栄養と日常生活#018(仲井DC)

今回から“タンパク質”のお話しをさせて頂きます。
しかし正直言って、少々重い気分でいます。
「タンパク質をどこまで説明できるだろうか?」というのが正直な今の気持ちです。
つまり、自分自身がまだタンパク質の本質をしっかりと掴めていないのです。
しかしタンパク質を避けて通るわけには行きませんから、自分自身の挑戦という意味でも、頑張ってみようと思います。

まずはタンパク質の語源からご紹介します。
古代のギリシャ人はタンパク質を「最も大切な」という意味の「プロト」と呼びました。
そしてこれが“プロテイン(タンパク質)”となったのですが、古代からタンパク質の重要性が理解されていたなんて、何とも驚くべき事です。

実はタンパク質は他の栄養素より、科学的に詳しく解明された物質だと言われています。
ある意味、その通りなのかも知れません。
何故なら、今の最先端科学は“タンパク質学”と呼んでも過言ではないからです。
DNAやRNA、遺伝子もタンパク質と密接な関係を持ちます。
遺伝子からDNAに伝えられた情報は、細胞内の核からリボソームと呼ばれる部分に伝えられ、リボソームに蓄えられた大量のアミノ酸から、体内で必要となるタンパク質が作られるのですから・・・。

タンパク質1自分は3大栄養素の炭水化物を「身体のガソリン」、脂肪を「身体のエネルギー貯蔵と免疫」と呼び、タンパク質を「生命そのもの」と呼んでいます。
理由は少しずつお分かりになると思います。

体の60%前後は水分で形成されています。
しかし20%前後はタンパク質で作られています(固体部分だけでみると75%)。

タンパク質と言われると、皆さんが最初に思い浮かべるのは“お肉”だと思います。
もちろん穀類や野菜、そして果物等にも、ある程度のタンパク質が含まれますが、確かに動物のお肉には、私たち人間の栄養素となるタンパク質が沢山詰まっています。

「タンパク質ダイエット」を聞いたことがあります。
肉類を主に摂取して、炭水化物を食べないのだそうです。
確かに痩せると思いますが、体内の水分が大量に排泄され、その他の理由からも大変危険なのでお止め下さい。
追って詳しく説明します。

ここでアミノ酸を説明をしなくてはなりません。
実は自分たちに必要なタンパク質とは、実はアミノ酸で出来ています。
ではアミノ酸とタンパク質はどう違うのでしょう。

少々難しくなりますが、アミノ酸はアミノ基(-NH2)とカルボシル基(-COOH)を備えた化合物の総称です。
アミノ酸には炭素(C)、水素(H)、酸素(O)に加え、必ず窒素(N)が含まれ、中には硫黄(S)を含むアミノ酸もあります。
そしてアミノ酸同士の結合をペプチド結合と言います。
そして2つ以上のアミノ酸が繋がった状態をペプチドと呼びますが、そのペプチド結合でアミノ酸が40個以上繋がると、始めてタンパク質と呼ばれます。
つまりタンパク質とは、アミノ酸が40個以上ネックレスのように繋がった状態だと想像して下さい。
大きなタンパク質になると、1000個以上のアミノ酸がペプチド結合によって繋がっています。

自然界には500種類ものアミノ酸が見つかっていますが、私たち人間に必要とされるアミノ酸は20種類です。
またそのうち体の中で作れないアミノ酸は8~9種類(子供と大人で多少異なります)あり、これを必須アミノ酸と呼びます。
つまり体内で再生したり産生できない、食べ物から摂取しなければならないアミノ酸が8~9種類あるということです。
これは脂肪の時にご紹介した必須脂肪酸と同じ意味を持ちます。

私たち人間は約60兆の細胞で出来ていますが、それぞれの細胞には、先程ご紹介したリボソームにアミノ酸が、それぞれ80億個ほど含まれると言われています。
1つの細胞の大きさは、おおよそ10~20ミクロン(μ)ですから1ミリの100分の1から50分の1です。
その細胞に80億個のアミノ酸が含まれるのですから、凄い量だと分かります。

そして体は食べ物として摂取したタンパク質を胃や腸から分泌する消化酵素によって、タンパク質やペプチドとしてではなく、わざわざ個々のアミノ酸にまで分解して始めて体内に吸収します。

何故タンパク質やペプチドではなく、わざわざ1個のアミノ酸まで分解して吸収するのでしょう?
それは体内でのタンパク質の働きをご紹介すれば納得が行くと思います。

体内で生産されたタンパク質(またはペプチド)は、生命活動を補う栄養素、筋肉の収縮、呼吸や代謝を補う酵素、免疫の抗体、骨や筋肉や皮膚の構造も、髪の毛や爪もタンパク質、ホルモンやヘモグロビン等々もタンパク質で作られているのです。
「生命そのもの」と呼ぶ由縁です。

タンパク質2このタンパク質は全て20種類のアミノ酸が配列を複雑に変えて作られているのです。
つまり1個1個のタンパク質は異なるアミノ酸の配列によって、ホルモンになったり、酵素になったり、筋肉になったりしているのです。
そこに人間とは異なる配列を持った動物や植物のタンパク質が侵入してしまうと大変なことになる可能性があることがお分かりになると思います。
つまり異なる情報が体内に侵入しないように、タンパク質を個々のアミノ酸まで分解する必要があるのです。故に単独のアミノ酸まで分解してから吸収しているのです。

皆さんは「狂牛病」を覚えていますか?
タンパク質3死んだウシを砕いて、生きているウシの餌料として与えた結果、海綿状(スポンジ)脳症になって死んでしまう恐ろしい病気が2000年の始めに広がり、世界中のウシが殺されました。
これは未だに解決していない事件ですが、生きたウシに死んだウシのタンパク質(プリオン)が侵入したからだと推測されています。
しかし前述したように、タンパク質そのものは吸収されません。
原因は今でも解明されていないのです。

タンパク質はいまだに解明されていない部分も沢山あります。|次回は、別の観点からタンパク質を考えてみます。




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