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奄美世のごはん#039:思春期の貧血(2)

思春期とは、生殖不能の子どもが、生殖可能の大人へと変わっていく時期をいいます。

それは単一の出来事ではなく、成長と発達の数年間にわたる過程をいいます。

第2次性徴が初めてあらわれた時が思春期の始まりで、充分に生殖能力を持つようになると終了します。

通常、女性は12~15歳、男性は13~16歳といわれます。
この時、身体の中では大きな変化が起こっています。

変化や成長が目に見える場合もありますが、見えないところでも、すさまじく変化し成長しています。

_thumb33この頃の栄養とエネルギーの必要量は、成人と比較すると体重あたり50%も多いのです。

ミネラルでは、特に、鉄、亜鉛、カルシウムの必要量が増加します。
どれも肉体の成長、つまり大きさや量の増加に重要なミネラルです。

そしてこれらはまた、脳の働きにも不可欠な栄養素です。
_thumb29身体のすべての組織が適切に機能するためには、脳が正常に機能しなければなりません。
記憶力、思考力、認識力といった能力も、脳が安定して働いてこそ発揮できるのです。

私たちが摂り入れた鉄は、赤血球のヘモグロビンに組み込まれ、脳に酸素を供給する働きを担います。

思春期に増加する鉄の需要を充分に補わないと、身体が必要とする鉄が不足して、赤血球の機能が低下したり、赤血球の数が減ってしまいます。
鉄欠乏性の貧血です。

32赤血球が運ぶ酸素量が減り、脳は様々な栄養の不足を伴って酸欠におちいります。
脳の機能は低下して、身体活動のコントロールだけではなく、精神的な制御にも混乱をきたします。

同じころに反抗期も訪れます。
発達心理学にはいろいろな考え方があって、提唱者によってとらえ方が違うのですが、反抗期は一般に、社会的発達、自我の発達の過程に、否定的また反抗的な態度が強くあらわれる時期をいうようです。

 

「鉄剤で、反抗期が終わっちゃいました」と、前回ご紹介した女の子のお母さん
「反抗期っていうのは、乱暴な言動をするものだと思い込んでいました。でも、貧血がよくなったら、乱暴ではなくなったんですよ。」

もちろん、親の言うことにすべてイエスというわけではなく、意見が食い違うことばかりなのだそうです。
でも、お子さんが言葉足らずではあっても、自分の考えや思いを伝えてくれるようになったので、お母さんも声を荒げることが減ったそうです。

_thumb6朝の目覚めがよくなり、お腹が空いていて朝ごはんをしっかり食べる。

ごろごろと横になることがなくなり、テレビを観るときも座っている。

よくしゃべる。
よく動く。
機嫌が良い。

 

小児科で鉄剤の処方を受け、数日もすると本人は身体の変化に気がついたそうです。

なにより運動時の身体の軽さを実感しているようで、「部活のあとの疲れがぜんぜん違う」、何度聞いても理解できなかった数学が、「なんでって思うくらい簡単だったよ」と。

そして、「食べものって、すっごいんだね」と。

 

貧血の徴候には、青白さ・衰弱・疲労・浅い(早い)呼吸・イライラ・じっとしていられない・集中力の欠如・感染症にかかりやすい・寒さに弱い・便秘・脱毛・かゆみなどがあげられます。

_thumb7また、血中のフェリチン値は、初期の貧血の指標になります。

フェリチンの値は、鉄の貯蔵量を表します。

血清鉄は減少するとすぐに貯蔵鉄から補充されますから、なかなか低下しませんが、フェリチン値は鉄分の摂取が足りないと低下していきます。

この状態が続くと血中への鉄分の補充ができなくなり、初めて血清鉄の値が低下し始めます。

血清鉄やヘモグロビン値が基準範囲内でも、フェリチンが低下している場合は、貧血の対策を始めましょう。

 

私たちの身体は、食べたもので創られます。
そして、どのように考え、行動し、学ぶかも、食べたものに影響されます。

ずっとずっと昔から食べ継がれてきた食


その地で採れるもの

その時に採れるもの

栄養と日常生活#039:カルシウム(2)

前回はカルシウムの重要性をご紹介しました。
今回もカルシウムの話しです。

今、子供たちの“逆ギレ”が注目されています。
自分は精製された“糖分”の摂取が一番の原因(血糖値の問題)だと考えていますが、カルシウムの摂取不足も見逃せません。

疫学では、カルシウム不足がイライラ感などの精神不安定の原因になると報告されています。
しかし血液内に含まれるカルシウムは僅かで、大量のカルシウム摂取は反対に高カルシウム血症や、胆石や腎結石、ミルクアルカリ症候群の原因になるとして報告されています。

しかし心臓はカルシウム・チャンネルで動いていますし、筋肉が収縮する際にもカルシウムが必要とされるタンパク質であるトロポニンと結合する必要が指摘されています。

1食100円「病気にならない」食事(幕内秀夫)Kindle版一般には1日に700mg(骨粗鬆症には800mg)の摂取が勧められていますが(厚生労働省)、1日にどれだけのカルシウム摂取が必要なのか不明な点も多いのです。

前回ご紹介したように、カルシウムはマグネシウムとの密接な関係がありますので、今のところミネラルは単独の摂取ではなく、複合ミネラルの摂取を患者さんにはお勧めしています。

 

 

 

 

疫学的に認められたカルシウム不足による疾患をご紹介しておきます;

  • くる病・骨軟化症
    これは極端なカルシウム不足だと考えられます。
  • 病気にならない女性は「カタカナ食」を食べない(幕内秀夫)Kindle版閉経後の骨量減少
    これは女性ホルモンの関係を合わせて考える必要があります。
  • 胎児の骨成長も問題
    これも母親のカルシウム不足を考える必要があると思います。
  • 骨粗鬆症、骨密度低下
    一般的に女性に多発する疾患で、これも女性ホルモンとの関わりを考慮する必要があります。
  • 高血圧
    直接的な要因となるかは分かり難い部分もあります。
臨床上の経験としては、就寝中の“こむらがり”にはマグネシウムの摂取と合わせて、カルシウムの摂取が効果的であることは確かです。
運動中の“こむらがえり”がカルシウム不足であるかは現時点では不明です。
しかし運動中の水分摂取の際に、“硬水”を与えることで比較することは可能だとは考えられます。
どなたか運動選手との関わりがある先生方に試して頂きたいと思います。

ただカルシウムを多く含む水の摂取が一般的なヨーロッパの運動選手と、カルシウム量が少ない“軟水”を補給している日本の運動選手との“こむらがえり”頻度の比較は分かりません。

面白い調査だと思います。誰か試してみませんか。
水分を補強するマラソン競技でも試すことが出来ると思います。

 

実践・50歳からの小食長寿法(幕内秀夫)ただカルシウムが吸収されるために必要とされるビタミンDの摂取は、紫外線を浴びることで十分だと考えています。

1日に15分から30分、戸外に出て歩くだけでビタミンDは充分に足りると思います。
中には、「曇りや雨の日はダメですね」と言う患者さんもいらっしゃいますが、「日中は明るいでしょ、曇りでも雨の日でも、明るい時であれば充分に紫外線を浴びることが出来るから大丈夫ですよ」と伝えています。

 

 

日光を浴びること、そして歩くこと、忘れてはならない健康法だと思います。
最近、歩くことが減っている自分に言い聞かせています。