栄養と日常生活#060:少し怖い話し(2)

何と今回で第60回を迎えました。
ということは飽きることなく、毎月5年間も“栄養学”についてウンチクを述べてきたことになります。

今までお付き合いして頂いた皆様に、本当に感謝、感謝です。
ほんの少しでも、ちょっとでも皆様の健康に貢献できたら良いなと、心の底から願っています。

しかし、この間でも“栄養学”は大きく変化して来たような気がします。

まずは自分が日本に帰国して20年以上になりましたが、帰国当時のアメリカは、オメガ3やオメガ6の話題で湧いていました。
自分も帰国当時は、「オメガ3ジャーイ!、亜麻仁油ダァ!」と騒ぎ立てましたが、当時は誰も聞いてくれない時代でした。

しかし、やっと大手のスーパーが、亜麻仁油を取り揃えてくれるようになりました。
必須脂肪酸の必要性が、少しずつですが、やっと浸透してきたような気がします。

当オフィスでも、以前は必須脂肪酸を豊富に含む“アマニ・ロースト”を提供して来ましたが、遺伝子組み換え検査の問題から、アマニ・ローストの輸入が取り止めになり、もうどうにでもなれ!と開き直っていた時に出会ったのが“チアシード”でした。
亜麻仁よりもオメガ3の含有量に優れ、食物繊維を多く含み、ミネラルも豊富で、しかも酸化し難いと知り、驚愕したことを思い出します。

チアシード”は、アメリカに滞在中からも探し求めていた素材でした。
名前が分からずに、地団駄を踏みながら帰国したことを思い出します。

日本ではチアシードは、数年前まで“ダイエット食”として販売されてましたが、今ではオメガ3豊富な健康食として受け入れられ、多くの人に知られるようになりました。
嬉しい限りです。

また20年以上前までは、“肥満”の原因となるのは“脂肪”と信じられて来ました。
「砂糖が問題ではなく、一緒に含まれる脂肪が肥満体を招く」と言われて来ました。
また多くの栄養学者は、カロリー制限や、脂肪制限食を提唱していましたが、今では“必須脂肪酸”の必要性が受け入れられ、少なくても体に必要な脂肪もあると受け入れられるまでになりました。

また少しずつですが、トランス脂肪やショートニング等による体への悪影響に対しても、多くの人が理解するようになり、時代の嬉しい変化を感じています。

 

そこで前回に引き続き、今回もちょっと怖い話しに戻ります。

山田悟1ナント!なぜか最近は脂肪ではなく、“砂糖”が悪者になりつつあるのです。

最初の頃にご紹介した“砂糖”は、“炭水化物”として、体の“エネルギー”だとして説明してきました。
確かに体のエネルギー源となれるのは、炭水化物、タンパク質、脂肪の3つです。
だから栄養三要素と呼ばれて来ました。

そして、その中でも炭水化物が最も簡単に、また素早くエネルギーに転換されるという点から、最小必要源の炭水化物が体に必要だと提唱して来ました。

それが今、炭水化物というもの自体の見直しが問われるようになってきているのです。

 

まず炭水化物は大きく、“糖質”と“食物繊維”に分類されます。
これは以前にご紹介した通りです。

私たち人間の体は、糖分を吸収・消化できますが、食物繊維は吸収出来ません。
それは人間の体は他の草食動物とは異なり、食物繊維を消化する“消化酵素”が存在しないからです。

しかし私たちの体に食物繊維が与えてくれる恩惠は数多くあり、必要では無くなったコレステロールの排泄や、満腹感への効率促進の補助、腸の掃除、腸に生存する善玉菌への栄養素(水溶性の食物繊維)、排便効率の援助など、多くの役割を果たしてくれています。

ですから栄養学者の中には、糖質と食物繊維を炭水化物と区別している人もいます。
中には食物繊維を必要栄養素の一つとして捉え、七大栄養素(炭水化物(糖質)、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、水分、食物繊維)と提唱している人たちもいます。

それが今では、“糖質”を悪者扱いしている人たちが増えて来たのです。

それは今の日本で問題となっている“糖尿病”の増加です。
今では日本には“隠れ糖尿病”を入れると、1,200万人以上の糖尿病患者がいると想定されています。
実に日本人の10人に1人が、糖尿病を患っていることになります。

しかしこれは自分は、過大評価だと考えています。
空腹時の血糖値やヘモグロビンA1cの標準値を下げている傾向があります。
これはコレステロール値や、血圧も同じです。
誰が考えたのか知りませんが、今では“日本1億人総疾患”を目指しているような気配もします。
日本人誰もを何らかの形で病気にしたいと目論んでいるようにも思えます。

宗田哲夫1昨今は“糖質制限”を提唱する人が増えています。
中には前回ご紹介した「ケトン体」が人類を救うと訴える人も出てきました。
肝臓で“脂質”から“ケトン体”を作り出し、クエン酸サイクルからエネルギーを作り出せば、糖質はいらないという主張です。
しかも脂肪酸の状態では血液脳関門は通り抜けれませんが、“ケトン体”になれば血液脳関門は通り抜けられ、脳の栄養素にもなると主張しています。

確かにアジア人は、他の人たちよりもインスリンの分泌量が少ないことは判明しています。
また縄文時代の日本人が、魚や獣を食してきたことも証明されています。
しかし、一概に糖質を一切避け、肉食だけにするのも疑問が残ります。

質の良い必須脂肪酸の摂取は受け入れられますが、どんな脂肪でも良いとまでは考え難いのです。

 

また次回に続きます。