『奄美世のごはん#004』

新米の季節です。
玄米や胚芽米、分搗き米を始めるのに、ちょうど良い季節です。
採れたてのお米はやわらかく食べやすく、長く吸水させなくても大丈夫です。
精製度の低い穀類を主食にすると、ビタミンやミネラルだけでなく、食物繊維もしっかりと摂ることができます。

日本では、動物性の食品であるお肉や肉の加工品の摂取が増えた反面、野菜や植物性の食品の摂取が減ったため、食全体にしめる食物繊維の割り合いがとても少なくなっています。
食物繊維は、人が身体の中で消化できない成分ですので、ひと昔前は栄養素を含まない、食べ物の残りカスと考えられていました。
5大栄養素のうちの炭水化物の一部として分類されていましたが、食物繊維の様々な働きがわかってきて、たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルに続く、6つめの栄養素となりました。

奄美の海(奄美世のごはん#004-1)奄美世の奄美の島々では、主食に芋類を多く食べていたそうです。
海で採れるあおさやもずくなどの海藻、日本海を下ってくるこんぶなどもよく食卓に上ります。
海草類や芋類からたくさんの食物繊維を摂っていたことが、島の人々の健康と長寿に一役かっていたのかもしれません。

食物繊維が腸管の蠕動運動を活発にして、排泄を促すことはご存じのとおり。
これはとても大切なことです。
腸管からの排泄ができない状態は、たとえば住まいの下水管が詰まっている状態と同じです。
下水管に詰まった廃棄物からひどい悪臭や、汚水の逆流などが起こります。雑菌も繁殖するでしょう。
身体の中でも同じように、停滞した廃棄物が腐敗したり、腸内細菌のバランスが崩壊します。
身体は老廃物を廃棄しようと、休むことなく働き続け、疲れ果ててしまいます。
腸壁は接触している廃棄物を吸収することもあり、それは血流にのって全身に循環してしまいますから、身体は呼吸や皮膚など他の組織を通して排泄しようと試みます。
疲弊や故障は全身に広がってしまいます。

お米の消費が減ったこと、お米を精製して食べるようになったことも、食物繊維が不足する原因のひとつです。
急速な増加傾向にある大腸のがんと食物繊維の不足は、相関関係が確認されています。
主食の精製度を少し抑えるだけで、食物繊維の摂取を増やすことができるのです。
食物繊維が腸からの排泄をスムーズにしてくれると、トイレで力む必要もなくなりますから、大腸の憩室や静脈瘤、痔の改善と予防にもつながります。

また、大腸のがんは、動物性の脂肪の摂取と関連があるとするデータもたくさん発表されています。
伝統的な食事では、動物性の食品は食物繊維が豊富な食材と一緒に料理します。
お肉の入った煮物には、だいこん、にんじん、ごぼう、こんにゃく、さといも、しいたけ、こんぶなどが入ります。
鍋料理には、季節の新鮮な野菜がたくさん使われます。
豊富な食物繊維が動物性の食品のデメリットを抑えてくれます。

伝統食の組み合わせに外せない一品、みそ汁やお吸い物の具にも、根菜類、きのこ類、海藻類と、やはり食物繊維が豊富な食材が使われます。
みそは発酵によってビタミンが増えたり、その他の栄養素が消化しやすくなっていたりと、とてもありがたい調味料です。
このみそと、こんぶやかつお節、煮干しのだしでみそ汁を作ります。
アミノ酸のバランスも整います。
食べ盛りの子どもたちには、汁の実にお豆腐や厚揚げを。お漬け物も食物繊維がたくさんです。
シンプル、でも満たされるごはんです。

ある日の夕ご飯(奄美世のごはん#004-2)この写真はある日の夕ごはん。
玄米と胚芽米のご飯、青菜とじゃこのみそ和え、豆腐とにんじんとあおさのみそ汁、なすのぬか漬け。

 

 

 

 

でも、あまり禁欲的にならないように。
本来、食べるということは楽しいものです。
食べものがあるということは、幸せなことです。

心の状態は、食べものの消化・吸収に影響します。
吸収した後の作用にも影響します。
食べものの生命に感謝して、楽しく食べるのが一番。

心の栄養も大切に。

About 古田 朋子

1964年奄美生まれ。Holistic Nutrition(米国)学士・修士。創価大学(通信教育部)卒業。
PAAC(パシフィックアジアカイロプラクティック協会)付属ユニバーサルカイロプラクティックカレッジ卒業。
在学中よりセサミ・カイロプラクティックに勤務する。
PAAC認定・MCC(メディカルカイロプラクティックカレッジ)認定・米国SORS(Sacro Occipital Reserch Society International)認定のカイロプラクター。ハンズプラクティスカレッジ栄養学/婦人科学講師。
数多くのカイロプラクティック関連の訳本を手掛け、自らも業界専門誌「セサモイド・カイロプラクティック・ジャーナル」の編集に携わる。