仲井康二D.C.による、治療家のための『栄養・免疫学』講座を連載します。

■仲井康二プロフィール
静岡市生まれ。1989年、米国クリーブランド・カイロプラクティックカレッジLA校を卒業し、ドクター・オブ・カイロプラクティック(D.C.)取得。帰国後、ナカイ・カイロプラクティックオフィス開業。2004年に、セサミ・カイロプラクティックに改称、ディレクターとして現在も臨床に勤しむ。
米国カイロプラクティック協会公認スポーツ認定医(CCSP)。ハンズ・プラクティス・カレッジ講師。1999年より業界専門誌「セサモイド・カイロプラクティック・ジャーナル」を刊行、編集を手がけるほか、著書・訳書多数。自身のカイロテクニックを伝授する「カイロ小屋」を主宰。

栄養と日常生活#018(仲井DC)

今回から“タンパク質”のお話しをさせて頂きます。
しかし正直言って、少々重い気分でいます。
「タンパク質をどこまで説明できるだろうか?」というのが正直な今の気持ちです。
つまり、自分自身がまだタンパク質の本質をしっかりと掴めていないのです。
しかしタンパク質を避けて通るわけには行きませんから、自分自身の挑戦という意味でも、頑張ってみようと思います。

まずはタンパク質の語源からご紹介します。
古代のギリシャ人はタンパク質を「最も大切な」という意味の「プロト」と呼びました。
そしてこれが“プロテイン(タンパク質)”となったのですが、古代からタンパク質の重要性が理解されていたなんて、何とも驚くべき事です。

実はタンパク質は他の栄養素より、科学的に詳しく解明された物質だと言われています。
ある意味、その通りなのかも知れません。
何故なら、今の最先端科学は“タンパク質学”と呼んでも過言ではないからです。
DNAやRNA、遺伝子もタンパク質と密接な関係を持ちます。
遺伝子からDNAに伝えられた情報は、細胞内の核からリボソームと呼ばれる部分に伝えられ、リボソームに蓄えられた大量のアミノ酸から、体内で必要となるタンパク質が作られるのですから・・・。

タンパク質1自分は3大栄養素の炭水化物を「身体のガソリン」、脂肪を「身体のエネルギー貯蔵と免疫」と呼び、タンパク質を「生命そのもの」と呼んでいます。
理由は少しずつお分かりになると思います。

体の60%前後は水分で形成されています。
しかし20%前後はタンパク質で作られています(固体部分だけでみると75%)。

タンパク質と言われると、皆さんが最初に思い浮かべるのは“お肉”だと思います。
もちろん穀類や野菜、そして果物等にも、ある程度のタンパク質が含まれますが、確かに動物のお肉には、私たち人間の栄養素となるタンパク質が沢山詰まっています。

「タンパク質ダイエット」を聞いたことがあります。
肉類を主に摂取して、炭水化物を食べないのだそうです。
確かに痩せると思いますが、体内の水分が大量に排泄され、その他の理由からも大変危険なのでお止め下さい。
追って詳しく説明します。

ここでアミノ酸を説明をしなくてはなりません。
実は自分たちに必要なタンパク質とは、実はアミノ酸で出来ています。
ではアミノ酸とタンパク質はどう違うのでしょう。

少々難しくなりますが、アミノ酸はアミノ基(-NH2)とカルボシル基(-COOH)を備えた化合物の総称です。
アミノ酸には炭素(C)、水素(H)、酸素(O)に加え、必ず窒素(N)が含まれ、中には硫黄(S)を含むアミノ酸もあります。
そしてアミノ酸同士の結合をペプチド結合と言います。
そして2つ以上のアミノ酸が繋がった状態をペプチドと呼びますが、そのペプチド結合でアミノ酸が40個以上繋がると、始めてタンパク質と呼ばれます。
つまりタンパク質とは、アミノ酸が40個以上ネックレスのように繋がった状態だと想像して下さい。
大きなタンパク質になると、1000個以上のアミノ酸がペプチド結合によって繋がっています。

自然界には500種類ものアミノ酸が見つかっていますが、私たち人間に必要とされるアミノ酸は20種類です。
またそのうち体の中で作れないアミノ酸は8~9種類(子供と大人で多少異なります)あり、これを必須アミノ酸と呼びます。
つまり体内で再生したり産生できない、食べ物から摂取しなければならないアミノ酸が8~9種類あるということです。
これは脂肪の時にご紹介した必須脂肪酸と同じ意味を持ちます。

私たち人間は約60兆の細胞で出来ていますが、それぞれの細胞には、先程ご紹介したリボソームにアミノ酸が、それぞれ80億個ほど含まれると言われています。
1つの細胞の大きさは、おおよそ10~20ミクロン(μ)ですから1ミリの100分の1から50分の1です。
その細胞に80億個のアミノ酸が含まれるのですから、凄い量だと分かります。

そして体は食べ物として摂取したタンパク質を胃や腸から分泌する消化酵素によって、タンパク質やペプチドとしてではなく、わざわざ個々のアミノ酸にまで分解して始めて体内に吸収します。

何故タンパク質やペプチドではなく、わざわざ1個のアミノ酸まで分解して吸収するのでしょう?
それは体内でのタンパク質の働きをご紹介すれば納得が行くと思います。

体内で生産されたタンパク質(またはペプチド)は、生命活動を補う栄養素、筋肉の収縮、呼吸や代謝を補う酵素、免疫の抗体、骨や筋肉や皮膚の構造も、髪の毛や爪もタンパク質、ホルモンやヘモグロビン等々もタンパク質で作られているのです。
「生命そのもの」と呼ぶ由縁です。

タンパク質2このタンパク質は全て20種類のアミノ酸が配列を複雑に変えて作られているのです。
つまり1個1個のタンパク質は異なるアミノ酸の配列によって、ホルモンになったり、酵素になったり、筋肉になったりしているのです。
そこに人間とは異なる配列を持った動物や植物のタンパク質が侵入してしまうと大変なことになる可能性があることがお分かりになると思います。
つまり異なる情報が体内に侵入しないように、タンパク質を個々のアミノ酸まで分解する必要があるのです。故に単独のアミノ酸まで分解してから吸収しているのです。

皆さんは「狂牛病」を覚えていますか?
タンパク質3死んだウシを砕いて、生きているウシの餌料として与えた結果、海綿状(スポンジ)脳症になって死んでしまう恐ろしい病気が2000年の始めに広がり、世界中のウシが殺されました。
これは未だに解決していない事件ですが、生きたウシに死んだウシのタンパク質(プリオン)が侵入したからだと推測されています。
しかし前述したように、タンパク質そのものは吸収されません。
原因は今でも解明されていないのです。

タンパク質はいまだに解明されていない部分も沢山あります。|次回は、別の観点からタンパク質を考えてみます。




治療家向け栄養療法セミナー(講師:仲井康二DC)by DoctorsSuggestion.com

栄養と日常生活#017(仲井DC)

自分が栄養学をもう一度勉強し直そうと決心したのは90年代でした。

カイロプラクティックの大学(80年代)では栄養学の授業が3学期間に渡ってありましたが、その頃の自分は栄養学の重要性に気付かず、単にカイロプラクティックが用いるテクニックで、可動性が制限されている関節をバキバキ鳴らしていれば、それだけで人は治って行くのだと単純に考え、栄養学はテストに受かるための勉強しかしませんでした(過去問の丸暗記)。
深く反省しています。

 

“成人病”が“生活習慣病”と改名されたのもその頃だと思います。
“生活習慣病”は日常の生活習慣が原因となって起こる病気ということになります。
普段の生活で体に大きな影響を与える習慣と考えてみると、やはり食事だと帰国後数年経って、やっと思い到ったのです。

もちろん食生活だけでなく、日常の“正しい姿勢”も大切です。
人が2本足歩行(猿人)になってから、まだ5~600万年しか経っていません。
地球に生物が誕生してから35億年経つといわれていますから、その長さから考えれば、5~600万年は本当に僅かな期間です。

ホヤのような口、腸、肛門しかなかった生物が、魚に進化し、サメに近い状態まで進化してから、両生類や爬虫類に進化し、やがて哺乳類から“人”に進化した私たちの祖先となるホモサピエンスは、20万年の歴史しかありません。
つまり2本足歩行もまだ確実に完成されたものではないと考えられます。
だからいまだに私たち人間は、椎間板ヘルニアなどの多くの問題を抱えているのです。
まだ地上の重力(海中の6倍)に充分に対応できていないのだと思います。

正しい姿勢を保つ重要性は、また機会がありましたら詳しく説明します。

 

さて90年代の栄養学は“脂肪”に対する偏見の見直しでした。
それまで脂肪は悪者でした。
太る原因となる脂肪は、ただ単に悪者だと考えられていたのです。
しかし人の体の中では作ることができない、体に不可欠な脂肪があることが判明したのです。
体内で作ることができない必要な油、“必須脂肪酸(不飽和脂肪酸)”の存在に注目が集まり出しました。
リノール酸(オメガ6)とリノレン酸(オメガ3)です(今ではオリーブ油に含まれるオレイン酸であるオメガ9の重要性も判明してます)。

90年代のアメリカでは、その100年前まではオメガ3とオメガ6の摂取比率が1:1.5だったのが、1:20になっていたのが判明したのです。
日本では、1960年代に1:3だったのが、90年代は1:8になったと報告されています。

(17ー1)ガン14年近く過ごしたアメリカを離れ、日本に帰国したのが1993年でした。
浦島太郎状態で、日本の状況が把握できない状態でしたが、1990年代の日本はガンに対する“がんもどき”騒動(慶応大学病院の近藤誠 先生がガンには自然消滅するガンや一定の大きさで悪さをしないガンもあると提唱した)や、“脳死”問題(人間の死をどの段階で判断するか)で世間が騒いでいた時代だったようです。

その中でアメリカで注目されていたオメガ3やオメガ6と騒いでも、誰も振り向いてくれなかったのは当然だと思います。

また最近では、オメガ6は炎症を悪化させるアラキドン(17ー2)脳死酸に転化されることが分かり、話題から姿を消すようになりました。

今はオメガ3やオメガ9がメインです。

日本でもやっとオメガ3を豊富に含むサプリメントとしてDHAやEPA 、そしてアマニ油(亜麻仁油)も大分マーケットに出回るようになりました。
帰国して19年、やっと世間がオメガ3に注目してくれるようになって嬉しい限りです。

オメガ3は青魚(サバ、いわし、さけ等)、海藻、青野菜、豆類(大豆、小豆、白花豆等)、亜麻仁油、そしてチアシード(当店で絶賛販売中)に多く含まれます。

また最近では“慢性炎症”が重要視されるようになって来ました。
三大疾患である“ガン、心疾患、脳疾患”も“慢性炎症”が関係すると提唱する科学者が出てきたのです。
そしてその“慢性炎症”を作り出すのが、飽和脂肪酸(マーガリン、植物油、ショートニング等)だとする研究が発表されています。

(17ー3)青魚「青魚をたべれば病気にならない」(生田哲 PHP新書)では糖分や植物油が糖尿病、心疾患、ガン、アルツハイマー病、花粉症を増やしていると指摘しています。
そこで、炒めものなどの火を使う料理にはオリーブ油(エキストラ・バージン オイル)やキャノーラ油(ナタネ油)を使い、サラダにはアマニ油を使いなさいと勧めています。

そして砂糖は控え、どうしてもの時は黒砂糖を勧めています。

 

 

 

 

オメガ3の評価は90年代から全く変わりません。
オメガ3は炎症を抑えるプロスタグランジンを作ることも確認さられています。
不飽和脂肪酸であるオメガ3はホルモンに似たエイコサノイドを作る原料となり、炎症を抑えるプロスタグランジンを作ります。
前述したアラキドン酸は、反対に炎症を促すプロスタグランジンを作り出してしまいます。
怪我(炎症)をしたら、ブタやウシ、ニワトリでなく、魚を食べてくだい。

しかし不飽和脂肪酸は酸化しやすいのが難点です。
オリーブ油を色の濃いビンに入れてあるのは、日光に弱く、酸化しやすいからです。
アマニ油も日光や空気に弱いので、購入したら冷蔵庫で保存して下さい。

チアシード(ドクターズ・サジェスチョン)価格:3,780円ドクターズ・サジェスチョンで販売しているチアシードは種そのものに防腐成分を含みますから、小分けにして持ち運べます。
外食する時に、塩やコショウの代わりに、または一緒にかけて食べると手軽にオメガ3を摂取できます。
食物線維も豊富なので、胃の中で膨れますから(7倍になる)、必ず水分を一緒に摂取するように心掛けて下さい。

 

これからも不飽和脂肪酸はどんどん注目されると予想されます。
要チェック食品になることは確実だと思います。

実は『リーディングオイル』のひまし油も必須脂肪酸です。
これから新しい事実がどんどん解明されて行くでしょう。

栄養と日常生活#016(仲井DC)

今回は、まだ誤解している人も多いと聞き、コレステロールについてご紹介したいと思います。

まず私たちの体にとってコレステロールは害であり、必要のない悪者だと誤解していませんか?
今でも低脂肪だとか、コレステロールが含まれない食事などと勧めている話しをよく耳にします。
高脂血症にならないように食事制限している人も多いと思います。
最近は何故か健康診断の血液検査で総コレステロール値を出さずに、悪玉コレステロールと呼ばれるLDL値(低比重リポタンパク)だけを表示している検査機関も見受けられるようになりました。

不思議ですね。

総コレステロールの7割以上を占めるLDL値を換算すると、やはり総コレステロール値は220mg/dLになりますので、これもまた不思議です。
何かを隠そうとしているのでしょうか?

日本では総コレステロール値は一般的に220mg/dL以下(日本動脈硬化学会)を正常値に設定しています。
しかし、このような低い値は他に例を見ません。
日本は1999年に240mg/dLに変更しましたが、翌年には元の数値に戻しています。
何故でしょう?

数年前まではアメリカでも似たような値が設定されていましたが、さすがに諦めた(?)ようで、今では成人は240mg/dL以下、また加齢に合わせて、正常値を上げたそうです
他国では280mg/dL以上で更に血圧が160mgHg以上で、始めて高脂血症と診断されることが多いのです。

 

コレステロールは本当に必要ないのでしょうか。

実は細胞を包んでいる細胞膜の20%がコレステロールで出来ています。
60兆あるといわれている細胞の20%ですから侮れません。
また脳や神経細胞、性ホルモン、ステロイドにもコレステロールが不可欠です。
特に閉経後の女性は、卵巣で作られていた性ホルモンの生成が著しく低下しますので、閉経後はその分を副腎が性ホルモンを生成するのですが、その原料となるのもコレステロールです。

通常コレステロールの20%は食事から摂取され、残りの80%は肝臓で作ります。
しかも通常の食事からの20%が減っても、その分を肝臓が生成します。
反対に食事からのコレステロールが増えたら、その分だけ肝臓から生成される量が減るだけです。
ですから食事制限する意味は余りないことになります。

もちろん全く気にしないのは問題です。
今まで数回に渡ってご紹介してきた脂肪についてのバックナンバーを読んで、どのように脂肪が体に必要なのか参考にして下さい。

念のために高脂血症による症状をご紹介しておきます。
一般的なのはアキレス腱の肥厚(ひこう)、眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)、角膜輪(かくまくりん)で、特にアキレス腱の肥厚がよく認められます。

高脂血症で恐いのは動脈硬化です。
つまり狭心症や心筋梗塞、または脳硬塞になる可能性が高まることです。
しかし血液にプラーク(塊)が出来るのは、前にご紹介したように塊になる脂肪です。
魚に含まれる油や、植物や穀類に含まれる脂肪は塊になりません。

「私は薬に殺される」高コレステロール血症に対して処方される薬は総称して“スタチン類”と呼ばれます。
~スタチンと書いてあれば、おそらくコレステロール低下剤です。
恐いのは副作用です。
色々な副作用があるそうですが、一番恐いのは横紋筋融解症という病気です。
随意に働く筋肉を横紋筋と呼びますが、その筋肉を溶かしてしまう病気です。
詳しくは「私は薬に殺される」福田実(冬幻舎)をお読み下さい。
横紋筋融解症による死亡例も報告されています。

もう一つ不思議な話し。

今までにコレステロールに対する研究は世界中で行われていますが、自分達が一番長生きする総コレステロール値は230~250mg/dLであると多くの研究で発表されています。
日本でもそのことを報告している本は山程あります。
皆さんは高齢者は少々太り気味の方が長生きすると聞いたことがありませんか?
太り気味、つまり痩せている人よりも総コレステロール値が高いと想像できますよね。
しかも反対に低コレステロール血症になると、ガンを始め、多くの疾患になる可能性が高まる研究も山程に発表されています。
200mg/dL以下の人が、自分の総コレステロール値を自慢しているのを見聞きしたことがありますが、ゾッとしました。

更にもう一つ。
何故LDLは悪玉コレステロールと呼ばれるのでしょう?
LDLはコレステロールを細胞に運搬する大切な役割を果たしています。
決して悪玉でも何でもありません。
しかしLDLには一つだけ欠点があるのです。
LDLはリン脂質とアポタンパクの結合が緩くて壊れやすく、結果として酸化しやすいのです。
しかし今ではオリーブ油に含まれるオレイン酸(必須脂肪酸)を摂取すれば、リン脂質とアポタンパクがしっかりと結合して、壊れ難くなることが証明されています。
オリーブ油がなぜ優れているのか証明されたのです。

もちろんだからと言って、コレステロール値なんか気にしなくても大丈夫だと提唱しているのではありません。
自分達の体に必要な不飽和脂肪酸を正しく摂取しましょうと提言しているのです。

メタボリック症候群には、高血圧、高脂血症、糖尿病が代表されます。
ご存知でしたか?
これらは一生薬を服用し続けなければならない疾患とされています。
これ以上は何を言わんとするかお分かりですね。
誰かさんに騙せれませんように、皆様方もくれぐれもご注意を・・・

正しい情報を提供してくれている本も沢山出版されています。
その中から幾つかの本をご紹介します。

コレステロールは高いほうがいい―日本のコレステロール治療がおかしい! コレステロールは高いほうが長生きする 日本人はコレステロールで長生きする 生活習慣病の危うい常識 コレステロールに薬はいらない!

ご参考になりますように。


栄養と日常生活#015(仲井DC)

今回は少々ややこしい話しになりますので、ゆっくり読んで下さい。

前々回、油には“飽和脂肪酸”と“不飽和脂肪酸”があるとご紹介しました。
そう、腐り難い油が“飽和脂肪酸”で腐りやすい油が“不飽和脂肪酸”でした。
そして腐りやすい“不飽和脂肪酸”を沢山摂りましょうとお話しました。

では何故敢えて腐りやすい“不飽和脂肪酸”を摂らなければならないの?と疑問が湧くとか思います。
その理由をご紹介します。

 

まず第一に“不飽和脂肪酸”は別名“必須脂肪酸”と呼ばれています。
「必須」つまり体に必要な油で、体の中では作れない“油”であるという意味です。
後々タンパク質の時にご紹介しますが、この「必須」と名前が付く栄養素には、もう一つ「必須アミノ酸」があります。
こちらも体の中では作れない、必ず食べ物から摂取する必要がある「必須」なアミノ酸という意味です。

つまり“不飽和脂肪酸”は体に必要な油で、しかも体内では作ることが出来ない“油”ということです。
では“飽和脂肪酸”はどうなのかと言いますと、実はある程度は体内で合成することが出来る“油”です。
体内で必要とされる“飽和脂肪酸”は、自分達の体内で産生できることになります。
もちろん100%とは言えませんが、敢えて意識して摂取する必要はない“油”ということです。

カン・ジン・カナメの健康教室シリーズ『オイルショック』そこで今回は今、最も問題になっている“飽和脂肪酸”の一つに含まれる“トランス脂肪酸”についてご紹介します。

“トランス脂肪酸”は“不飽和脂肪酸”に人工的に水素を加え、強力な腐り難い“飽和脂肪酸”に加工した“油”です。
“トランス型脂肪酸”は体内に吸収されても、結合が強すぎて、エネルギーに転換できない“油”と言われています。
エネルギーに転換できませんので、脂肪として体内に蓄積されるだけでなく、幾つかの研究では、ガンになるリスクが数倍に高まるとも報告されています。

憶えている人もいらっしゃると思います。
数年前にある映画監督が自らを犠牲にして毎食ファーストフード(Mc○ナルド)を食べ続け、自分の体が太り続けるだけでなく、体調がどんどん悪化して行く状態を撮影したドキュメント映画で、日本でも各地の映画館で上映されました。
自分は観に行けなかったのですが、アメリカでは大々的にメディアが取り上げ、最終的にファーストフード店は訴えられ、裁判で負けて多額(数億ドル)の賠償金を払うよう判決が下されました。
今では“トランス脂肪酸”は除去されつつあるそうです(因に日本は関係ないとして、いまだに“トランス脂肪酸”が使われ続けています)。

日本では巨大スポンサーであるMc○ナルドに気を回して、大きくメディアでは取り上げられませんでしたが、どうも不思議でなりません。
体調を崩すことが証明されている“油”が堂々と使われているのですから、これは不思議と表現せずにいられません。
もちろんケーキなどに使われているショートニングやマーガリンも、“トランス脂肪酸”の仲間です。

何故アメリカではきちんと問題視され、日本では知らんぷりなのだろうかと不思議でした。
メディアが取り上げたくない理由は分かりますが、どうして日本では問題にならないのでしょうか。

それが最近になって判明しました。

アメリカでは問題が起こると、何でも直ぐに告訴することが知られています。
先日、アメリカの小学校に通っていたお子さんのお母さんから教えて頂いたのですが、アメリカの学校の学食では、マーガリンも牛乳も出さず、アイスクリームさえ出していないそうです。
理由は簡単、変なものを出すと、親から直ぐに学校が訴えられてしまうからだそうです。
白か黒しかないアメリカらしい発想だと思いました。
白と黒の間のグレーな部分で占められる日本では、なかなかこうは行かないのでしょうね。

しかし日本でも普段の生活で気を付けることは可能です。
外食する時は、なるべく“油”が使われていない食事に心掛け、ファーストフードにもなるべく行かないようにし、昔ながらの日本食を選ぶこと。
ちょっとした心配りを身に付けたいものです。

ここで当オフィスに訪れた30代後半の女性の症例をご紹介します。
主訴は生理痛でした。
そこでまず精製された穀類(白米、小麦粉)と白砂糖を、精製されていない炭水化物に変更してもらい、加熱する料理にはオーリブ油のバージンオイル、加熱しない料理にはアマニ油を使うように伝えました。

翌月の生理痛は80~90%軽減し、次の月は殆ど生理痛から解放されました。
しかも10年以上子宝に恵まれなかった彼女は妊娠し、可愛い女の子を出産しました。

 

ここで景気払いに恐いお話しを一つ。
皆さんは放射線に汚染された食べ物は、されていない食べ物よりも数段美味しいことを知っていましたか?
もちろん冗談です。
でももし本当だったら、皆さんは放射線だらけの食べ物が格段に美味しいと知ったら、自ら進んで食べますか?
まず誰も食べないと思います(と信じています)。
それと今回の“トランス脂肪酸”の話しは同じだと思うのです。
体内に入るとエネルギーにも返還されず、ただ蓄積され、ガンになる率が数倍も上がる食べ物を、単に安くて、直ぐに腐らずに長持ちするだけの理由で食べますか?
自分にはそんな勇気はありません。

 

自然の食べ物は腐ります。
腐るということは“酸化”することでもあります。
どんな食べ物も生命を断たれたら、腐るのが自然です。
人間だって命を失えば、“酸化”して腐ります。
そう、“酸化”などして腐るのが生命の自然な過程でり、自然な摂理です。
腐らないように加工された食べ物は、自然な食品と言えるでしょうか?
コンビニで、いつまでも腐らないサラダ(特にレタス)やお弁当を横目で見ると、背筋がゾッと冷たくなります。

 

こわーい、こわーいお話しでした。

栄養と日常生活#014(仲井DC)

飽和脂肪酸”や“不飽和脂肪酸”など、色々と専門用語が沢山出てきましたので、今回はややこしい内容はちょっとお休みにして、皆さんが興味を持つだろうと思われるお話しをご紹介します。
でもしっかり脂肪に関する話しです。

脂肪と言うと、最初に頭に思い浮かぶのは“肉”です。
そして次に思い浮かぶのは“油”です。
では次は?
・・・と聞かれると迷ってしまいます。
穀類に含まれる脂肪?でなければ、植物の実に含まれる脂肪?

ちょっと待って、忘れていました!
“乳製品”があるではないですか!
そう、乳製品は脂肪を多く含みます。
牛乳、ヨーグルト、チーズ等々。
料理だと、ピザ、グラタン、クリームシチュー、数々のパスタ等々、ウーンよだれが・・(お昼前にこれを書いているので・・・)。

実は自分はピザが大好きで、イタリア系の薄いピザよりも、アメリカ系のチーズたっぷり、具もたっぷり系が大好きでした。
パスタもカルボナーラが大好きで、アメリカにいる時(ロスアンゼルスに12年以上住んでいました)は、週末の昼になると、毎週のようにサンタモニカ通りのパスタの美味しいお店に通い、山盛りのカルボナーラを食べていました。
しかし量が多いのか、もたれて、夕方になっても余りお腹が空かったのを憶えています。

フランク・オスキー日本に帰国して数年してから「栄養学」を詳しく学ぶ決心をし、色々な本を読み始めていた頃、栄養学に詳しい臨床技士の方から、一冊の本を紹介されました。
医学博士のフランク・オスキー著の『牛乳には危険がいっぱい?』(東洋経済新報社)でした。

本の中には、牛乳を飲むと;

  • 鉄欠乏性貧血の原因になる
  • 消化器症状を引き起こしやすい
  • アレルギー体質になる
  • 心筋梗塞、脳卒中、がんのリスクが高まる
  • カルシウムがあまり吸収されない(注1)
  • にきび、虫歯、虫垂炎の原因になる
  • 子どもが慢性疲労におちいりやすい
  • 赤ちゃんが病気にかかりやすい

などと書かれており、更に牛には大量のホルモン剤や抗生物質、または農薬が含まれている等々が紹介されていました。
読んでみると「ナルホドオ!」と唸らされる内容でした(今では改訂版も出ています。皆さんもお読みください)。

でも学校の給食には必ずと言ってよい程、定番で牛乳が出てきますし、カルシウムが豊富に含まれているから、牛乳を飲まないと大きくなれないと大人に言われたのを憶えていませんか?

実は自分は牛乳が飲めません。
小さい頃から、どうしても体が受けつけないのです。
飲むと直ぐにお腹をこわしてしまいます。
一時期は下剤の代わりに飲んだこともある位です。
でもチーズ類は大丈夫(?)で、前述したようにピザやパスタに含まれるチーズは体も受けつけてくれるようでした(でも汚い話しで恐縮ですが、おナラや便の匂いは強烈でした)。

真弓定夫1数年前、ある友人から「先生と同じことを提唱しているお医者さんがいますよ」と、数冊の小冊子が送られてきました。

東京の吉祥寺で開業しておられる真弓 定夫 先生が監修した本でした。
真弓先生は小児科が専門で、殆ど薬や注射を用いず、食生活や生活環境を改善すれば、ちょっとした病気なら治せると数十年も指導していらっしゃるそうです。

そして送られてきた小冊子の中に『牛乳はモー毒?』(美健ガイド社)がありました(更に“断乳できない悲しい日本人”も発行されています)。

牛乳が苦手で、特別な検査で乳製品は自分の体には合わないことを知り、今では乳製品は殆ど摂取していません。
最初は辛かった時期もありましたが、数年前にピザを食べてみた所、翌日に下痢をして、便の匂いも酷かったので、再度やはり自分には合わないのだと確信しました。
今では、パスタのお店に行っても、乳製品が入っていないものを注文するようになりました。

でもそれは特定な人に当てはまるだけで、ご自分は当てはまらないと考えておられる方も多いと思います。
また乳製品を取り扱う飲食店をなさっておられる方や、酪農を職業としている方々が、この文章を読んだら憤慨されると思います。

ごもっともです。

乳製品を止めるかどうかは、もちろん個人個人が決めることです。
これを単なる一つの情報源として受け取って頂きたいと思っております。

 

ダダモ1でも最後にもう一つだけご紹介させて下さい。
少しは参考になると思います。

最近は、“血液型”を研究する科学者が増えているようです。
もちろん血液占いではありません。

アメリカでは自然療法学の医師であるピーター・J・ダダモ博士の『ダダモ博士の血液型 健康ダイエット』(集英社文庫)、日本ではカイチュウ先生として有名な藤田紘一郎 先生の『パラサイト式 血液型診断』(新潮選書)などが知られています。

 

藤田(14)それぞれ本の内容は異なりますが、共通しているのは、我々ホモサピエンスが、狩りをして生活をしていた頃はO型しかいなかったこと。
そして次に農耕生活をする人達が出てきてA型が生まれ、遊牧民からB型が発生したことは、共通意見のようです。
AB型はまだ1,500年程度の歴史がないとも言われていますが、これは1,500年以上前の化石からAB型が見つかっていないことが根拠となっているようです。

 

 

乳製品を摂取するようになったのは、遊牧民が最初だと考えられています。
つまりB型の人には乳製品が適応することになります(注:両親共にB型であることが基本です)。

すると狩りの生活をしていたO型の人達と、農耕をして生活をしていたA型を継いだ人達は、乳製品に適応することが難しいと考えられます。

日本人は大まかに4割がA型、3割がO型、2割がB型、そして1割がAB型だと言われています。

つまりA型とO型で7割(ABを入れると8割)の人達は、おそらく乳製品に適応しないことになります(因に自分もOAからのA型です)。

血液型だけで、乳製品が適応するか不適応かを決めるのは安易だと思われるかも知れませんが、参考にはなると思い、今回ご紹介しました。

 

(注1)牛乳に含まれるカルシウムはリンと結合してしまうのと、牛乳にはカゼインというタンパク質が含まれ、カゼインが胃や腸の粘膜に膜を張るので、栄養が吸収され難くなります。お酒を飲む前に牛乳を一杯飲むと二日酔いにならないという慣習の理由です。

栄養と日常生活#013(仲井DC)

栄養療法に目覚めて15年以上経ちますが、振り返ってみると、随分と頑張ってきたなあと思います。

それ以前の自分の栄養学は、対症療法としての栄養学でした。
細かい理由も分からず、例えば風邪を引いたらビタミンC、口内炎が出来たらビタミンB群、胆嚢の機能低下があればビタミンFといった感じでした。

でもその頃、「なぜ同じ治療を施しているのに、直ぐに反応してくれる患者さんもいるのに、中々反応してくれない患者さんもいるのだろう?」というシンプルな疑問に悩んでいました。
本当に辛い日々だったのです。
もちろん今でも全て解決した訳でなく、毎日のように悩んでいますすが、以前程ではなくなり、栄養療法で症状が改善する患者さんも増え、治癒率は随分と高くなったと感じています。

ジョナサン ライト2栄養療法に深く関わるきっかけを与えてくれたのは、帰国したカイロプラクティック大学の後輩が、お土産としてくれたジョナサン・ライト博士の“Dr.Wright’s Book of Nutritional Therapy”という本でした。
その頃の自分は国際アプライド・キネシオロジー協会(以後AKに省略)の会員で、栄養学は全てAKの情報に基づいて使っていました。
そのAKが栄養学の基本としていたのが、ジョナサン・ライト博士の考え方だったのです。
しかし「もう英語はうんざり・・」状態(しかも分厚い本)だったので、中々手をつけずに暫く本棚に眠っていました。

ジョナサン ライト1よく思い出せないのですが、ある時、誰かに「ジョナサン・ライト博士の本は翻訳されてますよ」と聞いたのです。「エッ本当!?」って感じで、その日の仕事の帰りに紀伊国屋本店に出向き、迷わず注文しました。
数日後に「届きました」と連絡を受け、ワクワクしながら受け取りに行ったのを覚えてます。

本は現在、廃本扱いになっていますが、「ジョナサン・ライト博士の新・栄養療法」(廣剤堂出版)はまだ在庫があると思いますので、購入を希望する方はドクターズ サジェスチョンの担当者にお尋ね下さい

そして翻訳した丸元康夫さんのお父さんである丸元淑生さんは、日本の栄養学のパイオニアの一人であることも判明しました。
そして「豊かさの栄養学」(新潮丸元淑生3文庫)に出会ったのです(こちらも廃本になっています)。
それ以来、色々な素晴らしい出会いも重なり、数百冊にも及ぶ栄養学の本との格闘が始まったのです。

90年代の栄養学は「脂肪学」と言っても過言ではありませんでした。
それまで悪役だった“脂肪”が見直されていました。
自分も日本に帰国する当時(90年代)は、AKではフラックス シード オイル(亜麻仁油)に注目していました。

今では大きなスーパーでも購入できるまでに至った亜麻仁油(アマニ油)ですが、帰国当時は全く知られず、知っている人がいても「あの火傷の時に貼る油紙の成分でしょう?」程度でした。

最近では、白身魚の眼の周りに多く含まれるDHA(ドコサへキソエン酸)や、EPA(エイコサペンタエン酸)のサプリメントも目立つようになりました。
DHAもEPAも脂肪です。
一般には魚油とも呼ばれます。
やっと脂肪も栄養素として受け入れられるようになりましたが、まだまだ情報が乏しいような気がしますし、正しく理解されていないとも感じます。
またオリーブ油がどうして身体に良いのかが判明したのも、この10年程度です。
まだまだ正しい知識が広がっていないと思います。

 

そこで今回は、まず脂肪についての簡単なネタばらしから始めます。

皆さんはどうしてブタや牛、または鶏の油は体に害を与え、DHAやEPA の油は体に良いと思いますか?
実は簡単な理由です。

それはブタや牛、そして鶏の体温と、魚の体温の違いなのです。

ブタや牛、または鶏の体温は38度以上です。
そして魚の体温は20度前後です。
もうお分かりですね。
つまりブタや牛の脂身は、人間(人は36.5度前後)の体内に入ると、当然ながらブタさん達よりも低い体温なので、油から脂肪の塊に変わってしまうのです。
それが血液をドロドロにしたりする大きな原因です。

ところが魚の体温は人間の体温よりも低いので、体内に入っても決して塊にならず、常に血液サラサラの状態を維持してくれるのです。

次におぼえて欲しいのは、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いです。
細かいことまで知る必要はないので、簡単に説明します。

★飽和脂肪酸は腐りにくい油!
★不飽和脂肪酸は腐りやすい油!

とおぼえて下さい。
このように説明すると、腐りにくい飽和脂肪酸の方が体に優しいような印象を受けますが、実は反対で、自分達の体は不飽和脂肪酸を必要としています。
また不飽和脂肪酸は必須脂肪酸とも呼ばれます。
必須と名前が付くのは、体が必要とするという意味です。
反対に飽和脂肪酸は必須ではありませんので、必ず摂る必要はない油ということになります。

もちろんDHAやEPA、前述したオリーブ油やアマニ油は全て必須脂肪酸を含みます。
つまり自分達の体に必要な油ということになります。
詳しい話は次回に譲りますが、今回おぼえて欲しいのは、自分達が栄養源として必要としている油は、飽和脂肪酸ではなく、不飽和脂肪酸と呼ばれている油です。

飽和脂肪酸は一般に使われているサラダ油や、多く市販されているドレッシングに使われている殆どの油に含まれています。
もちろんバターやマーガリンも飽和脂肪酸です。

つまり一般に使用されている油の殆どは飽和脂肪酸で、自分達の体には余り必要ない油だということをおぼえて欲しいのです。

では次回から少しずつ詳しく説明して行きます。