栄養と日常生活#060:少し怖い話し(2)

何と今回で第60回を迎えました。
ということは飽きることなく、毎月5年間も“栄養学”についてウンチクを述べてきたことになります。

今までお付き合いして頂いた皆様に、本当に感謝、感謝です。
ほんの少しでも、ちょっとでも皆様の健康に貢献できたら良いなと、心の底から願っています。

しかし、この間でも“栄養学”は大きく変化して来たような気がします。

まずは自分が日本に帰国して20年以上になりましたが、帰国当時のアメリカは、オメガ3やオメガ6の話題で湧いていました。
自分も帰国当時は、「オメガ3ジャーイ!、亜麻仁油ダァ!」と騒ぎ立てましたが、当時は誰も聞いてくれない時代でした。

しかし、やっと大手のスーパーが、亜麻仁油を取り揃えてくれるようになりました。
必須脂肪酸の必要性が、少しずつですが、やっと浸透してきたような気がします。

当オフィスでも、以前は必須脂肪酸を豊富に含む“アマニ・ロースト”を提供して来ましたが、遺伝子組み換え検査の問題から、アマニ・ローストの輸入が取り止めになり、もうどうにでもなれ!と開き直っていた時に出会ったのが“チアシード”でした。
亜麻仁よりもオメガ3の含有量に優れ、食物繊維を多く含み、ミネラルも豊富で、しかも酸化し難いと知り、驚愕したことを思い出します。

チアシード”は、アメリカに滞在中からも探し求めていた素材でした。
名前が分からずに、地団駄を踏みながら帰国したことを思い出します。

日本ではチアシードは、数年前まで“ダイエット食”として販売されてましたが、今ではオメガ3豊富な健康食として受け入れられ、多くの人に知られるようになりました。
嬉しい限りです。

また20年以上前までは、“肥満”の原因となるのは“脂肪”と信じられて来ました。
「砂糖が問題ではなく、一緒に含まれる脂肪が肥満体を招く」と言われて来ました。
また多くの栄養学者は、カロリー制限や、脂肪制限食を提唱していましたが、今では“必須脂肪酸”の必要性が受け入れられ、少なくても体に必要な脂肪もあると受け入れられるまでになりました。

また少しずつですが、トランス脂肪やショートニング等による体への悪影響に対しても、多くの人が理解するようになり、時代の嬉しい変化を感じています。

 

そこで前回に引き続き、今回もちょっと怖い話しに戻ります。

山田悟1ナント!なぜか最近は脂肪ではなく、“砂糖”が悪者になりつつあるのです。

最初の頃にご紹介した“砂糖”は、“炭水化物”として、体の“エネルギー”だとして説明してきました。
確かに体のエネルギー源となれるのは、炭水化物、タンパク質、脂肪の3つです。
だから栄養三要素と呼ばれて来ました。

そして、その中でも炭水化物が最も簡単に、また素早くエネルギーに転換されるという点から、最小必要源の炭水化物が体に必要だと提唱して来ました。

それが今、炭水化物というもの自体の見直しが問われるようになってきているのです。

 

まず炭水化物は大きく、“糖質”と“食物繊維”に分類されます。
これは以前にご紹介した通りです。

私たち人間の体は、糖分を吸収・消化できますが、食物繊維は吸収出来ません。
それは人間の体は他の草食動物とは異なり、食物繊維を消化する“消化酵素”が存在しないからです。

しかし私たちの体に食物繊維が与えてくれる恩惠は数多くあり、必要では無くなったコレステロールの排泄や、満腹感への効率促進の補助、腸の掃除、腸に生存する善玉菌への栄養素(水溶性の食物繊維)、排便効率の援助など、多くの役割を果たしてくれています。

ですから栄養学者の中には、糖質と食物繊維を炭水化物と区別している人もいます。
中には食物繊維を必要栄養素の一つとして捉え、七大栄養素(炭水化物(糖質)、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、水分、食物繊維)と提唱している人たちもいます。

それが今では、“糖質”を悪者扱いしている人たちが増えて来たのです。

それは今の日本で問題となっている“糖尿病”の増加です。
今では日本には“隠れ糖尿病”を入れると、1,200万人以上の糖尿病患者がいると想定されています。
実に日本人の10人に1人が、糖尿病を患っていることになります。

しかしこれは自分は、過大評価だと考えています。
空腹時の血糖値やヘモグロビンA1cの標準値を下げている傾向があります。
これはコレステロール値や、血圧も同じです。
誰が考えたのか知りませんが、今では“日本1億人総疾患”を目指しているような気配もします。
日本人誰もを何らかの形で病気にしたいと目論んでいるようにも思えます。

宗田哲夫1昨今は“糖質制限”を提唱する人が増えています。
中には前回ご紹介した「ケトン体」が人類を救うと訴える人も出てきました。
肝臓で“脂質”から“ケトン体”を作り出し、クエン酸サイクルからエネルギーを作り出せば、糖質はいらないという主張です。
しかも脂肪酸の状態では血液脳関門は通り抜けれませんが、“ケトン体”になれば血液脳関門は通り抜けられ、脳の栄養素にもなると主張しています。

確かにアジア人は、他の人たちよりもインスリンの分泌量が少ないことは判明しています。
また縄文時代の日本人が、魚や獣を食してきたことも証明されています。
しかし、一概に糖質を一切避け、肉食だけにするのも疑問が残ります。

質の良い必須脂肪酸の摂取は受け入れられますが、どんな脂肪でも良いとまでは考え難いのです。

 

また次回に続きます。

奄美世のごはん#058:基本の16(酵素の働き)

雨の月が過ぎると半夏生。
一年のちょうど半分のころです。

西の方では、たこを食べる習慣があるのだそうです。
良質なたんぱく源ですね。

 

さて、たんぱく質は酵素について続きます。

私たちはひごろから、知らず知らずのうちに食べ物に含まれる酵素の働きを利用しています。

最も身近で頻繁に使われているのが大根でしょう。
大根には100種類を超える酵素が含まれているのだそうです。

食べ物と混ざることでその成分を分解して、腸管から吸収できるように細かくしてくれるのが消化酵素です。
そのうちアミラーゼは、炭水化物のでんぷんやグリコーゲンを単糖類のぶどう糖や二糖類に分解する酵素です。

私たちの身体が作るアミラーゼは、膵臓や唾液腺から分泌され、口の中や消化管の中で炭水化物と混ぜ合されてその分解を進めます。

食べ物と混ざりやすくするために、大根をすりおろして炭水化物と混ぜておけば、私たちの自前の消化酵素の代りに、大根のアミラーゼが炭水化物の分解を進めてくれるのです。

お餅のおろし和えや、おろしそばは、大根のアミラーゼを利用して、お餅やそばの糖質分解を進めています。

プロテアーゼはたんぱく質を分解する酵素です。
私たちが生合成するたんぱく分解酵素は、他にも幾つかありますが、大根のプロテアーゼは、酵素が働く環境や分解できるたんぱく質の構造の種類が広範囲なため、働き者の酵素と言えます。

刺身のつまの定番は千切り大根。
刺身のたんぱく質分解をすすめ、消化を助けてくれるので、ぜひ残さず一緒に食べましょう。

鯵の塩焼き | 奄美世のごはん(ドクターズサジェスチョン)焼き魚には大根おろし。
この時期は、あじ、いわし。
大根おろしと一緒にいただくと、魚のたんぱく質を消化吸収しやすくしてくれます。

そしてリパーゼは脂肪の分解に働きます。

焼き魚にそえた大根おろしは、たんぱく質と一緒に焼き魚の脂質の分解もすすめてくれます。

 

 

てんぷらまた大根おろしは、天ぷらにもつきものですよね。
とんかつやフライもさっぱりといただくことができます。

大根のリパーゼが脂肪を分解して、消化を助け胸やけを防いでくれるのです。

 

 

 

 

たこおろし和え | 奄美世のごはん(ドクターズサジェスチョン)たこはタウリンを多く含みます。
タウリンは身体の中で作ることができる成分ですが、不安やストレスの軽減に働くので、需要が高いときは食べ物から摂って補充してあげたいですね。

また、たこに含まれるタウリンは、マリアアザミと同じ肝細胞の再生を促進する作用も持ちます。

大根おろしで消化吸収しやすく、半夏生にたこのおろし和えはいかがでしょうか。

栄養と日常生活#059:少し怖い話し(1)

最近は何故か再び「栄養学」に関わる本に出会うことが増えてきました。
栄養学の勉強は、もうそろそろ控えても良いんじゃないの?と思っていたのですが・・・。
もう10年以上、栄養学に携わり、読んできた本も軽く200冊は超えたと思います。
ですから、もう良いだろうと内心思っていたのです。

もちろん栄養学の勉強を放棄するのではなく、これからはマイペースでゆっくりとジワジワと継続して行けば良いだろうと考えていたのです。

牧田善二しかし最近出会った本『老けたくないなら「AGE」を減らしなさい』(牧田善二著 ソフトバンク新書)や、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(藤田紘一郎 著 だいわ文庫)『「やわらかい血管」で病気にならない』(高沢謙二 著 ソフトバンク新書)『「砂糖」をやめれば10歳若返る』白澤卓二著 ベスト新書)に出会い、読んでいたら、またまた炭水化物(主にですが)の問題に行き着いてしまいました。

また近年は、尊敬している新潟大学大学院医学部の教授を務め、免疫学の大家でおられる安保徹先生も、最近はミトコンドリアに注目し、解糖系ではなく、ミトコンドリア系にしなさい、糖分依存から脱却しなさいと勧めておられます。

まだ全てを把握したのではなく、少しだけ新たに理解してきてことがあります。

つまり、炭水化物(グリコーゲン)から得られたブドウ糖を土台にして、ミトコンドリア内のクエン酸サイクルでエネルギー産生する方法に依存するのではなく、脂質(脂肪酸)から得られたケトン体を用いたクエン酸サイクルを利用して、エネルギー(ATP)を得なさいということらしいのです。

藤田紘一郎もちろんタンパク質(アミノ酸)をブドウ糖に変換させ、エネルギーを産生する方法もあります。

取り敢えず炭水化物、特に精製された炭水化物は止めなさいと、全ての著者が口を揃えて声高く唱えているのです。

詳しくは著書に譲りますが、自分も以前から、まずは“精製”された白砂糖を黒砂糖やハチミツ(乳児以外)に、白米を胚芽米や玄米に、小麦粉を全粒粉にと提唱してきました。

またピーター・ダダモ博士を筆頭とする血液型ダイエットの立場から、血液型がO型の人は、小麦粉に含まれるグルテンというレクチン(タンパク質)が合わないから、止めた方が良いとも提案して来ました。

 

 

白澤卓二2どうも最近の本を読んでいると、特に“砂糖”に対するバッシングが増えてきている傾向がみられます。

何故でしょう?

歴史的観点から見直してみると、日本では1870年代は1日に摂取していた砂糖の量は、たった4グラム程度でしたが、100年後の1970年代には、何と約20倍の80グラムにまで増えたそうです。
2016年の今では100グラムを超えていると容易に想像できます。
つまり150年足らずで、25倍以上の摂取量に増えたという計算になります。

多くの科学者は、人間の体は1万年前から、殆ど進化していないと提唱しています。
実際に私たちの体内の機能を探ってみると、低血糖になると血糖値を上げるシステムは幾つも備え持っているのですが、高血糖に合せて血糖値を下げるシステムは1つしかなく、膵臓から分泌されるインスリンが血糖値を下げるのが唯一の方法であり、備え持つ機能です。
つまり本来は血糖値を上げる必要が殆どで、血糖値を下げる必要は皆無に近かったことになります。

日本に砂糖が伝わったのは8世紀のことだと伝えられています。
当時は高価なものとして扱われ、“薬”として用いられていたようです。
調味料としては使われず、当時の甘味料は米を発酵させた甘酒や、麦芽を発酵させて作ったアメが用いられていました。

日本で砂糖が甘味料として使われるようになったのは16世紀のことで、国内での砂糖キビの栽培もこの頃から始まりました。
それでも1900年代までは、それほど量は増えなかったのですが、高度経済成長期から一気に日本の食生活が変わり、豊かになり、欧米化が急速に広がったのです。

 

高沢謙二1どうして、そんなに砂糖に依存するようになったのでしょう。

それは砂糖は依存性というマイルド・ドラッグの要素があったのです。
砂糖を始めとするジャンク・フードは高い依存性があることが判明しています。
これは幾つもの研究で証明されています。

例えばマウスを3つのグループに分類し、1つのグループには通常のエサを与え、2つ目のグループにはジャンク・フードを与えますが、一定量しか与えません。
そして最後のグループには食べられるだけの砂糖やトランス脂肪たっぷりのジャンク・フードを与えます。
すると普通のエサや、一定量のジャンク・フードを与えられたグループは、体重の変化や体質の変化は少ししか認められませんでしたが、食べたいだけジャンク・フードを与えたグループは、摂取を止めようとせず、体重もドンドン増え、体質も変わり、色々な疾患が生じやすくなったのです。
まさしくマイルド・ドラッグの依存性だと言えます。
また恐ろしいのは、体重過多になったマウスのグループの食事を、普通のエサに変えても、食べられなくなることです。

また2004年代に映画監督自身が実験材料となり、毎食ジャンク・フードを摂り続けたドキュメンタリー映画を思い出します。
彼は30日間の実験予定でしたが、確か20日過ぎでドクター・ストップがかかり、実験は中止になったと聞いています。
著しい体重の増加と、血圧や体脂肪が異常に増えてしまったのを憶えています。

どうやら、砂糖は依存性に富んだ、“マイルド・ドラッグ”だと認識すべきです。

 

ちょっと疲れたら“チョコレート”や“甘い物”という考え方を変えませんか?
日本では隠れ糖尿病を入れると、2200万人以上の人が各当するそうです。

“日本人総砂糖依存症”にならないためにも・・・

奄美世のごはん#057:基本の15(酵素の働き)

セサミの周りは緑が多く、お使いに行く時は木の葉の下を通りぬけて行きます。
わざわざ遠回りをして、ハーブの植え込みを歩きます。

小満のころは桑の葉も大きく広がって、蚕の食欲を満たし、たらふく食べた蚕は繭をまといます。
この繭からいただく絹の糸は、蚕が桑の葉を食べて創り出すたんぱく質の糸です。

私たちは、吸収したりリサイクルしたアミノ酸プールのアミノ酸を使って、たんぱく質を作ります。
たんぱく質はアミノ酸が一本の鎖のようにつながって、さらに折りたたまれて立体となります。
どの種類のアミノ酸が、どういう順番で、いくつつながるかで、たんぱく質の性質が決まります。

どこでどんなたんぱく質を作るかは、おのおのの細胞の核に在る、遺伝子情報にコントロールされていて、遺伝子の設計図をきちんと転写複製して、必要なたんぱく質を作るのです。

私たちの身体の中にどのくらいの種類のたんぱく質が存在するのかは、まだまだわかっていません。
少なくとも10万種類以上はあると考えられています。
中でもっとも名の通ったたんぱく質といえば、酵素とコラーゲンでしょう。

 

3酵素は大きく2つに分類されます。

身体の外(口腔や消化管の中)に分泌されるのが消化酵素です。
私たちが食べた物を分解して、吸収しやすくする働きを担います。

もう一つは身体の中、細胞内部やその周囲で働く酵素です。
一般に代謝酵素と呼ばれるものですね。
身体の中で行われる、化学反応を促す触媒の役目をしています。

 

通常、酵素は必要な種類が必要なだけ作らます。
しかし、原料となるアミノ酸の不足や、酵素産生に必要なビタミンやミネラルの不足などがあると、必要な酵素が作られにくくなります。

また、病気やけが、激しい運動や精神的なストレスがあっても酵素の需要が増えるため、供給が追いつかなくなることもあるようです。

 

4私たちは、酵素の働きによって生きているようなものですから、必要な酵素の不足は様々な不調の原因となります。

そうなると、不足分の酵素を外から補給したくなるのが人情というもの。

でも、酵素はたんぱく質の仲間です。

前回お話ししたように、食べたり飲んだりしたたんぱく質は、唾液の中のたんぱく分解酵素、胃酸、膵臓や小腸表皮の細胞から分泌されるたんぱく分解酵素のはたらきでアミノ酸に分解されてしまいます。
酵素のまま、その働きを持ったまま、身体の中には入っていきません。

ですので、代謝酵素に関しては、外から取り入れることは叶いません。

 

 

6では、消化酵素はどうでしょう。

消化酵素は、咀嚼や、消化管の蠕動運動により食べものとよく混ざり合うことで、その作用が発揮されます。
混ざり合った食べ物を消化管で吸収できるサイズにまで細かく分解します。

食べすぎてお腹がはったり不快感があるときに、消化薬を飲むとすっきりします。
それは、消化薬に含まれる消化酵素が、胃腸で停滞していた食べ物と混ざり合って分解してくれたり、胃酸分泌を刺激して消化を助けるからです。

このように、外から補給する消化酵素は、食べものを分解吸収のために摂取するのであれば、その働きを活用することができます。

 

 

7清涼飲料水として市販されている酵素ジュース。

これは、製造過程の加熱処理で酵素活性が抑えられている可能性が高いので、酵素を摂取するということを目的に置くのではなく、嗜好品として、またはジュースの成分の補給と考えるのが妥当でしょう。

自家製の酵素ジュースだったらどうでしょう?

酵素が活性化しているのであれば、酵素がジュースの材料となる食材の分解に働きます。
ジュースに含まれる酵素により、ジュースの材料内のたんぱく質はポリペプチドやアミノ酸に、炭水化物は2糖類や単糖類に、脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されているので、食材そのままよりも楽に吸収することができます。
ジュースの酵素が働いたぶんだけ、自前の消化酵素を節約できるわけです。

しかし、ジュースの材料を分解し吸収した後に、身体の中で利用したり壊したりするための代謝酵素は外から補給できませんので、消化酵素を節約しても、吸収したジュースの成分を体内で代謝するために代謝酵素を使わなければなりません。

プラスになるのでしょうか、マイナスになるのでしょうか…。

 

やはり、酵素の摂取と思うよりは、ジュースの栄養素を摂取するため、お楽しみのため。

 

こころの栄養

身体の栄養

栄養と日常生活#058:高コレステロール(高脂血症)

高コレステロール(高脂血症)との出会いは、随分前になります。
栄養学を学ぶ上、所々でコレステロールに出会い、高コレステロールの問題や、高脂血症を抑える“スタチン類(抑制剤の総称)”の問題との数多くの出会も沢山ありました。

世間では随分と前から“低コレステロール食”が流行りました。
コレステロールは身体に悪いという説に始まり、“悪玉コレステロール(LDL)”や“善玉コレステロール(HDL)”の話題に移り、様々な形で“コレステロール”は、世間で“悪者”として注目されているように思われます。

しかし”悪玉コレステロール”は決して悪者ではなく、肝臓から体内の細胞に脂肪を送るという、りっぱな働きを果たしています。
そして善玉コレステロールは、余った脂肪を再び肝臓に送り戻すという働きを行っています。

では何故、LDL(低比重リポタンパク)は悪玉コレステロールと呼ばれているのでしょう?

それは悪玉コレステロール自体が壊れやすい性質を持ち、壊れてしまうと“酸化”してしまうからです。
すると免疫系の“貪食細胞”と呼ばれるマクロファージが酸化した悪玉コレステロールを食べてしまうのですが、食べ過ぎて膨れ上がったマクロファージは集結しやすい習性があり、結果として粥状の塊りが作られ、それが原因となって“血栓”を創り出す原因となるのが分かってきたからです。

“悪玉コレステロール”自体は決して壊れたくて、自ら進んで壊れているのではありません。

そこで登場したのがオリーブオイルに含まれる“オレイン酸”です。
今では“オメガ9”とも呼ばれ、必須脂肪酸の一つとして堂々と認められるようになりました。

コレステロール2(58)実はオリーブオイルは以前から三大疾患を含む多くの疾患を防ぐものとして注目されていたのですが、どのようなメカニズムで健康に携わっているのかが長い間不明でした。
しかしオレイン酸は悪玉コレステロールに含まれる脂肪酸と入れ代ると壊れ難くなり、酸化を防ぐことが出来ることが判明したのです。
またオリーブオイルは必須脂肪酸(特にオメガ3であるα-リノレン酸)よりも熱に強いので、油料理として用いることが出来ます。
α-リノレン酸は100度以上の熱には耐えられないのですが、オリーブ・オイルは200度までは耐えられることも分かりました。

今流行りのオメガ3を豊富に含む“チアシード”は加熱する料理には適しませんので、ご注意ください。

まとめて言わせて頂ければ、自分たちの体には、コレステロールは不可欠であることを強調しておきます。
また、自分たちの身体は、自分たちに必要なコレステロールを自分自身の肝臓で作っていることも強調して付け加えておきます(通常の食生活では7~8割が肝臓で作られ、残りの2~3割が食事から摂られています)。
また副腎皮質で作られているステロイド、女性ホルモン、男性ホルモンの原料となっているのもコレステロールです。

体の中で作られているコレステロールですから、食事からの摂取量が減れば、体に必要な分まで肝臓で作る量が増えることになりますので、その分まで負担が増えることになります。
反対に食事からの摂取量が増えれば、肝臓が怠けて自分で作る量が減るだけで、どちらが良いのかは分かりません。
おそらく適量で良質なコレステロールを摂取することが大切になるのではないでしょうか。

脂肪肝が増えたり、LDLが異常に増えてしまうのは、ストレスや乱れた食生活が原因であると言われています。

コレステロール1(58)日本ではいまだに総コレステロール値を220に設定していますが、これは世界中を見回しても、これほど低い設定をしている国はありません。

EU諸国では、高脂血症と診断されるには280以上で、しかも血圧が160以上になって、初めて高脂血症と診断されます。

なぜ日本だけが、そんなに低い設定値になっているかの理由は敢えて述べませんが、色々と分かってくると、唖然とさせられる“裏”が見え隠れしています。
興味のある方は、コレステロール関連の本を読んでみて下さい。

敢えて付け加えると、人間が長生きするには、230~250が一番長生きするというデータが山ほど報告されています。
また異常に総コレステロール値が低くなると、“ガン”を始めとする多くの疾患に罹りやすくなることも多くの研究で証明されています。

しかし総コレステロール値が300以上を示す人に出会うことがあります。
またLDLが異常に高いと訴える人もいます。そこで今回は“グレープフルーツに含まれる食物繊維”をご紹介します。

まだ食物繊維に含まれるどのペクチンが効果を上げるのかは判明されていませんが、多くの研究では聡コレステロール値を下げることが証明されています。
単にグレープフルーツを沢山食べるだけではダメで、グレープフルーツに含まれる水溶性の食物繊維を正しく摂り出したサプリメントでお試しください。
ネットで『Grapefruit fiber』で検索すれば、多くの商品が紹介されています。
含有量を確かめて、良質(値段でなく)なものをお探しください。

試してみる価値はあると思います。

少なくとも、コレステロール抑制剤による“薬”が原因となる多くの副作用に苦しめられることはなく、副作用は全くないのですから・・・。

奄美世のごはん#056:基本の14(たんぱく質)

前回はお休みをいただきました「奄美世のごはん」。
今月からはたんぱく質とまいります。

私たちの身体を作るたんぱく質。

私が理解しきれていないという事もありますが、まだまだ分からないことだらけのたんぱく質ですので、ざっくりお話ししていきたいと思います。

たんぱく質は、たくさんのアミノ酸がネックレスのように一列に繋がってできています。
このアミノ酸でできたネックレスを、ポリペプチドといいます。
このポリペプチドが更にきれいに形づくられて初めてたんぱく質という名になり、そしてたんぱく質としての役割を担います。

私たちが、たんぱく質を食べたり飲んだりする目的は、ネックレスの材料となるアミノ酸の供給です。

このアミノ酸を、作り変えたり組み合わせたりして、身体に必要なたんぱく質を作りあげるのです。

ラム私たちが食べたり飲んだりしたたんぱく質は、他の栄養素と一緒に、口の中で咀嚼され、胃に入ると胃酸のシャワーを浴びます。
そして、たんぱく質を分解する酵素によって、アミノ酸のネックレスが大まかに切断されます。

続いて、ぶつ切りのアミノ酸のネックレスは十二指腸に送られ、膵臓から分泌される膵液中のたんぱく質分解酵素の作用を受けて、さらに細かく分解されます。
その後、小腸内側の表面の細胞の膜にある分解酵素で、一個のアミノ酸、または2個か3個のアミノ酸がつながったジペプチドかトリペプチドに分解されます。

小さな断片になったアミノ酸は、小腸表面の細胞の膜上から細胞内にとりこまれ、その細胞の中でさらに一個一個のアミノ酸に分解され、血流にのって門脈(血管)に入り肝臓へと送られます。

肝臓に運ばれたアミノ酸の一部はたんぱく質に合成されますが、その他のアミノ酸はまた血流にのって、身体のあちこちに運ばれ、アミノ酸プールとなります。

いわしアミノ酸プールには、消化吸収した食べもの飲みものに由来するアミノ酸の他に、体内のたんぱく質が分解されてできたアミノ酸も存在します。

私たちは、このアミノ酸プールのアミノ酸を使って、たんぱく質を合成しているのです。

ヒトは1日に、70gのたんぱく質を食べて、200gのたんぱく質を合成するそうです。

1日に2~3%が分解されて生まれ変わっています。

そのためには、アミノ酸プールに存在するアミノ酸の質と量を一定に、充足するだけ保たなければなりません。

たんぱく質の摂取が足りないと、アミノ酸プールのアミノ酸は次第に減っていきます。
身体はその穴埋めに、免疫細胞の産生を減らしたり、筋肉など身体の構成成分を分解して、アミノ酸を供給します。

とうふ逆にたんぱく質を摂取し過ぎると、過剰なアミノ酸は、別のアミノ酸に変換されたり、エネルギー源に使われたり、また、そのまま分解されて尿中に排泄されます。
アミノ酸を分解して排泄するとき、尿中に排泄されるカルシウム量が増大したり、腎臓に負担がかかる可能性があります。

たんぱく質は私たちの身体の中で、内臓や筋肉、骨や皮膚や髪の毛の成分となります。
血液やホルモン、酵素の材料にも不可欠です。
免疫物質の成分にもなります。
神経伝達物質としても働きます。
自律神経のバランスや精神的な安定にも関与します。

過不足なく、摂取しなければならない栄養素です。

 

次回はたんぱく質を構成するアミノ酸の種類や、それぞれの働きや摂り方についてお話しします。

週が明けたら穀雨です。
陽の光とともに優しい雨が降ります。

春雨