)に転換されるとして、何時の間にか世間からは “リノール・オイル” は消えて行きました。

昔からスポーツ・トレーナーの人たちが、「炎症があるときは魚を食べ、牛、豚、鶏類は炎症を悪化させるから食べるな!」と指導していたのを思い出します。
先人たちは体験や経験上から、この事実を知っていたのでしょう。頭が下がります。

 

今では亜麻仁油、しそ油、チアシード、青魚(EPA、DHA)に含まれるオメガ3と、LDLの酸化を防ぐオリーブ油が主流になっていると思えます。

でもオメガ3の効用は、意外に知られていないような気がします。
そこで今回は、オメガ3が私たちの体に与える代表的な効果をご紹介します;
  • 第一に、体内のオメガ3の不足が、多くの子どもたちにハイパーアクティビティー障害(ADHD)をもたらすことが判明しています。
  • 次に、心律異常(不整脈)や心臓病の危険性を抱えている人は、EPAやDHAのオメガ3のサプリメントを摂取することで、かなりの確率で疾患を防ぐことが認められています。
  • またオメガ3は、高すぎる血中中性脂肪値を、他のどの薬よりも下げることが証明されています。
  • オメガ3は、慢性関節リウマチの症状を緩和させる、最も優れた自然療法であることも判明しているのです。
  • また多くの若い女性を苦しめているクローン病(腸壁の全層が炎症で侵される原因不明の疾患)や、潰瘍性の大腸炎を含む炎症性の大腸への疾患も、EPAやDHAのサプリメントで大きく改善できることが発表されています。
ではどの位の量を摂取していれば良いのでしょう?
多くの研究者は、一日に300~600ミリグラムを摂っていれば、大多数の人は心筋梗塞を含む、多くの疾患を予防できると言っています。

チアシード(DoctorsSuggestion.com)巷では大量のオメガ3が含まれる “チアシード” が大人気です。

“健康”を維持したり、チアシードに含まれる大量の食物繊維でダイエット効果を期待している女性も多いと思いますが、それだけでなく、オメガ3は私たちの健康に大いに影響を与えてくれているのです。

奄美世のごはん#053:基本の11(油その3)

師走です。
松迎えの日もすっかり忘れて走り回っているうちに、あちらこちらから鈴の音が聞こえ始めました。

前回までの脂質のはなしを少しだけおさらいしましょう。

*必ず食べものから摂り入れなければならない必須脂肪酸は、α-リノレン酸とリノール酸。

*炭素の二重結合が無い脂肪酸が飽和脂肪酸、有るのが不飽和脂肪酸。

*飽和脂肪酸の摂取量とインスリン抵抗性(インスリンの働きを抑える状態)は正の関連をもつ。

 

天使1今回は、不飽和脂肪酸をさらに細かく分類していきます。

不飽和脂肪酸は分子構造に炭素の二重結合を持ちます。
この二重結合が1ヶ所だけの脂肪酸を一価不飽和脂肪酸といいます。
二重結合が2つ以上ある脂肪酸を多価不飽和脂肪酸といいます。

炭素の二重結合は、柔軟性に富む代わりに不安定になっているので、とても酸化しやすい部位です。
ですから、複数の炭素の二重結合を持つ脂肪酸を多く含む油は、酸化しやすい油というわけです。

必須脂肪酸のα-リノレン酸とリノール酸は、この不飽和脂肪酸の仲間で、多価不飽和脂肪酸に分類されます。
多価不飽和脂肪酸は複数の炭素の二重結合を持ちますから、どちらも酸化しやすい脂肪酸です。

多価不飽和脂肪酸をさらに二重結合の位置で分類したものが、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸です。
必須脂肪酸はそれぞれ、α-リノレン酸がオメガ3系脂肪酸に、リノール酸がオメガ6系脂肪酸に含まれます。

天使2オメガ6系の脂肪酸は、一般に過剰に摂取されている傾向があります(奄美世のごはん#051:基本の9(油))。

反対にオメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸やDHA・EPAは、摂取量は多くありません。
この脂肪酸は欠乏すると皮膚炎などを発症するので、含有量の多い食品を気をつけて摂取することが大事です。

オメガ3系脂肪酸を多く含む油には、亜麻仁油、えごま油、しそ油などがあります。これらの抽出した油はとても酸化しやすいので、カロチン(ビタミンA)やビタミンEなど、抗酸化作用をもつ油溶性のビタミンを含む食べものや、サプリメントを一緒に摂るようにしましょう。また、加熱調理による酸化はなるべく避けたいものです。

植物性の食品では、小松菜、ほうれん草、大根の葉、春菊などの葉野菜や、チアの種などにオメガ3系の脂肪酸が豊天使3富に含まれています。

動物性の脂肪にも微量ですが含まれています。
動物の身体に含まれるα-リノレン酸は、植物の葉に由来します。
牧草で育てられた牛や羊の肉は、穀物飼料で育てられた家畜の肉に比べると、リノール酸に対するα-リノレン酸の含有量が多い傾向にあるのです。

また、オメガ3系脂肪酸の仲間で、広義に必須脂肪酸とされるDHAやEPAは、魚介類に多く含まれます。
鯵や鰯、秋刀魚、鯖、鰤は豊富なDHA・EPAに加えてα-リノレン酸も含みます。

DHAは、お腹の中の赤ちゃんや乳幼児の脳・神経の成長と成熟にとても重要な栄養素です。
とくに妊娠中や授乳中は、気をつけて摂取して欲しいのですが、魚介類が主な摂取源となりますから、海中の汚染物質の蓄積が心配です。
種類の偏りがないよう、旬の魚介を選び、DHA・EPAを摂るようにこころがけてください。

 

ご馳走の季節がやってきます。

はれの日に食べるもの
からだが喜ぶ食べもの
こころが喜ぶ食べもの
みんなが喜ぶ食べもの

クリスマス飾り