奄美世のごはん#057:基本の15(酵素の働き)

セサミの周りは緑が多く、お使いに行く時は木の葉の下を通りぬけて行きます。
わざわざ遠回りをして、ハーブの植え込みを歩きます。

小満のころは桑の葉も大きく広がって、蚕の食欲を満たし、たらふく食べた蚕は繭をまといます。
この繭からいただく絹の糸は、蚕が桑の葉を食べて創り出すたんぱく質の糸です。

私たちは、吸収したりリサイクルしたアミノ酸プールのアミノ酸を使って、たんぱく質を作ります。
たんぱく質はアミノ酸が一本の鎖のようにつながって、さらに折りたたまれて立体となります。
どの種類のアミノ酸が、どういう順番で、いくつつながるかで、たんぱく質の性質が決まります。

どこでどんなたんぱく質を作るかは、おのおのの細胞の核に在る、遺伝子情報にコントロールされていて、遺伝子の設計図をきちんと転写複製して、必要なたんぱく質を作るのです。

私たちの身体の中にどのくらいの種類のたんぱく質が存在するのかは、まだまだわかっていません。
少なくとも10万種類以上はあると考えられています。
中でもっとも名の通ったたんぱく質といえば、酵素とコラーゲンでしょう。

 

3酵素は大きく2つに分類されます。

身体の外(口腔や消化管の中)に分泌されるのが消化酵素です。
私たちが食べた物を分解して、吸収しやすくする働きを担います。

もう一つは身体の中、細胞内部やその周囲で働く酵素です。
一般に代謝酵素と呼ばれるものですね。
身体の中で行われる、化学反応を促す触媒の役目をしています。

 

通常、酵素は必要な種類が必要なだけ作らます。
しかし、原料となるアミノ酸の不足や、酵素産生に必要なビタミンやミネラルの不足などがあると、必要な酵素が作られにくくなります。

また、病気やけが、激しい運動や精神的なストレスがあっても酵素の需要が増えるため、供給が追いつかなくなることもあるようです。

 

4私たちは、酵素の働きによって生きているようなものですから、必要な酵素の不足は様々な不調の原因となります。

そうなると、不足分の酵素を外から補給したくなるのが人情というもの。

でも、酵素はたんぱく質の仲間です。

前回お話ししたように、食べたり飲んだりしたたんぱく質は、唾液の中のたんぱく分解酵素、胃酸、膵臓や小腸表皮の細胞から分泌されるたんぱく分解酵素のはたらきでアミノ酸に分解されてしまいます。
酵素のまま、その働きを持ったまま、身体の中には入っていきません。

ですので、代謝酵素に関しては、外から取り入れることは叶いません。

 

 

6では、消化酵素はどうでしょう。

消化酵素は、咀嚼や、消化管の蠕動運動により食べものとよく混ざり合うことで、その作用が発揮されます。
混ざり合った食べ物を消化管で吸収できるサイズにまで細かく分解します。

食べすぎてお腹がはったり不快感があるときに、消化薬を飲むとすっきりします。
それは、消化薬に含まれる消化酵素が、胃腸で停滞していた食べ物と混ざり合って分解してくれたり、胃酸分泌を刺激して消化を助けるからです。

このように、外から補給する消化酵素は、食べものを分解吸収のために摂取するのであれば、その働きを活用することができます。

 

 

7清涼飲料水として市販されている酵素ジュース。

これは、製造過程の加熱処理で酵素活性が抑えられている可能性が高いので、酵素を摂取するということを目的に置くのではなく、嗜好品として、またはジュースの成分の補給と考えるのが妥当でしょう。

自家製の酵素ジュースだったらどうでしょう?

酵素が活性化しているのであれば、酵素がジュースの材料となる食材の分解に働きます。
ジュースに含まれる酵素により、ジュースの材料内のたんぱく質はポリペプチドやアミノ酸に、炭水化物は2糖類や単糖類に、脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されているので、食材そのままよりも楽に吸収することができます。
ジュースの酵素が働いたぶんだけ、自前の消化酵素を節約できるわけです。

しかし、ジュースの材料を分解し吸収した後に、身体の中で利用したり壊したりするための代謝酵素は外から補給できませんので、消化酵素を節約しても、吸収したジュースの成分を体内で代謝するために代謝酵素を使わなければなりません。

プラスになるのでしょうか、マイナスになるのでしょうか…。

 

やはり、酵素の摂取と思うよりは、ジュースの栄養素を摂取するため、お楽しみのため。

 

こころの栄養

身体の栄養

About 古田 朋子

1964年奄美生まれ。Holistic Nutrition(米国)学士・修士。創価大学(通信教育部)卒業。
PAAC(パシフィックアジアカイロプラクティック協会)付属ユニバーサルカイロプラクティックカレッジ卒業。
在学中よりセサミ・カイロプラクティックに勤務する。
PAAC認定・MCC(メディカルカイロプラクティックカレッジ)認定・米国SORS(Sacro Occipital Reserch Society International)認定のカイロプラクター。ハンズプラクティスカレッジ栄養学/婦人科学講師。
数多くのカイロプラクティック関連の訳本を手掛け、自らも業界専門誌「セサモイド・カイロプラクティック・ジャーナル」の編集に携わる。